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» 2011年11月16日 00時00分 UPDATE

性能、発熱、騒音、駆動時間を比較:“Ultrabook”注目モデルの思わぬ実力とは?――「ZENBOOK」徹底検証(後編) (5/5)

[前橋豪, 撮影:矢野渉,ITmedia]
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コストパフォーマンスは抜群、足りないものがあるとすれば……

 以上、2機種のZENBOOKをさまざまな角度からテストした。操作性や放熱面など、細部にツメの甘さも見られるが、いずれもこの価格帯で購入できる薄型軽量モバイルノートPCではパフォーマンスが高く、デザインも含め、第1世代のUltrabookとして満足度が高い。

 UX21E-KX128はコンパクトなボディと軽さ、高速なSSDによるパフォーマンス、そして価格の安さがウリで、UX31E-RY256は解像度の高さとバッテリー駆動時間の長さ、SSDの容量、ゆとりのある入力環境、SDメモリーカードスロットの搭載で有利だ。ボディデザインや基本設計は同じなので、この長所を踏まえて、予算と用途に応じてどちらを選ぶか決めればよいだろう。

 個人的には、UX31E-RY256のほうに興味を引かれた。価格差が約3万円あり、ボディが重くなって、パフォーマンスで見劣りする面が見られるものの、1600×900ドット表示の13.3型ワイド液晶を備え、長時間のバッテリー駆動に対応できることから、モバイル環境での作業効率とスタミナで勝るからだ。

 SSDの容量にこだわらなければ、現在発売中の128GバイトSSDモデルがUX21E-KX128と同じSSD(ADATA製XM11)を採用しているため、ストレージの速度が改善されるはずで、低価格(10万9800円)に入手できるメリットもあり、手堅い選択肢に思える(SSDは同容量でもマルチベンダーの可能性があるので、保証はできないが)。

 ZENBOOKはクラス最薄や最軽量というわけではないが、性能、機能、携帯性、デザイン、そして価格設定のトータルバランスが良好で、コストパフォーマンスが際立っている。残念ながら、今の国内メーカーがこのコストパフォーマンスに対抗するのは困難だろう(ユーザーの心をつかむ付加価値の提供などで差別化していってほしい)。

 ただし、ASUSがZENBOOKで高い完成度を実現できた背景には、IntelのUltrabook戦略に賛同したことに加えて、現状で最も成功している薄型軽量モバイルノートといえるMacBook Airをターゲットに定め、同じアルミユニボディで各部のサイズやデザインを追求していき、一部のスペックと価格で差別化するという大胆な戦略を採ったことがあるのも確かだ。

 発表会では製品名を隠しながらも、MacBook Airを“トップセラーの競合機種”として比較し、ZENBOOKの優位性をアピールしたことからも、強い対抗意識がうかがえる。

 これに対して、少々やり過ぎではないか、という声が聞かれるのも分からなくはない。実際、キーボードやタッチパッドのデザインは、OSが異なるMacBook Airの影響を強く受けたことで、使い勝手にマイナス面も生じており、Windows搭載のモバイルノートPCとしては別の解答があったように思える。

 昨今のASUSは「Eee PC」や「Eee Pad」などのブランドにおいて、独自の仕様やデザインの製品を数多く投入しており、それが多くのこだわりあるユーザーの琴線に触れ、ワールドワイドでの支持も集めてきた。ZENBOOKについても、その実力をもって次世代機では“ASUSらしさ”をより明確にしてくれることに期待したい。

 もっとも、現状でもZENBOOKは十分過ぎるほど魅力的だ。一朝一夕でこれだけの製品を作れるわけはなく、ASUSがOEMメーカーとして蓄積してきたノウハウや、ワールドワイドで多彩なPC製品を投入して得た技術が存分に発揮されていることは間違いない。

 結局のところ、この冬にコストパフォーマンスが優れた薄型軽量モバイルノートPCを探しているならば、ZENBOOKが有力候補の筆頭に挙げられる。Ultrabookの高いポテンシャルをいち早くグイッと引き出してきた、先進性と買い得感が味わえるモバイルマシンだ。

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