最新3D描画機能を実装したタブレット向けベンチマークテスト「MOBILE GPUMARK」タブレットの“3DMark”になるか

» 2012年11月13日 20時51分 公開
[ITmedia]

実際のゲーム動作を想定した3Dベンチマークテスト

MOBILE GPUMARKのトップ画面。画質設定と実行するベンチマークテストを選択できる

 「MOBILE GPUMARK」は、シリコンスタジオがゲーム開発に用いているミドルウェア「YEBIS 2」「DAIKOKU」を利用して3D描画のリアルレンダリングを行う処理速度を測定するベンチマークテストで、実際のアプリが動作する状態における性能の測定を目的として開発した。iOS対応アプリはApp Storeで、Android対応アプリはGoogle Playでそれぞれダウンロードできる。

 YEBIS 2は、グレア表現やレンズエフェクト、フィルム感光効果、HDR表現(リアルも疑似も対応)、アンリエイリアスなどのポストエフェクトを実現する。また、DAIKOKUは、高度なシェーディング処理をプロフラマブルシェーダーによるコーテックなしで利用できるミドルウェアだ。

 MOBILE GPUMARKは、iOS 5.1以降、または、Android 2..3.3以降を導入するスマートフォンやタブレットデバイスにおける、3D描画処理能力を最新のファンクションを利用して行える。さらに、デモモードでは、ユーザーが画面や設定を操作してMOBILE GPUMARKに実装した3D描画のエフェクトを確認できる。

 MOBILE GPUMARKで測定した結果は、ソーシャルゲーム構築パッケージ「BENTEN」のランキング機能を利用して、シリコンスタジオの専用Webページにアップロードできる。このWebページでは、登録した結果を、ほかのユーザーが測定した結果と比較したランキングを確認できる。

 MOBILE GPUMARKの測定メニューには、画質設定として「High」「Normal」「Low」のモードを用意している。Highはデバイスの最大解像度で動作し、Normalは、デバイス最大解像度の縦横0.75倍、Lowはデバイス最大解像度の縦横0.5倍にそれぞれ設定して動作する。

膨大なポリゴンで構成する高精細3Dモデルでグラフィックス性能を測定

 ベンチマークテストには、「RIGID GEMS」「DEAD PARKING」「NATURAL BONE」「GPU BENCHMARK」の各個別テストを備える。

 RIGID GENSは、宝石が落下してくる画面を利用して、宝石を通る光の屈折と反射の表現をシェーダプログラムで処理するグラフィックスコアの性能と、複数の宝石が衝突する物理演算におけるCPUの処理能力を測定する。また、YEBIS 2エンジンによるグレア処理と被写界深度処理のグラフィックスコア性能も合わせて測定できる。3Dモデルのポリゴン数は、宝石1個につき300〜600ポリゴン、指輪1個につき832ポリゴンになる。

 

 DEADPARKINGは、地下駐車場でモンスターが徘徊する画面を利用して、グラフィックスコアとCPUの処理能力を測定する。グラフィクスコアの処理能力は、構成ポリゴン数の多い3Dキャラクターを多数描画する能力や影の生成、グレア処理や被写界深度処理の能力で測定し、CPU性能は3Dキャラクターの動きの制御で測定する。DEAD PARKINGに登場する3Dキャラクターの構成ポリゴン数は、モンスターが1体につき約2000ポリゴンで、24体が登場するほか、主人公が約3300ポリゴン、背景は約1万3000ポリゴンで構成する。

 NATURAL BONEは、森を動き回るキャラクターの高精細テクスチャを描画する処理でグラフィクスコアの性能を測定する。登場するキャラクターは現在市販しているハイエンドコンシューマーゲーム機に相当する3Dモデルと高精細テクスチャを採用する。キャラクターは約1万2000ポリゴンで構成し、背景を構成するポリゴンの数は約15万に達する。

RIGID GEMSは、宝石を通る光の屈折や反射の描画や動きの計算の処理能力を測定する(写真=左)。DEADPARKINGは、多数のポリゴンで構成する3Dモデルの描画とキャラクターの動きの計算能力を(写真=中央)、NAURAL BONEは、膨大なポリゴンで構成する高精細な描画の処理能力をそれぞれ測定する(写真=右)

 GPU BENCHMARKでは、塗りつぶし処理を行うシェーダプログラムの実行速度を測定する「Fill Test」に、41万1021ポリゴンで構成する3Dモデルの描画性能を測定する「Many Models」、光源計算を頂点ごとに行う描画性能を測定する「Per Vertex Lighting」、鏡面反射を伴う光源計算を頂点ごとに行う描画性能を測定する「Per Vertex Lighting & Specular」、鏡面反射を伴う光源計算をピクセルごとに行う描画性能を測定する「Per Pixel Lighting & Specular」、鏡面反射と法線マップを伴う光源計算をピクセルごとに行う描画性能を測定する「Per Pixel Lighting & Specular & Normalmap」を実行するほか、YEBIS 2による描画効果処理を420×234ドット、800×450ドット、1280×720ドットの各解像度で測定する。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年05月11日 更新
  1. 新型「iPad Pro」がM3チップをスキップした理由 現地でM4チップ搭載モデルと「iPad Air」に触れて驚いたこと (2024年05月09日)
  2. 「M4チップ」と「第10世代iPad」こそがAppleスペシャルイベントの真のスターかもしれない (2024年05月10日)
  3. 個人が「Excel」や「Word」でCopilotを活用する方法は? (2024年05月08日)
  4. Minisforum、Intel N100を搭載したスティック型ミニPC「Minisforum S100」の国内販売を開始 (2024年05月10日)
  5. “NEXT GIGA”に向けた各社の取り組みやいかに?──日本最大の教育関連展示会「EDIX 東京」に出展していたPCメーカーのブースレポート (2024年05月09日)
  6. NECプラットフォームズ、Wi-Fi 6E対応のホーム無線LANルーター「Aterm WX5400T6」 (2024年05月09日)
  7. ASRock、容量約2Lの小型ボディーを採用したSocket AM5対応ミニベアボーンPCキット (2024年05月10日)
  8. SSDの“引っ越し”プラスαの価値がある! 税込み1万円前後のセンチュリー「M.2 NVMe SSDクローンBOX」を使ってみる【前編】 (2024年05月06日)
  9. Core Ultra 9を搭載した4型ディスプレイ&Webカメラ付きミニPC「AtomMan X7 Ti」がMinisforumから登場 (2024年05月08日)
  10. これは“iPad SE”なのか? 新型iPadを試して分かった「無印は基準機」という位置付けとシリーズの新たな幕開け (2022年10月24日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー