富士通と東芝は6月17日、携帯電話事業を統合することで合意し、10月1日をめどに新会社を設立すると発表した。携帯電話端末の開発基盤を強化し、国内シェアトップを目指すという。
新販売方式の導入や不況の影響で、国内の携帯電話市場が縮退する中、事業を統合することで開発基盤を強化するのが狙い。富士通は、NTTドコモ向け端末の開発を通じて培った防水防塵、指紋センサーなどの独自機能を搭載した端末作りや携帯電話向けプラットフォーム開発で実績があり、液晶テレビ事業で培った映像技術やスマートフォン関連技術に強みを持つ東芝と事業を統合することで、より競争力のある製品を幅広い世代に向けて展開することを目指す。
今回の事業統合について富士通は、さまざまなメーカーとの間で事業統合の話が持ち上がる中、東芝とは双方のメリットを見いだせたことから合意に至ったと説明。NTTドコモ、au、ソフトバンクモバイルの3キャリアに端末を供給した実績がある東芝の携帯電話開発チームと協力して「利益が出る、売れるケータイ」を開発し、マルチキャリア展開を目指す考えだ。なお、海外展開については「新会社で戦略を慎重に検討する」というにとどめた。
10月1日に設立予定の新会社については、東芝が携帯電話事業を移管したうえで富士通が株式の過半数を取得する予定としている。
国内シェアトップを目指すという富士通と東芝の新会社。2009年度の出荷実績で見ると富士通が518万台、東芝が約141万台で、両社の出荷台数を合わせると約660万台となり、3444万台が出荷された中で約19%のシェアを獲得したことになる。この年のシェアはシャープが26.2%でトップ獲得しており、富士通と東芝は合計したシェアで2位につけている。
富士通によれば、2011年度には新会社の出荷台数を750万台規模に伸ばすことを目標としており、「3000万台規模の市場で25%のシェアを獲得してトップを目指したい」としている。
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