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» 2013年10月04日 12時00分 UPDATE

VAIO完全分解&開発秘話(後編):「VAIO Duo 13」を“徹底解剖”したらPCの未来が見えてきた (1/7)

ソニーが国内で製造する「VAIO Duo 13」は、先進性が際立つ13.3型コンバーチブルPC。実機を徹底分解すると、PCがこれから進むべき未来が見えてくるようだ。

[前橋豪, 撮影:矢野渉,ITmedia]

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VAIOのフラッグシップモデルを分解して深く理解する

注意!

製品を分解/改造すると、メーカー保証は受けられなくなります。内部で使用されている部品などは取材した機材のものであり、すべての個体に該当するわけではありません。



 本特集では、ソニーの新世代スライダーハイブリッドPC「VAIO Duo 13」の開発陣にロングインタビューを実施。開発者自身の手で実機を分解してもらいながら、各部に秘められたこだわりを明らかにしていく。

 前編は、開発の経緯をはじめ、進化した変形機構、液晶ディスプレイ、タッチパネルとペン入力機能についてまとめた。後編では、VAIO Duo 13をさらにパーツ単位まで分解し、ユニークな内部構造をじっくり確認していこう。

 話を伺ったのは前編と同様、開発を統括したプログラムマネージャーの笠井貴光氏、機構設計を行った齋藤謙次氏、電気設計を担当した土田敏正氏、デザイナーの田中聡一氏、そして商品企画の山内洋氏だ。実機は齋藤氏が分解した。

ソニーのノートPCフラッグシップモデル「VAIO Duo 13」。独自のスライド機構(Surf Slider)を採用し、ソニーが「スライダーハイブリッドPC」と呼ぶ13.3型のコンバーチブルPCだ。キーボードモード(写真=左)とタブレットモード(写真=右)をワンアクションで切り替えて利用でき、筆圧検知付きのペン入力にも対応する
前編ではVAIO Duo 13の底面カバーを外し、内部構造を確認した。先端が薄く絞られている左右と手前には、パーツ類が実装されておらず、狭いスペースに高密度にパーツを詰め込んでいる。手前にバッテリー、奥に基板類を配置したレイアウトだ。スライド機構のヒンジは上部中央に小さくまとまり、そのヒンジ部をまたいでCPUとファンをヒートパイプが結んでいるのが面白い

Ultrabook最長のロングバッテリーは「紙のノート」に近付けるため

取り外したバッテリーパック。4辺と中央をネジでしっかり固定している

 まずは本体の底面カバーを取り外した状態から、キーボードの直下に内蔵されているバッテリーを取り外す。

 フラットで薄いバッテリーパックは8本のネジでしっかり固定され、キーボードを下から支える土台とすることで、強めにタイプしてもほとんどたわまない構造となっている。笠井氏は「バッテリーは周辺だけでなく、中央も1本のネジで固定することで、周辺のネジ本数を減らし、容積を最大限に取れるようデザインした」と、設計上の工夫を語る。

 4セル構成のバッテリーはボディ内部で半分以上のスペースを占め、容量約50ワットアワーと13型クラスのUltrabookではかなり大容量だ。公称のバッテリー駆動時間は標準仕様で約18時間、ソニーストア直販のVAIOオーナーメードモデル(VOMモデル)では約18〜18.5時間(構成によって変化)と、11.6型の初代機「VAIO Duo 11」から約2.6倍ものロングバッテリーを実現した。バッテリーの充電時間は約2.5時間だ。

 これらは公称値が実使用よりかなり長くなる傾向のJEITAバッテリー動作時間測定法(Ver.1.0)によるメーカー公称値ではあるが、Ultrabookとして世界最長の駆動時間(2013年6月10日時点、ソニー調べ)を確保しているのは、VAIO Duo 13の大きな魅力の1つだ。

 これほどまでに長時間のバッテリー駆動になぜこだわったのか? 山内氏は「VAIO Duo 13が目指す、紙のノートのようにいつでもどこでも使えるという価値を提供するには、1日ずっと使ってもバッテリーが切れない、実時間で10時間以上のバッテリー駆動時間がどうしても必要だった。そこで企画から強くリクエストした」と答える。

拡張バッテリーなしに1日中持ち運んで使えるバッテリー駆動時間を目指した

 もちろん本体サイズや重量を気にしなければ、長時間のバッテリー駆動は可能だが、VAIO Duo 13の場合は事情が違う。画面サイズが一回り小さいVAIO Duo 11並のボディサイズと重量を維持するという第1目標があり、そのうえで1日中使えるバッテリー駆動時間まで確保しようという、はたから見れば無謀とも思えるチャレンジなのだが、これを見事に達成しているのだ。

 その理由を笠井氏は「初採用となる第4世代Core Uシリーズ(開発コード名:Haswell)の省電力で実装面積が小さくなる特徴を生かしながら、システム全体での省電力化、スライド機構の小型軽量化、そしてVAIOの“安曇野モデル”で培ってきた高密度実装の技術を組み合わせることで、ようやく内蔵バッテリーだけで残業を含めて1日中安心して使えるバッテリーライフも手に入れられた」と説明する。

 一方、VAIO Duo 13は内蔵バッテリーで公称18時間という長時間駆動が可能なため、VAIOノートでおなじみの拡張バッテリーのオプションを用意していない。笠井氏は「拡張バッテリーは、利用シーンに応じて駆動時間を選べる利点がある半面、装着時に本体が厚く重くなる欠点もある。VAIOノートのフラッグシップモデルに課せられた“妥協なきモビリティ”の理想を追求するには、いつかは内蔵バッテリーだけで本当に1日使えて満足できるものを作りたいと常々思っていた。今回はHaswellが登場するタイミングで我々のベストを尽くし、これをやっと実現できた」と感慨深げに話す。

・バッテリー駆動時間テストの詳しい結果はこちら→これぞモバイルPCの最先端:「VAIO Duo 13」徹底検証(後編)――cTDPによる格上のパフォーマンス、驚異的なスタミナ、発熱、騒音をじっくりテストする

付属のACアダプタは小型軽量で持ち運びが苦にならない。VAIO Pro 11/13と同じ仕様だ。本体のサイズは39(幅)×104.5(奥行き)×26.5(高さ)ミリ、実測での重量は241グラム(本体のみ196グラム、電源ケーブル45グラム)

 なお、付属のACアダプタは同時発表された「VAIO Pro 13」や「VAIO Pro 11」と同様、給電用のUSBポートが付いたコンパクトなものを採用する。オプションでACアダプタと合体して持ち運べる小型軽量の無線LANルータ「VGP-WAR100」(3980円)を用意しているのもポイントだ。ここは笠井氏のこだわりで、一度できたものをより小型軽量に自ら設計し直したという。

 VAIO Duo 13はVAIO Duo 11が内蔵していた有線LAN端子を省いているが、このVGP-WAR100を使えば、ACアダプタにLANケーブルをつなぐだけで、そこから先の本体は無線LANでワイヤレス接続して快適に利用できる。

ACアダプタはUSB充電機能があり、ここに接続して使う小型無線LANルータ(VGP-WAR100)をオプションで用意。スティック型ACアダプタのような細長い形で、合体したまま持ち運べる。VGP-WAR100のサイズは39(幅)×33(奥行き)×26.5(高さ)ミリ、重量は約20グラムだ

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