アップルは「BookLamp」や「Swell」の買収でいったい何を企んでいるの?週末アップルPickUp!

» 2014年08月02日 00時00分 公開
[らいら,ITmedia]

 アップルが「BookLamp」を1000万〜1500万ドルで2014年4月に買収していたとTechCrunchが7月25日付けで報じています。BookLampとは、書籍の内容を独自のアルゴリズムで解析し、ユーザー好みの書籍をレコメンド(推奨)する機能を持つWebサイトです。

現在のiBooksにはレコメンド機能がなく、関連ページにはシリーズの別のブックや、著者のその他の作品が表示されるのみ

 レコメンドといえば、アマゾンなどで購入履歴に基づいたおすすめ商品が表示されているのをよく目にしますね。しかし、このBookLampが開発していたのは、大量の書籍をスキャンし、テーマや構成、表現まで分析・数値化するという「ブックゲノム計画」(Book Genome Project)。まさしく人間の遺伝子の全塩基配列を解析した、「ヒトゲノム計画」の書籍バージョンと呼べるかもしれません。

 ちなみに、音楽レコメンデーションサービスの「Pandora Radio」では、音楽版の「ミュージックゲノム計画」が使われています。来てるな、未来!

 さて、本の内容を解析できれば、より詳細なおすすめ商品が表示できますし、性的・暴力的なコンテンツの正確なR指定も可能になります。小説のシリーズ物であれば、好きなキャラクターの出演シーンが多い作品から買う、という選び方もできるかも。

 アマゾンのKindleに比べていまいちパッとしないアップルのiBooksですが、もしこうした技術がiBooks Storeに実装されれば、電子書籍業界に大きな変化が起きるかもしれません。

 アップルの企業買収のニュースは続きます。Re/Codeの報道を引用すると、アップルはまもなく「Swell」を約3000万ドルで買収するとのこと。Swellはポッドキャストを連続してラジオのように聴くことのできるアプリです。コンテンツはスワイプでの切り替えが可能で、その履歴からユーザーの好みを判断、配信に反映させます。

 ポッドキャストといえば、iOS端末では純正のPodcastアプリがありますが……PC USERの読者であればご存じの通り、評価はかなり低く(現時点で★1.5)、レビューでは不安定さや使い勝手の悪さが指摘されています。個人的にもタイトルの見づらさや、画面のごちゃつきも気になるところ。

 一方、今回の買収話が持ち上がったSwellは、シンプルなユーザーインタフェースで、「AirPlay」にも対応とのこと。Swellの技術がPodcastアプリを改善させることを祈るばかりです。

 さらに、Swellの学習機能は、ストリーミングサービス「iTunes Radio」の強化にもつながると思われます。現在はストリーミング再生数が前年同期比50%増と急上昇しており、海外では「Sportify」などの音楽ストリーミングサービスが注目を集めている状態です。アップルにとっては、ストリーミングサービスにおいても確固たる地位を築きたいでしょうから、今後もこういったベンチャー企業の買収が考えられるでしょう。

 振り返ってみると、Siriは2010年に買収され、2011年秋にはiPhone 4Sに搭載されました。セキュリティ開発会社のAuthenTecは、2012年7月に買収されていますが、その後、2013年秋に発売されたiPhone 5sに指紋センサーが搭載されています。買収から製品化までのスパンの短さを考えれば、SwellやBookLampの技術の恩恵を受けるのはそう遠くない未来かもしれません。

Siriにいつ自分が買収されたかたずねると、「守秘義務違反となるため、お話できません」との回答が。抜かりないですね!

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