2月17日、パナソニックの「Let'snote(レッツノート)」シリーズ初のデタッチャブルタイプの2in1 PC「Let'snote CF-XZ6」が発売となった。それに先立つ2月15日、大手量販店への初回出荷を祝う出荷式が同社の神戸工場で行われた。
神戸工場ではLet'snoteシリーズのほか、過酷な環境下での利用にも耐えるフィールドPC「TOUGHBOOK(タフブック)」「TOUGHPAD(タフパッド)」を一部生産している。月間の生産能力は合わせて7万台弱だという。
Let'snoteにとっての「ふるさと」である神戸工場は、一体どのような工場なのだろうか。
工場見学への出発に先立って、同社のITプロダクツ事業部の清水実プロダクトセンター所長が神戸工場の概要を報道関係者に説明した。
現在の神戸工場は、1990年6月に同社(旧・松下電器産業)のパーソナルコンピュータ事業部のワープロ工場として竣工。翌年8月からPCの生産を開始し、1992年10月には品質マネジメントに関する国際規格「ISO9002」を同社(旧・松下電器産業)全体で2番目に取得。現在は「(工場周辺で生産がさかんな)神戸牛などの生鮮食料品と同じようにスピードと品質にこだわるという考え方」(清水所長)のもと、同社のAVCネットワークス社ITプロダクツ事業部のPC工場として稼働している。
同社PCの開発センターと、PCの販売・サービス部門は大阪府守口市にある。神戸工場と守口市の拠点は1日3便の専用バスで結ばれており、開発・生産・販売・サービスを一貫して提供している。
先述の通り、パナソニックのPC事業は開発・生産・販売・サービスを自社一貫で行っている。また、4部門がそれぞれユーザー(顧客)と直接対話する「お客様ダイレクト」という取り組みも行っている。これら大きく2つの取り組みによって、パナソニックPCは「Japan Quality(日本品質)を実現することを目指して」(清水所長)いる。
神戸工場における「日本品質」は、「柔軟・迅速」「高品質」「カスタマイズ・サービス」「体験型実証ショウルーム」の4点に大きく集約されるという。
まず「柔軟・迅速」を実現する要素として、「工場直結の材料倉庫」と「セル生産方式」が挙げられる。
通常ならこれらの取り組みはコスト高につながるため避ける方向に行きがちだ。しかし、神戸工場では1〜2週間分の部品をあえて在庫しておき、生産計画を毎日変更する「多品種変量生産」に対応できる体制を作ることによって、ユーザーからの要望に柔軟かつ迅速に対応できるようにしているのだ。
次に「高品質」を担保するために、工場内に各種試験装置を設置している。世界各地の気候や法規制に合致する製品を工場(自社)内で開発できる体制を整えているのだ。
他にも、高品質を担保するために「トレーサビリティシステム」と「故障予兆管理システム」を導入している。
「KISS(Kobe Internal Solution of Super-production)システム」と名付けられたトレーサビリティシステムでは、部品がどの本体に組み込まれ、その本体がどこに出荷されたのか追跡できるようになっている。万が一、部品に問題が生じた場合は、ユーザーから障害・故障連絡が来る前に「先手」を取って対応できるのだ。
故障予兆システムは、世界各国から寄せられた障害・故障情報を集めた「グローバル品質情報システム(Super Terra System)」に蓄積された情報を独自アルゴリズムで分析するものだ。これにより、品質に関わる問題を従来よりも早く把握できるようになった。
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