Samsung電子が現在、各セグメントで最も注力しているのが“フルタッチケータイ”だ。「フルタッチケータイには最先端の技術を使っている。その使いやすさは、1度慣れると物理キーには戻れないほど。ケータイの用途はメールが8割という人には不便かもしれないが、ヘビーユーザーにはフルタッチのほうがいい」とオウ氏はアピール。同社のタッチパネル対応のAndroidケータイ「Samsung GALAXY」(I7500)にも触れ、「フルタッチを採用しないアンドロイドケータイは(現時点では)存在しない」と、今後はフルタッチが標準仕様になるとの見解を示した。


Samsung電子が2008年に投入した「F480」は、「フルタッチで認められた機種。売上は1000万台突破目前で、ヨーロッパでは特に好評だ」(オウ氏)という。薄型ボディに豊富な機能を搭載する「Ultra」シリーズに属する「S8300」は、タッチパネルと物理キーを備えるモデル(写真=左)。2009年4月発売された「18910HD」は、世界で初めてHDサイズの動画が撮影できるモデル(写真=中)。プロジェクターを内蔵したモデル「BEAM」も発売した(写真=右)同社は、世界初の1000万画素カメラ搭載ケータイを投入したメーカーとしても知られる。オウ氏は「10Mカメラを投入した当時はネガティブな評価が多かったが、2008年に8Mカメラを投入して、ようやく世界で理解された」と振り返った。「最近は楽しくカメラを使える機能にも力を入れ、画像を共有するアプリも開発している」(同)。


2005年には5Mピクセルのカメラを搭載したモデル「SCH-S250」を世界で初めて発売。2006年には光学ズーム対応の10Mピクセルカメラを搭載した「SCH-B600」を発売して話題を集めた(写真=左)。現在のハイエンドモデルの画素数は8Mピクセルで落ち着いている。顔検出やスマイルシャッターなどの機能も備えている(写真=中)。フォトビューアーや画像共有サービスの対応にも力を入れている(写真=右)Samsung電子は日本向けにも「930SC OMNIA」「OMNIA POP 931SC」といったフルタッチ端末を投入したが、大ヒットには至っていない。オウ氏は「世界の端末と日本の端末にはギャップがある。そのギャップを1つずつ埋めていくのが我々の仕事」と話すが、具体策はあるのだろうか。
オウ氏は「速いスピードで柔軟に対応できるのがSamsung電子の強みだが、まだ日本ではその強みを生かせていない。日本のケータイはとてもレベルが高い。おサイフケータイやワンセグなど、搭載すべき機能も多く、ユーザーインタフェースも独特。今後も、機能やUIを含めてキャッチアップしていきたい」と説明。具体策は模索中という印象だった。
Samsung電子製の携帯端末は、フルタッチ仕様が主流になりつつあるが、“親指文化”が根付いている日本の携帯市場では、物理キーを搭載したケータイの需要も依然として高い。同社がかかげる「全セグメント」で勝つためには、物理キーを生かした魅力ある端末の開発も望まれる。世界市場はもちろん、同社が日本市場でさらに存在感を高められるか、その手腕に注目したい。
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