レビュー
» 2013年01月03日 22時00分 UPDATE

勝手に連載「海で使うIT」:「インマルサット」「イリジウム」で真冬の海からFacebookに入電せよ (1/4)

「衛星電話なんて高くてでかくて使えません」というのは過去の話だ。いまや、アマチュア無線より簡単確実で意外と安い。そんな衛星携帯電話でSNSを使ってみた。

[長浜和也(撮影:矢野渉),ITmedia]

ハンディ端末の登場でインマルサットも個人で使える!

kn_satphone_22.jpg 伊豆諸島東方海域でインマルサット衛星携帯電話「Isat Phone Pro」を使う。今回の検証航海は「時化た冬の海」という、かつてない過酷な条件の下で行った

 自分の経験上、海上において携帯電話が使えるエリアは、沿岸からほぼ4〜7海里に限られる。「ちょっとそこまで釣りに」という感じで、船外機をつけたオープンデッキの小型ボートやディンギー、沿岸のブイ回りヨットレースなどなど、陸の建物がはっきりと見える沿岸なら有効な通信手段として使える。

 母港から遠く離れた海域まで航海する場合でも、沿岸伝い、または、島伝いなら、航路の設定によっては意外と携帯電話の圏内を航海できる。伊豆諸島の巡航であっても、(伊豆)大島北端の風早崎から西に抜け、伊豆諸島西側と伊豆半島東岸にはさまれた海域を航路に設定すれば、大島から利島、そして、新島を経て式根島、さらには、神津島まで携帯電話を使い続けられる(2008年9月における検証)。

 ただし、神津島から南に下って三宅島に向かう場合、その途中で携帯電話の圏外に出てしまい、三宅島に近づくまで使える通信手段がなくなってしまう。伊豆諸島の東側海域に航路を設定した場合は房総半島を超えて大島の竜王埼灯台を超えて利島の緯度に並んだあたりから三宅島に近づくまで圏外になってしまう(2010年10月検証)。また、そんな遠いところまでいかずとも、東京湾の中央部や相模湾の真ん中(城ヶ島南西沖ブイを越えて西側海域に入ったあたり)でも、携帯電話は使えなくなってしまう。

 このような海域で陸上との通信手段として利用できるのが、アマチュア無線と通信衛星による電話サービスだ。通信衛星を用いる電話サービス(衛星電話)には、イリジウムとインマルサットといった全世界規模で利用できるものと、最近ソフトバンクモバイルが日本でのサービス提供を発表した「スラヤ」といった地域限定タイプがある。

イリジウムの最新端末「9575 Extreme」

 「経費が高すぎて個人では無理」というイメージがある衛星電話だが、KDDIが提供するイリジウム衛星電話サービスでは、使用契約料が1万500円で、月額基本料が6000円(無料通信料2000円を含む)、または、5000円(無料通信料1000円)かかる。通信料は20秒当たりの課金で、固定電話と携帯電話あて発信が55円(6000円プラン)、または、63円(5000円プラン)。同様に、イリジウム衛星電話宛の発信は35円(5000円プラン)、または40円(6000円プラン)。イリジウム以外の衛星電話宛の発信は500円(5000円プラン)、または、572円(6000円プラン)となる。イリジウム衛星電話はSMSも利用でき、その利用料金は、発信1回当たり50円(6000円プラン)、または、58円(5000円プラン)。受信は無料だ。

 イリジウムは、運用を一時期停止していたが、2005年6月1日からKDDIネットワーク&ソリューションズ(KNSL)によってサービスを再開した。この連載でも検証記事を掲載している。そのときに試用したのは、「Satellite Series 9505A Portable Phone」だったが、現在、イリジウム衛星携帯電話で利用できる最新端末として、「イリジウム Extreme」(以下、9575 Extreme。海外では、Iridium 9575 Extremeと型番入りで呼ぶ場合も多い)が利用できる。本体サイズは60(幅)×27(奥行き)×140(高さ)ミリ、重さは約247グラム。バッテリー駆動時間は連続待ち受けで約30時間、連続通話は約4時間となる。防水防じん性能はIP65に準拠するほか、米国防総省MIL規格で環境耐性評価試験を示すMIL-STD-810Fをクリアしている(ただし、具体的にクリアしたmethodについては不明)。端末の実売価格は20万円台半ばとみられる。

kn_satphone_01.jpgkn_satphone_02.jpg 最新のイリジウム対応端末「Iridium 9575 Extreme」は、アンテナを展開してその先端をクイッと曲げるのがコツ

 なお、イリジウムはパケットデータ通信をサポートするが、通信速度は2400bpsと現在のインターネットでアクセスできるサービスを利用するには遅すぎる。9575 Extremeは、充電用電源コネクタとMini USBインタフェースを設けた拡張ユニットが標準で付属する。Mini USBでPCと接続するとモデムとして機能するメニューを用意しており、PC側にインストールするドライバとユーティリティも存在するが、KDDIでは、パケットによるデータ通信をサポートしておらず、利用料金も提示していない。

 また、SEA JAPAN 2012のリポートでも紹介したように、9575 Extremの外付けユニットとして無線LANルータがある。iOSやAndroid対応のモバイルデバイスでIridiumをモデム代わりに使えるが、こちらも日本では認証を受ける予定がないため利用できない。

       1|2|3|4 次のページへ

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.