シャープが約1年ぶりにノートPCの新製品を発売する。「新生Mebius」こと「PC-NJ70A」は、世界で初めて光センサー液晶技術を製品化した注目のモデルだ。さっそく光センサー液晶パッドの使い心地や外観などを写真でチェックしていこう。
PC-NJ70Aのスペック表を眺めれば分かるとおり、Atom N270(1.6GHz)とIntel 945GSE Expressを組み合わせた基本アーキテクチャをはじめ、1Gバイトのメモリ(最大2Gバイト)や160GバイトのHDD、1024×600ドット表示の10.1型ワイド液晶は、昨今のノートPC市場を席巻してきたNetbookと呼ばれる製品の標準的な仕様だ。今回評価できたモデルが試作機だったためベンチマークテストは割愛したが、性能面でもほかのNetbookと大差はないと思われる。ただし、OSにはNebookで主流のWindows XP Home Editionではなく、Windows Vista Home Basic(SP1)が採用されており、操作感はやや重い印象だ。
※記事初出時、PC-NJ70Aの搭載OSについてWindows Vista Home Premiumと記述しておりましたが、正しくはHome Basicです。おわびして訂正いたします。
本体サイズは260(幅)×190(奥行き)×23.3〜39.8(高さ)ミリで、重量は約1.46キロ。10.1型クラスのNetbookとしては、本体の厚さと重量はやや大柄な部類に入る。また、バッテリー駆動時間は公称値で約3時間となっており、大容量バッテリーも用意されていないことから、モバイルPCとしての適性はあまり高くない。もっとも、同製品の発表会でも「(PC-NJ70Aを)一家の2台目、あなたの1台目に」と語っており、家庭内での利用を前提とした個人用PCという位置付けのようだ。
同社はPC-NJ70Aのターゲットを「18〜20代/30代〜40代の女性やキーボード入力に不慣れなシニア層」と説明しており、Netbookの需要を支えてきたPCリテラシーの高い従来層だけでなく、より広い一般層を視野に入れている。そのキーデバイスとなるのが前述した光センサー液晶パッドだ。マルチタッチやペン入力に対応したこの新しいUIによって、より使いやすい直感的な操作を可能とし、従来の“Netbook”と差別化を図ろうとしている。
光センサー液晶パッドは、液晶上に光センサーを内蔵することにより、液晶表示とパッド入力の両方を兼ねたデバイスで、マルチタッチによるジェスチャー操作とペン/指入力に対応する。例えば、通常のマウス機能だけでなく、手書き文字による辞書検索や写真への描き込み、指によるメディアコンテンツの閲覧などが行える。ただし、マウス操作とタッチ操作の切り替えは、左右クリックボタンの中央に配置されたボタンを押す必要があり、使い始めはややとまどうかもしれない。光センサー液晶は4型で解像度が854×480ドットとかなり高精細だ。視野角はかなり狭いが実用上まったく問題はない。なお、パッドとパームレストとの段差はなく、完全にフラットな状態で本体に埋め込まれており、非常にすっきりとしている。
PC-NJ70Aの実売価格は約8万円前後と、Netbookとしてはやや高めだ。スペック面でほぼNetbookの標準仕様であることを考えると、その価格差は光センサー液晶パッドの1点にかかっている。ただし、現時点で用意されている光センサー液晶パッド用のアプリケーションを一通り使ってみて、確かに“可能性”は感じるのだが、実用面からみるとなかなか厳しいという印象を受けた。そもそも一部のアプリを除くと光センサー液晶パッドを使ったデモソフト、といった程度の作り込みしかされていないように感じる。もっとも、このあたりについては、追加ソフトウェアやSDKの公開もひかえており、“タッチ”であることの必然性を感じさせてくれるアプリケーションの登場が期待されるところだ。
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