まずはVAIO Duo 11の起動や復帰といったレスポンス面を確認していこう。VAIO Duo 11は、2012年の夏モデルから投入されたソニー独自の高速復帰/低消費電力ソリューション「Rapid Wake + Eco」を引き続き搭載している。
Rapid Wake + Ecoとは、利用中に電源ボタンを押すと、省電力スリープに移行するとともに、作業状態をストレージに書き込むことで、スリープ状態でのバッテリー切れなどに起因するデータ消失リスクを抑えるというものだ。
Intel Rapid Start Technologyによる省電力なスリープ機能を採用し、スリープ状態で休止状態のようにバッテリーを長時間持続させながら、電源ボタンを再び押すと即座に復帰できる。既存のハイブリッドスリープのように、スリープから一定時間経過後に作業状態のデータをストレージへ書き込むのではなく、スリープへ移行する際に必ずストレージへ記録することにより、データ保護を重視しているのが、VAIO独自の工夫だ。
今回はこのRapid Wake + Ecoを踏まえ、2台のVAIO Duo 11で起動時間(電源ボタンを押してから、Windows 8のスタート画面が表示されるまで)、スリープへの移行時間(電源ボタンを押してから、スリープへ移行するまで)、スリープからの復帰時間(電源ボタンを押してから、スリープから復帰するまで)、シャットダウンにかかる時間(画面上でシャットダウンを選択し、電源がオフになるまで)をそれぞれ計測した。いずれも「VAIOの設定」でRapid Wake + Ecoをオンにした状態で5回以上計測し、計測値が明らかにおかしい値を除いたうえで平均値を算出している。
テスト結果は、2台とも非常に高速だった。これにはRapid Wake + Ecoの採用だけでなく、Windows 8自体がWindows 7から起動やシャットダウンを高速化していることに加えて、VAIO Duo 11ではストレージを高速なSSDに統一しており、そのうえでUEFI(Unified Extensible Firmware Interface)ブートによる起動の高速化を行っていることが効いている。CPUやメモリ容量で勝る直販モデルが全体的に高速な結果となったが、1〜2秒程度の違いなので体感差はほとんどない。
特にWindows 8では、内部的に休止状態を活用して起動を高速化させる「高速スタートアップ」機能が初期設定で有効になっているため、起動時間がすこぶる速い(高速スタートをオフに設定することも可能)。起動時間の平均値は直販モデルで7.3秒、店頭モデルで8.1秒しかかからなかった。シャットダウンも直販モデルで5.7秒、店頭モデルで7.7秒と待たされる感覚がない(アプリを複数起動した状態からのシャットダウンなどでは当然、遅くなるが)。
日常的に使う頻度が高いと思われるスリープへの移行と復帰の動作もキビキビとしている。スリープへの移行は直販モデルで4.9秒、店頭モデルでも5.9秒だった。スリープからの復帰は直販モデルが2.0秒、店頭モデルが1.9秒と、どちらも直ちに立ち上がるので、モバイル環境でも軽快に利用できる。
ちなみにRapid Wake + Ecoを採用したVAIO Duo 11では、電源ボタンを押すと、瞬時に画面表示は消えるが、数秒間はディスクアクセスが続く。これはスリープへ移行しつつ、作業状態をストレージに書き込んでいるからだ。
しかし、VAIO Duo 11はストレージが高速かつ振動に強いSSDなので問題ない。書き込み時間自体が短く、HDDのように回転するディスクやその上で動くヘッドがないことから、電源ボタンを押したらスリープへ完全に移行するまで待たずに持ち上げて運んだり、バッグにしまって移動しても、HDDのように物理障害が発生する危険性は低いのだ。
以前にレビューしたHDDとキャッシュ用SSDを内蔵する「VAIO T」の店頭モデルでは、Rapid Wake + Ecoによるスリープ時の書き込み時間が気になったものだが、VAIO Duo 11ではスリープ移行時の書き込み時間を意識せずに使えるので、より便利さを実感できた。
なお、直販モデルで起動、スリープへの移行、スリープからの復帰、シャットダウンを行った様子は以下に動画でも掲載したので、そのスピードをご覧いただきたい。
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