ARをビジネスに発展させる上で、小林氏は画像認識技術が1つの武器になると考えている。特にARゲームについては期待を示しており、画像認識により高度に空間を認識することで、リッチな“実空間連動型ゲーム”が実現できるとみる。そこで今回はARに関心を示していたバンダイナムコゲームスと協力し、アイドルマスターのキャラクターのAR化に挑戦した。
一見何もないジオラマにカメラをかざすと、そこにキャラクターが立っていた。このキャラクター自体は画像認識によるものでなく、位置情報ベースのAR表現だというが、あたかも地面に立っているかのようだ。
ジオラマの奥にあるビルには看板が付けられていて、カメラをかざすと、画像認識によって看板の内容にあったコンテンツが再生される。服屋の看板にかざせば、3Dのワンピースがポップアップし、音楽アルバムの看板にかざせば、収録されている曲が端末から流れてくる。こうしたコンテンツにECへの導線を貼ることで、「広告と購買行動を直結させられると」と小林氏は考えている。
ジオラマ内には複数の看板が設けられていたが、こうした状況ではどれか1つの対象物を認識すれば「ほかの対象物の位置も推測できるようになる」と小林氏。街中にあるたくさんの“四角い何か”の情報が登録されれば、端末の方角や傾きを6軸センサーを使わずに把握するといったことも現実的になるという。
ただし、無数にある現実世界の“四角い何か”とコンテンツとのひも付けを1企業で進めるのは簡単ではない。そこで、「ユーザー参加型でやっても面白い」と小林氏は考えている。その際にアフィリエイトを導入して、ECへのひも付けを行ったユーザーにお金が入ってくるような仕組みも想像しているという。
背景の抽出技術を活用したデモも体験できる。ジオラマのビルの上にカメラをかざすと、半身がビルに隠れた状態で、ビルの向こうに巨大な「天海春香」が現れた。このように現実の対象物との位置関係を狙い通りに表現できるようになれば、現実とよりリアルに結びついたARゲームやAR体験を提供できるはずだ。
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