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» 2018年02月02日 10時00分 公開

石川温のスマホ業界新聞:UQモバイルは本当にKDDIから優遇されていないのか――通信速度至上主義はMVNOの存在を否定することにはならないのか

総務省で行われている「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」。その第3回会合で、MVNOの通信速度が話題となった。MVNOの競争環境は「速度」だけで語られるべきものなのだろうか?

[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

 総務省での「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」は今週、第3回が行われた。ヒヤリングでは、キャリアとしてNTTドコモ、KDDI、UQコミュニケーションズ、ソフトバンクが登場。「サブブランド潰し」と言われている中、UQコミュニケーションズとソフトバンクから「反論」の機会が与えられた。

この記事について

この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2018年1月27日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額540円・税込)の申し込みはこちらから。


 今回の議論で気になったのが、通信速度に関する問題意識だ。UQモバイルが昼間の時間帯であっても安定して高速であることから「他のMVNOから不満が出ている」のだという。確かに、速度比較の記事などを見ると、UQモバイルは圧倒的に速い印象だ。しかし、KDDIは「MVNOへの提供条件はすべて同等。当社がMVNOの通信速度を調整することはない」といい、UQコミュニケーションズも「KDDIから接続料等で優遇を受けていることはない。一定の通信速度を確保することがポリシーだ」としている。

 そんななか、有識者からは「縦軸にユーザー数、横軸に帯域幅をとったグラフを作り、MVNOをマッピングし、一定のスループットが出るには、最低どれくらいの帯域幅が必要なのか、可視化するのはどうか」という提案があった。

 各MVNOから総務省に対して、ユーザー数と帯域幅を提出してもらえばいいのではないか、という。

 いまの接続料は全体平均で計算している。そのため、どれくらいの帯域があれば安定して高速に通信できるかを割り出し、接続料を混んでいる時間帯を考慮したものにすれば、MVNOは昼間の時間帯に合わせて帯域を広げる必要はなくなり、サブブランドとも真っ向勝負できるのではないか、というのだ。

 確かに、昼間の時間帯が不利だというNTTドコモ系MVNOのことを考えると、これまでの接続料ではなく、新しい契約体系を見直してもいいのではないか、という提案は至極真っ当だ。

 ただ、このように通信速度ありきで、MVNOの優劣が語られるようになると、「誰しも高速なMVNOを選ぶべき」という評価軸が一人歩きするようで、ちょっと不安な気にさせられてくる。

 MVNOのなかには、高速通信では勝負せずに、トーンモバイルのように「低速だけど安い」という売り出し方をしているところもある。実際、速度調査記事でトーンモバイルは惨敗なのだが、それでも、月額1000円と独自サービスで、競争の激しいMVNOのなかでは個性を発揮しているように思う。

 「限られた帯域のなかで、いかにユーザーを詰め込んで、そこそこの通信速度を提供するか」は各MVNOの経営センスが問われるところであり、これこそが、MVNOの競争において、最も重要なポイントのように思える。

 しかし、各MVNOの帯域とユーザー数と速度を、並べてつまびらかにしてしまっては、「とにかく帯域を広げまくって、速度が速いMVNOがいい」という結論になりかねない。

 このまま総務省の議論が進めば、単に速度の遅いMVNOが淘汰されるだけで終わるような気がしてならないのだ。

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