2008年のネット界はなんだか地味だった。「ニコニコ動画」や「pixiv」といった創作系サービスは引き続き人気だったが、それ以外に急成長したネットサービスも特に見当たらない。「Web2.0」ブームも一巡し、次の方向感を見いだせないまま不景気の波にのまれていきそうだ。記事の最後にアクセストップ100へのリンクあり。
ニコニコ動画は1000万会員を突破。ドワンゴは顧問に夏野剛氏を迎え、西村博之氏との“二巨頭体勢”を築いた。人気は健在だが黒字化が当初の予定より遅れているのが気がかり。「来年には黒字化する」そうだが、どうなることか。
今年最も急成長したサービスといえばイラストSNS「pixiv」だろう。オープンから1年3カ月で月間ページビューは4億、会員数は40万に。収支はぎりぎりというが楽しそうに運営している様子がネットの次世代を感じさせる。
ネットが一般の人の生活に浸透する中で、現実社会とのあつれきが表面化。秋葉原の無差別殺傷事件をきっかけに、ネット上の犯行予告にも注目が集まったほか、「ダウンロード違法化」「青少年ネット規制法」「Googleストリートビュー問題」などが議論になった。
犯行予告は、秋葉原の無差別殺傷事件の被告が、携帯電話サイトに犯行予告を書き込んでいたことから注目を浴びた。警視庁が掲示板運営者などに「ネット上の犯行予告を見付けたら110番を」と呼び掛け、犯行予告を集約するサイト「予告.in」も話題になった。
ダウンロード違法化は、違法・録音録画物の複製を著作権法30条の「私的使用」の範囲から外し、違法としようというもの。文化庁傘下の私的録音録画小委員会で議論され、パブリックコメントでは「反対」の意見が大半だったが、文化庁が敷いた既定路線通り違法化が決まった。
「学校裏サイト」が「いじめの温床」などと報じられ、「未成年者をネット上の“有害”情報から保護すべき」という機運が盛り上がり、ネット規制法が成立。ネット業界内外から反発の声を押し切った。
Webブラウザ業界では、「Firefox 3」がシェアを伸ばし、グーグルも独自の高速ブラウザ「Chrome」を公開。Internet Explorerの独占はほぼ崩れた。
Windows Vistaは「第2のMeか」という残念な評価が固まりつつある一方で「Windows 7」への期待が高まっているが、リリースは10年1月とまだ先の話だ。
ハード系の話題では、iPhone 3Gが国内で発売されて話題になったが、「期待したほど売れていない」という説も。PCでは「Eee PC」がミニノートPCブームを呼び起こし、各社が参入。新販売制度導入で高価格化した携帯電話の需要に取って代わるという声もある。
テレビ関連では、次世代レコーダー争いがBlu-ray Disc勝利で決着。地上デジタル放送の新録画ルール「ダビング10」がいろいろあった末にスタートした一方で、デジタル放送のコピー制限を回避できる「Friio」が話題になった。
米国の金融危機に端を発した世界同時不況と円高がIT・エレクトロニクス業界にも暗い影を落とし、復活の兆しを見せていたソニーや好調だったパナソニックも相次いで大幅な下方修正。リストラも始まった。
先行きの見えない不景気の中、来年のネット界はどうなることやら。来年もITmedia Newsをよろしくお願いいたします。
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