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» 2013年01月03日 22時00分 UPDATE

勝手に連載「海で使うIT」:「インマルサット」「イリジウム」で真冬の海からFacebookに入電せよ (2/4)

[長浜和也(撮影:矢野渉),ITmedia]

9575 Extremeで利用できるワンプッシュ発信機能

 9575 Extremeは、押すだけで自分の位置をGPSデータとして発信できる「SOSボタン」と、ユーザーがその機能を設定できる「コンビニエンスボタン」を備えている。SOSボタンは、本体上部にある防水性のゴムキャップを外すと押せるようになっている。このボタンを押すと、9575 Extremeはエマージェンシーモードに移行し、あらかじめ決まっているメッセージ(GPSで取得した位置情報とメッセージ発信時間、9575 Extremeのバッテリー残量など)を、SMSを利用してユーザーが指定したあて先(SMSで使える電話番号のほか、メールアドレスも指定できる。あて先は複数設定可能)に自動で繰り返し送信する。いったん、SOSボタンを押すと、その後の処理は自動で進むが、万が一の誤動作を防ぐために、処理実行まで20秒のカウントダウンを画面に表示する。動作をキャンセルする場合は、この20秒間の間にキャンセルボタンを押すことになる。

 コンビニエンスボタンは、初期状態で「現在位置発信機能」を割り当てている(評価時点で、これ以外の機能をコンビニエンスボタンに割り当てることはできない)。この機能は、GPSで取得した位置情報をユーザーが指定したあて先にSMSで発信する。通常のメニュー体系では、「Menu」>「Setup」>「Location Option」>「Current Location」と深い階層で、かつ、分かりにくいところにあるが、本体右側面にあるボタンを1回押すだけで呼び出すことができる。実際のメッセージ発信は、呼び出した画面から「Share」>「Quick GPS」選択後、または、「New Message」を選択してメッセージを作成発信した後になる。Quick GPSでは、GPSの位置情報のみを送ることになるが、New Messageを選択するとGPSの位置情報に加えてユーザーが文章を追記できる。

kn_satphone_03.jpgkn_satphone_04.jpg 本体上部に設けたSOSボタンと(写真=左)、本体右側面に用意したコンビニエンスボタン(写真=右)を使えば、GPSで取得した現在位置をワンアクションで発信できる

kn_satphone_05.jpgkn_satphone_06.jpg SOSボタンを押したときのカウントダウン画面(写真=左)。設定したメッセージは指定した受信先に自動で繰り返し送信する。内容は、位置情報と9575 Extremeのステータスだ(写真=右)

小型船舶でも使えるインマルサット「Isat Phone Pro」

 従来のインマルサットは、主に大きな本船で利用することが多かった。これは、赤道上空3万6000メートルとイリジウムより高く遠い静止衛星と通信するインマルサットでは、指向性の高いアンテナを常に衛星に向けるために、自動追尾と姿勢制御装置といった高価で大型の機材を必要としていたからだ。アンテナが大掛かりになるので、費用も初期導入で100万円を超えるなど、個人が小型のヨットで運用するには、サイズ的にもコスト的にもかなり無理があった。

 しかし、インマルサットも、片手で持てる携帯電話サイズのアンテナ一体型端末「Isat Phone Pro」が登場し、2012年の夏からKDDI、NTTドコモなどが日本でサービスを提供している。従来のような衛星自動追尾、姿勢制御装置を伴うドーム型アンテナは不要で、Isat Phone Proだけを用意すれば、インマルサット衛星電話サービスを利用できる。コストも端末の実売価格が10万円前後と、イリジウム衛星携帯電話の半額程度と購入しやすくなった。契約時の使用契約料が1万500円に月額基本料金が4900円(プランS適用)と個人でも運用維持が可能な価格帯になっている。通話料金は、イリジウムとの通話のみ1分800円で、そのほかは、固定電話、携帯電話、インマルサットのほかのサービス、そして、通話する距離に関係なく、1分160円に設定している。また、Isat Phone Proでは、SMSサービスも利用できるが、その利用料金は送信で1通当たり70円、受信は無料となる。

kn_satphone_07.jpgkn_satphone_08.jpg 「Isat Phone Pro」(写真=左)は、片手で持てるほどに小型の本体サイズで、“でかくて高い”というインマルサットのイメージを一新した

 なお、Isat Phone Proは、本体に用意したmicro USBインタフェースとPCをケーブルで接続することで、モデムとして利用できる機能を備えている。パッケージにはドライバとユーティリティを収録したCD-ROMが標準で付属するが、KDDIは、日本での検証を行っていないことから、PCと接続したデータ通信についてはサポートしておらず、利用料金も示していない。イリジウムと同様に、こちらもPCと接続したデータ通信は利用できないというのが現状だ。

 9575 Extremeで利用できたGPS位置情報の送信機能は、Isat Phone Proでも用意している。メニューの「GPS位置情報」から「GPSの位置情報を送る」を選択して、ユーザーが指定する相手の現在位置の情報をSMS(受信先にはメールアドレスも指定できる)を利用して発信できる。発信する位置情報には、取得したGPSのFixデータのほかにユーザーが文章を加えることも可能だ。

 9575 Extremeのようなワンプッシュで機能を呼び出せる専用ボタンはないが、「*」キーと「#」キーの同時押し(このほか、メニュー>その他>パーソナル通知>パーソナル通知の発信でも同じ操作ができる)でGPSの位置情報と事前に設定したメッセージを、これも事前に用意した送信先(複数設定可)に発信できる「パーソナル通知」機能も利用可能だ。

kn_satphone_10.jpgkn_satphone_09.jpg パーソナル通知の設定画面と送信したメッセージ。メッセージの設定と指定するあて先によっては、9575 ExtremeのSOSボタンやコンビニエンスボタンと同様に使える

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