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アドビシステムズ:PDFをコアにしたサーバ製品で、e-ガバメント市場を拓くアドビ (2/2)

ZDNet 2003年の動きについて教えてください。

石井 Acrobat Reader 5.1を、Acrobatに先行して提供し始めましたが、これは申請する側(クライアントサイド)が、できるだけ早くから自然にAcrobat Readerを手にしていただくことが必要という考えからです。それで、実際に電子申請するためには行政側がReader 5.1に対応した(編集機能が追加された)PDFを用意しなくてはなりません。これには「Document Server for Reader Extensions」というソフトが必要ですので、まずはそれを早くリリースすることが必要だと考えています。同時に、行政機関のシステムに導入する際にきっちりとした作り込みが必要になるので、いよいよアドビがPDFまわりで作り込みのソリューションを手がけていくことになります。それに付随するサービス業務、SIに対する支援も含めて今まで以上に充実したものになるよう、準備をしています。

ZDNet e-Japan構想に関して、各自治体や省庁の取り組みの進捗についてはどのようにお考えですか。

石井 中央の官庁の方々は早くから研究されていて、独自の考えをお持ちです。それが3000以上もある地方自治体/団体へ、どういうシステムの作り方をすればいいのかということだけでなく、実際にどういう製品/ソリューションを使って、どのSIを使ってシステムを構築すればいいのかという情報が、自治体の担当者にうまく伝わっているかどうかが、e-Japan構想が計画通りに進むかどうかの鍵になると考えています。電子申請が本格的に始まったとしても、相当の期間は電子フォーマットと従来の紙文書フォーマットが共存することになります。それに対する解決策を持って臨むかが、自治体側の課題と言えるのではないでしょうか。

「2003年、アドビもいよいよ「作り込み」ソリューションを手がけていきます」という石井社長

 アドビとしてはセミナーや展示会を通じて、できるだけ必要な情報を出すようにしていますが、どうしても直接お話しできる人数に限りがありますので、伝えやすい情報にまとめ上げて、それをSIにお渡しし、広めていただくことも重要だと考えています。Webサイトに情報を載せて終わりということでなく、(実際に地方自治体でシステムインテグレーションを行う)地場のSIerにきめ細かいサポートを行うことが必要です。

ZDNet 日本企業が再生へのメッセージをいただけますか。

石井 景気が悪い/経済が停滞しているというのは、もちろん一面で事実だとは思いますが、企業でも非常に好調な決算を出しておられるところもありますよね。景気が悪いことすなわち業績が悪いということにはならないと思います。

 景気に左右されるところはありながらも、企業として、ユーザーが求めているものを求めている形で出せているかどうか、ユーザーが苦しんでいるところを理解することが勝負ではないでしょうか。企業にソリューションを提案する際に、「気づいていらっしゃらないかもしれませんが、こういう部分でお困りではないですか? こうした方がいいんじゃないですか」と、痛みを気づかせる提案をしていけるかどうかというところが、我々IT業界では一番の勝負どころだと思います。

2003年、今年のお正月は?
いつも、ほんとになんにもしない人間なんです、私(笑)。とはいえ、普段落ち着いて考えられないことが多いので、新しい年に臨み、なにをするかということに、相当頭を使います。それに、買ったままでたまってしまった、好きなミステリや歴史上の人物を描いた本を読んだり、DVDを見たりして過ごしたいなあ。

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[聞き手:佐々木千之,ITmedia]


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