auの2010年夏モデルは“全機種防水”が大きくうたわれているが、今後の進化という点で注目したいのが、新しいプラットフォーム「KCP3.0」を採用したモデルが登場したことだ。KCP3.0の「3.0」は、KCP→KCP+に続く、3世代目のauケータイ向けプラットフォームを意味する。
今回の新機種では「BRAVIA Phone S004」と「REGZA Phone T004」が搭載しているKCP3.0には、Qualcommの最新チップセット「snapdragon(QSD8650)」が採用されており、1GHzの高速CPUを備えていることが話題を集めている。これまでauケータイは“もっさり”と評されることが多かったが、KCP3.0では、電源を入れてからの起動、メインメニューの表示、EメールやEZwebメニューの表示、ブラウザのページ遷移、データフォルダへのアクセスなど、動作速度全般が大きく向上している。
KDDIによると、Eメールメニューの起動速度は従来モデルから60%向上しているほか、KCP3.0の動作はKCPを上回るほどの速度を実現しているという。さらに、今回のKCP+端末についても動作の高速化が図られており、こちらはKCPと同等レベルに進化しているとのこと。
では、実際のところ動作速度はどの程度向上しているのだろうか。5月17日の発表会で展示されていたS004とT004で試してみた。いずれもメインメニューから画面設定まで移動し、その後Eメールの新規作成画面で「お世話になっております」と入力した。限られた時間内だったのですべての操作は試せなかったが、全体的にレスポンスは向上していると感じた。
ただ、メインメニューからの遷移を試した限り、KCP以上の速度とまではいえないようにも感じた。この点についてKDDIに尋ねたところ、「KCP3.0の速度を特に体感できるのは、PCサイトビューアーやデータフォルダなど、高負荷のかかるシーン」とのこと。データ容量の大きいコンテンツを扱うときほど、KCP3.0の真価が発揮されるといえそうだ。
KCP3.0は、今回は2機種のみの搭載となったが、今後は対応機種を拡大する見通し。なお、今回のKCP3.0で注力したのは「動作速度」のみで、KCP+の(2画面表示が可能な)「マルチプレイウィンドウ」や「au one ガジェット」のように、新プラットフォームならではの機能やサービスは現時点では提供されない。ちなみに、KCP3.0端末を含め、今回の夏モデルでマルチプレイウィンドウに対応した機種はない。さくさく動くKCP3.0にこそ、マルチプレイウィンドウのような機能は採用してほしいところだ。動作速度はもちろんだが、KCP3.0ならではの機能やサービスの登場にも期待したい。
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