青色申告って何? 個人事業主の賢い節税を考える大増税時代(3/3 ページ)

» 2012年03月05日 16時55分 公開
[奥川浩彦Business Media 誠]
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コラム:サラリーマンと個人事業主はどっちがお得

 本連載の第4回「確定申告シーズン到来――サラリーマンと個人事業主の税の違いを考える」で、同じ所得のサラリーマンと個人事業主の税金は大差がないと書いた。個人事業主の立場では給与所得控除のあるサラリーマンをうらやましいと思うが、税金の制度の差ではないが、税金の恩恵という側面を感じることはある。

 筆者はサラリーマン生活を送っていた1980年代後半にPCに興味を持ち、1995年にPC周辺機器メーカーに転職をした。現在までに何台もPCを購入している。レース写真を撮り始めたのは30年ほど前でカメラ、レンズ、チケット、交通費とかなりの金額を趣味に費やしてきた。

 サラリーマン時代は全て自腹だった。個人事業主も自腹で買うのだが、仕事と趣味が近い場合は税金の恩恵を受けられる。PCはもちろん、撮影仕事やデジカメのレビューもしているので、カメラ関係の出費は基本的に経費となる。もうかり具合によるが、20〜30%が税金として戻ってくるのは個人事業主の特権だと思っている。


小規模企業共済で年間最大84万円の節税

 個人事業主ならではの節税方法は他にもある。代表的なのは小規模企業共済だ。小規模企業共済は経営者の退職金制度と呼ばれるもので、月額1000円から7万円を掛金として納めると、その年に納めた全額が控除の対象となる。

 満額の7万円なら12カ月で84万円となるので節税効果は高い。掛けたお金は歳をとって廃業するときに一括や分割で受け取れる。イメージとしては年金や定期預金といった感じだ。税制の優遇があるので金利の低い預金よりはメリットは大きい。

 小規模企業共済にはちょっとした裏技もある。普通に考えれば7万円×12カ月=84万円が限度額だが、浮き沈みの激しい仕事をしている人ならもうかった年にもっと多くの掛金を納め、控除額を増やせる。

 筆者は12月の年払いで掛金を納めている。12月から翌年の11月までを年末にまとめて納めた場合、納めた金額が控除の対象となるので翌年分の掛金が全てその年(前年)の控除の対象となる。ようするにその年のもうかり具合によって掛金をコントロールできるように年末の年払いを選択したわけだ。

 例えば今年はもうかっていないので手元に現金もないから年払いの掛金を1000円にしたとしよう。でも1月には大きな仕事が決まっていて来年は確実にもうかるなら、年明けに増額の申請をして7万円に変更すれば増額した差額の6万9000円を納められる。1月から11月まで6万9000円を納め、12月に年払いで84万円を納めれば、159万9000円の掛金を納めることになるので、かなり大きな節税が可能だ。

 実際には12月まで貧乏で1月から裕福になることはそれほどないと思うが、年の途中でゆとりができれば増額による節税効果はそれなりにあるだろう。

 小規模企業共済と並んで節税対策となるのが国民年金基金。もともと個人事業主が納める国民年金は少額で、将来受け取る年金も少なくなる。その国民年金に任意で上乗せができるのが、国民年金基金だ。国民年金基金も納めた全額が控除の対象となるので、もうかっているなら手元にあるお金を将来の年金として納めることで節税となる。

インフレ時代の確定申告
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