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“ネット家電”が少し身近に、家電各社のスマート戦略2013 International CES(4/4 ページ)

» 2013年01月21日 21時09分 公開
[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]
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 また家電のネットワーク接続ではWi-FiやZigBee、Z-Wave、Bluetoothといったワイヤレス接続技術が注目を集めがちだが、米国ではコンセントや電力線を使ってネットワークを構築可能なPLCが利用されていたりする。

 ルータからイーサネットケーブルを張り巡らせている人も多いと思われるが、そうしたユーザーに興味深い技術が、イスラエルのValens Semiconductorが開発した「HDBaseT」だ。HDBaseTは、イーサネットケーブルを使ってデータ通信だけでなく、電力供給を可能にする技術。USBやHDMIなどでもデータ+電力の供給でインフラ構築を目指す意見があるが、HDBaseTでは最大100ワットまで利用可能で、これを既存のカテゴリ5のイーサネットケーブル(UTPケーブル)で伝送できる。スイッチと端末の距離は最大100メートルで、これはイーサネットと同じ。つまり既存のケーブル施設インフラをそのままHDBaseTで置き換え可能だ。

家電制御ではどちらかといえばワイヤレス接続に注目が集まりがちだが、HDBaseTはPCやネットワーク機器接続に用いられるUTPのイーサネットケーブルを使って機器同士を接続する

HDBaseTの特長は、イーサネットケーブル経由の電力供給。そのため、監視カメラのような機器がネットワークケーブルのみで運用できるだけでなく、大画面液晶テレビなどもイーサネットケーブル経由での給電が可能だ。現行のカテゴリ5のイーサネットケーブルをそのまま流用できるのも大きい

 データ通信と同時に電力供給も行えるため、例えば監視カメラをイーサネットケーブルだけで接続動作させられるほか、大画面液晶TVでさえHDBaseTのケーブル1本だけで電力供給を賄える。これはオフィスや店舗などでのサイネージ用途で大きな効力を発揮するだろう。HDBaseT自体は既存のイーサネットとプロトコル互換ではないものの、スイッチを入れ替えるだけでそのまま既存インフラを置き換えられる点がメリットになりそうだ。

HDBaseTに対応したパナソニックのプロジェクター。天吊りなどの際にケーブルを1本にできるメリットは大きい。ほかにもソニーが対応製品を参考出展するなど、日本メーカーが意外と積極的だった

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