モバイルCPUの「コア数戦争」、性能ではなく威信のため?

» 2011年02月25日 07時00分 公開
[Michelle Maisto,eWEEK]
eWEEK

 韓国LG Electronicsは2010年12月、世界初のデュアルコア搭載スマートフォン「Optimus 2X」を発表したが、その後間もなく、米Motorolaも同じくデュアルコア搭載の「Motorola Atrix 4G」を発表、さらに台湾HTCも米キャリアT-Mobile向けにデュアルコア搭載の「Pyramid」を発表するとうわさされている。スマートフォンであれPCであれ、コア数が多いほど、より多くの注目が集まる。その結果、米J. Gold Associatesのアナリスト、ジャック・ゴールド氏によると、「必要か否かにかかわらず、モバイル業界では目下、コア数戦争が進行中」という。

 「メールやテキストメッセージ、基本的なWeb閲覧などのシンプルな操作には、マルチコアはほとんどあるいは全く必要ない。こうした日常的なタスクであれば、昨今の高性能なシングルコアを搭載するスマートフォンで十分に機能する」とゴールド氏は2月21日付の報告書で指摘している。ただし3DゲームやHD動画再生など、最近携帯端末に追加されつつある最新機能の多くは、実際により強力な処理能力を必要としているという。

 「ただしそうしたシナリオにせよ、マルチコアの真のメリットはCPUのコア数を増やすより、GPUのコア数を増やすことによって得られる場合が少なくない。その点では、コア数戦争は本当に興味深いものになる」とゴールド氏は続けている。

 同氏によると、NVIDIAは12コアGPUと4コアCPUを搭載するプロセッサで、市場のハイエンド分野でのシェア獲得に乗り出し、ライバルのQualcommを追い抜く形となっている。Qualcommは今後、自社設計のマルチコアGPUを搭載するプロセッサで巻返しを図る予定だ。そして時期はもっと遅くなるが、両社に続いて、韓国Samsung、スイスのST Ericsson、米Texas Instrumentsなどもこの競争に加わる見通しだ。

 さらにゴールド氏によると、グラフィックスコアのライセンス供与の分野では、目下、英ARMが長年のリーダーである英Imagination Technologiesと戦いを繰り広げている。ARMは、自社設計のグラフィックスIPを持たないベンダー向けにライセンス供与するチップ設計に自社のGPU IPを含めることにしたのだ。これまでARMコアの付属のグラフィックス機能については――そしてIntelのAtomも含めた、そのほかのプロセッサアーキテクチャについても――Imagination Technologiesがライセンス供与を行ってきており、ARMはこの分野では新参であるため、今のところはImagination Technologiesが優勢だ。

 ARMと言えばモバイル向けというイメージがあるが、特にタブレットフォームファクタの人気が高まっていることもあり、最近はIntelのAtomラインがこの分野で競争圧力を強めつつある(Intelのポール・オッテリーニCEOは2010年12月に、東芝、中国Lenovo、富士通、台湾ASUSなどのパートナー各社が2011年にAtom搭載のタブレット35機種を発表する見通しだと語った)。

 「Intelもコア数戦争に加わる必要があるだろう。ただしわたしに言わせれば、それは性能のためというよりも、威信のための戦争だ」とゴールド氏は報告書で指摘し、「Atomは1コア当たりの性能はARMよりも高いだろうが、顧客はその点を理解せず、同じコア数を求めてくるだろう」と説明している。

 「Atomは、特にNVIDIAやQualcommが提供するマルチコアのGPU実装と比べてグラフィックス性能が同等レベルであることを示さなければならなくなるだろう」とさらに同氏は続けている。

 「とにかくコア数戦争は加熱しつつある。コア数の多いスマートフォンや各種の小型端末が登場するには、まだある程度の時間がかかるだろう。そしてそうした端末が根を下ろすためには、チップ価格の低下、省電力のためのチップ配置の効率化、アプリの機能性の強化といった、おこぼれ的なメリットが必要となるだろう」とゴールド氏。

 「ユーザーは今のところ、コア数ではなく、全体的な性能、必要とする機能、諸条件の兼ね合い(バッテリー持続時間、端末のサイズ、価格、主な用途など)に基づいて、端末を選ぶべきだ」と同氏は最後に助言している。

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