VAIO Pro 11/13のタッチパネル搭載機は、静電容量式のタッチパネルを装備しており、指によるマルチタッチ操作が可能だ。伝統的なクラムシェル型のノートPCでありながら、タッチ操作を強く意識して設計されたWindows 8のユーザーエクスペリエンスをフルに体験できる。
タッチ操作しやすいようディスプレイ表面に特殊なコーティングなどを施した最近のタブレットに比べると、画面上の指の滑りはあまりスムーズではないが、タッチ対応のノートPCとしては標準的な操作感だろう。
クラムシェル型ノートPCのデザインでタッチ操作をしやすくする工夫としては、ディスプレイに可変トルクヒンジを採用する。閉じた状態から開くときは軽い力で開くが、水平に対して90度を超えるくらいのところから段々と力が必要になってくる仕様だ。ディスプレイを開くと、ヒンジが本体の下に回り込んでスタンド代わりとなり、安定する機構もあって、タッチ操作で画面に触れても本体が大きくぐらつくようなことはない。
なお、ディスプレイのチルト角度は、VAIO Pro 11で135度前後、VAIO Pro 13で126度前後まで開く。IPS液晶パネルの採用もあって、低い位置に置いても画面のチルト角度が足りずに見づらいといったことはないだろう。
VAIO Pro 11/13と、従来の11.6型/13.3型Ultrabook「VAIO Tシリーズ11/Tシリーズ13」を並べて、ディスプレイの表示傾向の違いを確認した。VAIO Pro 13とVAIO Pro 11が鮮明で明るい表示なのに対して、VAIO Tの液晶は色味が青っぽいだけでなく、全体にコントラストと彩度が抑えめで、画素密度が低いためドット感も目立つ。
もっとも、VAIO TのディスプレイはモバイルノートPCとして標準的な液晶パネルを採用しており、VAIO Pro 11/13と見比べなければ特に画質に問題があるとは感じないだろう。VAIO Tの画質が低いというより、VAIO Pro 11/13の画質がそれだけ優れているといったほうが正しい。
高画質の液晶で知られる「VAIO Z」とも見比べてみた。VAIO Zの直販VAIOオーナーメードモデル(VOMモデル)で選べるフルHD液晶ディスプレイは、Adobe RGBカバー率96%の広色域を誇る。実際に見ても、赤や緑がはっきり色濃く感じられる独特の色味で、色域の広さはトリルミナスディスプレイ for Mobile採用のVAIO Pro 11/13に勝る。さすがはハイエンドの証である「Z」を名乗るだけのことはある。
ただし、VAIO Zが搭載するTN方式の液晶パネルは特に上下の視野角が狭く、見る角度が正面からずれるとコントラストと色度の変化が大きい(色域が広いせいか、視野角の狭さが余計に気になることもある)。色温度も少し高めで、白が青っぽくマゼンタ寄りに見える。最大輝度や色温度、階調の再現性はVAIO Pro 11/13のほうが自然だ。総合的な画質という見方では、VAIO Pro 11/13のほうが上回っている印象を受ける。
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