―― ところで、ビットコイン決済を利用する人は、他の決済方法を利用する人と比べて決済金額や購入商品に特筆すべき傾向の違いはあるのでしょうか。
広報担当 商品については「ビットコインだからコレを買う」といった傾向は見られません。ただ、決済単価については高くなる傾向にあります。
具体的な金額は言えませんが、全決済方法の平均額とビットコイン決済単体の平均額を比較すると、後者の方が2〜3倍ほどになっています。
―― それはすごい。店頭での決済限度額を引き上げたのは、それが理由ですか。
広報担当 それもあります。
2017年7月に全店導入したタイミングから(限度額引き上げ直前の)同11月までの間で集計すると、限度額(10万円)いっぱいに決済した件数が3倍ほどになりました。10万円を超えるお買い物(の代金の一部)にビットコイン決済を使ったということです。
そこで「決済限度額を上げよう」ということで、12月から従来の3倍となる30万円に設定しました。
―― これ以上決済限度額を上げる予定はありますか。
広報担当 今のところありません。
「新生活に向けて、家電を一気に買う」といったまとめ買いなら話は別ですが、単品ベースで考えると、取扱商品で30万円を超える商品はそれほど多くありません。有機ELテレビや洗濯機、冷蔵庫は新製品だと30万円を超える商品もありますが、薄型テレビ、洗濯機、冷蔵庫の平均単価は30万円未満です。
30万円もあれば(ビックカメラで取り扱う)大半の商品が買えますから、この金額でしばらく様子を見たいと思っています。
―― ビットコイン決済で購入できない商品はあるのでしょうか。
広報担当 換金性の高いものは購入できません。具体的には、そのため、POSAカードや商品券・ギフトカードの購入には使えません。
※POSAカード:レジで代金を支払うと有効化されるプリペイドカード
―― ビットコイン決済を導入するに当たって、追加の投資はありましたか。
広報担当 ほとんどしていません。
というのも、弊社では中国人旅行客を想定して「WeChat Pay(微信支付)」や「Alipay(支付宝)」を導入済みです。ビットコイン決済ではWeChat Pay用に備え付けた端末(iPod touch)をそのまま利用しているので、新規に端末を購入することはありません。
レジでのオペレーションも基本的にこれらの支払い方法と同一です。店員への教育は30分ほどで完了します。
―― ビットコインは相場が良く動きます。ビットコインの支払い額はいつ確定するのですか。
広報担当 お客さまが読み取るQRコードを発行した際のレートを適用します。
―― ということは、決済完了後にレートが変わってしまった場合のリスクはビックカメラが負うのでしょうか。
広報担当 いえ、そうではありません。
弊社のビットコイン決済は、ビットフライヤーのシステムを使っています。弊社は毎日ビットコインの決済額を集計し、翌日までにビットフライヤーに送信します。ビットフライヤーは決済日のレートに従って決済額を日本円に変換し、手数料を引いた金額を弊社に振り込みます。
弊社はビットコインを全く保有していないので、価格変動リスクにさらされることはありません。
―― 決済システムを提供するビットフライヤーが、価格変動リスクを負うということですか。
広報担当 そういうことになります。
ビックカメラにおけるビットコイン決済は、筆者の想像以上に使われているようだ。
今後、ビックカメラ以外の大規模導入事例が出てくるかどうか、注視したい。
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