2017年12月に始まった、総務省の「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」。検討会では現在、さまざまな関係者から意見聴取を行っている。
この検討会において、大手キャリア(MNO)による「定期契約プランの自動更新」がユーザーの選択肢を狭めているという指摘が一部のMVNOから出ている。
MNOの料金プランは、1〜3年の契約期間を設ける代わりに月額料金を値引く「定期契約プラン」が一般的。このプランでは、契約期間の満了後に2カ月の「契約更新期間」があり、それが過ぎると定期契約が自動的に更新される。この自動更新こそが、MNOからMVNO(あるいはMNOからMNO)への乗り換えの妨げになっているというのだ。
1月30日、総務省で検討会の第4回会合が開催された。この会合では、MNO(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク)が定期契約プランの自動更新について考えを述べる場面があった。
今回ヒアリングに応じた3社は、定期契約を自動更新としている理由として以下の2点を挙げた。
簡単にいえば、「ユーザーの手続き忘れによって割高な料金で使い続けることを防ぐために自動更新としている」ということだ。
「自動更新でユーザーの選択肢を狭めている」という旨の一部MVNOからの指摘については、3社とも以下の理由から不適当であるという見解を示した。
要するに、「更新期間前に十分な告知はしているし、乗り換え(あるいは定期契約なしのプランへの変更)を検討する時間は十分に確保しているため、乗り換えやプラン変更を阻害している認識はない」ということだ。
初回の定期契約が満了した後、各キャリアではいつでも解約(乗り換え)可能でかつ通常の「定期契約なしプラン」よりも安価な料金プランを提供している。
これらのプランを詳細に見てみると、ドコモが「定期契約プランと同額にする代わりに、各種特典を付与しない」のに対し、au(KDDIと沖縄セルラー電話)とソフトバンクが「定期契約プランよりも数百円増し」と、組み立てが異なっている。
この点について、第2回会合では「契約段階で、2年後のプランまで選ぶことは、消費者にとっては大変に難しい」という消費者団体からの指摘を受けて、KDDIとソフトバンクに対して「ドコモのフリーコースのように『期間拘束なし・料金変わらず』の選択肢をユーザーに与えないのか?」という旨の質問が構成員から出た。
この質問に対し両社は、料金プランは各社が自社のコスト構造や他社との競争を勘案して作るものであり、その結果が現在のプラン設定につながったと戦略上あえて“割高”としていることを説明。
ユーザーの予見性に対する懸念については、定期契約期間満了前後の告知である程度対応できているとの認識を示した。
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