大解説! GeForce GTX 960「GM206」の最新機能同じ第2世代Maxwellでもいろいろ違う(2/2 ページ)

» 2015年01月29日 10時45分 公開
[本間文,ITmedia]
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オーバークロックの可能性を広げたクロック制御

 GM206が低消費電力動作を実現した背景には、Maxwellが、もともとTegraへの実装を想定して省電力性能を追究した設計になっていることが大きい。特に、Maxwellアーキテクチャで採用した、SM内のPBごとに動作クロックを制御できる仕組みによって、低負荷時にはあまり使われていないPBの動作クロックを抑えることが可能にあったのが、大幅な省電力化に寄与している。

 SM内の動作クロックの制御をきめ細やかにできるようになったことで、よりアグレッシブなオーバークロック動作も可能になった。グラフィックスカードの熱設計や電源設計に余裕を持たせた製品であれば、GPUコアクロックやメモリクロックを大幅に引き上げることもできる。

GeForce GTX 960では、基板設計や熱設計に余裕があれば、よりアグレッシブなオーバークロック動作もできるヘッドルームがある

 一方、GeForce GTX 960では、トランジスタ数やダイサイズを抑えるために、メモリコントローラは128ビット幅にしている。この点だけをみれば、GeForce GTX 660(GK106コア)やGeForce GTX 760(GK204コア)より少ない。しかし、ウォーカー氏は「GM206では、GM204でも採用したカラー圧縮技術などをサポートした最新メモリコントローラを採用するほか、より高速なGDDR5メモリを載せているため、128ビット幅メモリインタフェースでもパフォーマンスへの影響はほとんどない」と語る。

 GeForce GTX 960では、GeForce GTX 980で対応した1080pディスプレイなどでも4K描画を利用できるスケーリング技術「DSR」(Dynamic Super Resolution)や、複数のフレームを参照してアンチエイリアシング処理を行なうことで、より低負荷で高品質な描画を実現する「Multi Frame sampled Anti-Aliasing」、VRヘッドマウント使用時の描画遅延を最小限に抑えることを可能にする「VR DIRECT」などの機能もフルサポートする。

DSRやMFAA、VR DIRECTなどの最新機能もフルサポートする

GM206 の“4K”対応もGM204から進化した

 GM206の機能拡張として、4K時代の動画圧縮技術として期待されているH.265(HEVC:High Efficiency Video Coding)にフル対応した。NVIDIAは、すでにGeForce GTX 980で採用したGM204コアで、H.265のハードウェアエンコード機能を実装したが、「H.265のハードウェアデコード機能は、GM206が最初」(ウォーカー氏)で、そのビデオエンジンは、先に2015 International CESで発表した、NVIDIAの最新モバイルSoCである「Tegra X1」と同じものになる。

 さらに、GM204と同様に、HDMI 2.0をサポートするだけでなく、「GM206では、HDCP 2.2へのネイティブ対応も追加」(ウォーカー氏)して、4Kビデオコンテンツの再生環境としても優れているとウォーカー氏は訴求する。なお、HDCP 2.2対応は、グラフィックスカード上にHDCP対応ICを搭載することも可能だが、実装はベンダーごとに異なるという。

 4K出力では、より多くのピクセル出力を必要とするため、ROP(Rendering Output Pipeline)の負荷が高くなる。そこで、第2世代のMaxwellアーキテクチャでは、メモリコントローラとセットになるROPの数をKepler世代の倍にすることで、GeForce GTX 960では128ビットメモリインタフェースながら32基のROPを実装しており、4Kのマルチディスプレイ出力もサポートできるレンダリング出力性能を実現している。

GPU名称 GeForce GTX 960 GeForce GTX 660 GeForce GTX 760 GeForce GTX 980
GPUコア GM206 GK106 GK204 GM204
GPUアーキテクチャ 第2世代Maxwell 第1世代Kepler 第2世代Kepler 第2世代Maxwell
半導体プロセス 28nm 28nm 28nm 28nm
トランジスタ数 29億4000万 25億4000万 35億4000万 52億
GPC(Graphics Processing Clusters) 2 3 3 または 4 4
SM(Streaming Multiprocessors) 8 5 6 16
CUDAコア 1024 960 1152 2048
テクスチャユニット 64 80 96 128
ROPユニット 32 24 32 64
ベースクロック 1126MHz 980MHz 980MHz 1126MHz
Boostクロック 1178MHz 1033MHz 1033MHz 1216MHz
メモリインタフェース 128bit 192bit 256bit 256bit
メモリタイプ GDDR5 GDDR5 GDDR5 GDDR5
メモリクロック(データ転送レート) 7010MHz 6008MHz 6008MHz 7010MHz
メモリ帯域 112.16GB/sec 144.2GB/sec 192.2GB/sec 224GB/sec
L2キャッシュ 1024KB 384KB 512KB 2048KB
DirectX 12 11.1 11.1 12
OpenGL 4.4 4.3 4.3 4.4
ディスプレイ出力(最大) 4 4 4 4
Display Port 1.2 1.2 1.2 1.2
HDMI 2.0 1.4 1.4a 2.0
HDCP 2.2 ネイティブ対応
H.264デコード
H.264エンコード
H.265(HEVC)デコード × × ×
H.265(HEVC)エンコード × ×
TDP 120W 140W 170W 165W

 ウォーカー氏は、GeForce GTX 960のユーザー層は、コストパフォーマンスを優先したシステムを組む傾向にあるとした上で、「H.265の4KビデオコンテンツをCPUでデコードすると、かなりの負荷がかかり、非力なCPUでは描画品質にも影響が出るが、GM206であれば、省電力で、かつ、スムーズな再生が可能になる」と説明する。

 GeForce GTX 960が、ゲームユーザーだけでなく、一般のPCユーザーにとってもメリットが多い製品に仕上がっているとNVIDIAはアピールしている。いわば、GM206コアは、最先端モバイルSoCのTegra X1と、最強GPUであるGeForce GTX 980の長所を兼ね備え、4K時代のフルサポートしたGPUに仕上がっているといえるだろう。

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