“公平”なプリペイドSIM──「b-mobile Fair」は本当に速度制限なし?月額換算で2087円から、ならば手軽に使えそう(3/3 ページ)

» 2011年04月12日 11時30分 公開
[岩城俊介,ITmedia]
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速度は、ドコモデータ通信とほぼ同じ

 続いて、b-mobile Fairの通信速度の参考値をチェックする。今回は金曜深夜の東京23区東部/JR駅前でない住宅地と、月曜15時ごろの東京・大手町のITmedia社内で実施。金曜深夜のテストは通信利用者が少ないと思われるエリア・時間帯での参考値、大手町のテストは比較的利用状況が活発なエリアでの参考値として見てほしい。

photophotophoto 各手段をPCで計測した通信速度。左からb-mobile Fair+b-mobile WiFi、NTTドコモの定額データプラン+mopera U+b-mobile WiFi、WiMAX+Centrino Advanced-N+WiMAX 6250(各3回計測のうち、下り速度の値が最も良好だったものを採用。SPEEDTEST.netサイトで計測 以下同)
photophotophoto 同じくiPhone 4で計測した通信速度。左からb-mobile Fair+b-mobile WiFi、NTTドコモの定額データプラン+mopera U+b-mobile WiFi、WiMAX+AtermWM3500R
photophotophoto 月曜15時ごろの東京・大手町のビル内で計測。左からb-mobile Fair+b-mobile WiFi、NTTドコモの定額データプラン+mopera U+b-mobile WiFi、WiMAX+Centrino Advanced-N+WiMAX 6250。3Gデータ通信は下り3Mbpsを超え、かなり快適に利用できる速度だった。一方、屋内のためWiMAXは電波状況がやや悪く、実速度はかなり落ち込んだ

 さて、予想通りといえばそうだが、同場所同時間帯においてはb-mobile Fair、定額データプラン+mopera Uともに、PING値含めてそれほど変わらない結果だった。

 PCは下り2〜3Mbps以上/上り320kbps前後、iPhone 4では1.7Mbps前後/上り350kbps前後を記録し、Webサイト表示やYouTubeのWeb動画再生の動作・待ち時間など、体感値の印象もほぼ同じだった。なお、計測した場所は最大5.6MbpsのHSUPA対応でないエリアと思われ、上り速度も(最大384kbpsとなると)ほぼ上限まで出たことになる。参考までに、b-mobileSIM U300は300kbps前後が上限だ。

 また、WiMAX通信は電波状況がよければ別格の速度を、弱くても接続さえできれば下り1Mbps程度は記録するが、(サービスエリア拡充により不感エリアはかなり減っているものの)サービスエリアの広さ、イコール 全国どこでも使えるかでFOMA網にはかなわない弱点は残っている。

 このように、広エリア・高速・低コスト・使い放題のすべてを満たすパーフェクトなモバイルデータ通信手段は国内にはまだない。自分の利用シーンに応じて、エリアと速度、コストのどれを優先させるか──。どれが1番か、の選択はなかなか難しい。

「1カ月2087円」と換算すると、月額コストもほどほどに抑えられる

 なお、二段階定額制のデータ通信プランは、使わない月は比較的安く済ませられるメリットがある半面、使うとすぐ、通信量10数Mバイトほどで上限額に達してしまう。ただ、使わない月があるからといって従量制プランでは、いざ使うとなると場合によって高額になりかねないのが大変不安だ。例えば私は、現在ドコモの定額データプランをWiMAXのサービスエリアを補完する目的で、国内で通信手段を確実に確保するための予備として契約している。コスト的にかなりムダが多く、月額維持費がもっと安い通信事業者もあるのだが、なによりサービスエリアを徹底重視、かつPCでのデータ通信を主目的とするために速度制限がないことを条件とし、この選択に落ち着いた。

 月額維持費は、定額データプランS(無料通信1000円分込み。端末購入をともなわないベーシックコース契約で、2605円/月)、2年契約の定額データスタンダード割(−952円/月)、ISP料金のopera U/Uスタンダードプラン(500円/月)で計2268円/月。この額を最低維持費としつつ、データ通信を利用すると、7220円/月(ISP料金含む)の上限額まで14万2500パケット、約17.4Mバイトほどの通信量で達する。とりあえず、1、2回業務でじっくり使ったらすぐこの上限に達してしまう感じだ。

 これをb-mobile Fairに置き換えるとどうか。b-mobile Fairは1チャージあたり120日(約4カ月)が有効期限ということで、チャージ額8350円の4カ月分、最低維持費は月額2087円(初回9800円だと2450円/月)となる。さほど差はないが、年間コストで換算するとb-mobile Fairはいくぶん割安だ。

 そして利用可能な通信量の1Gバイトはどうか。4カ月分で割った約250Mバイト分/月は、上記の定額データプランSで例えると約2.9Mバイトの無料通信分(1000円分)に当たる。この250Mバイトがどうか──については利用シーンによりけりではあるが、構成ファイルをローカル保存したYahoo!Japanのトップページファイル群で約250kバイトほど、PC USERのトップページで同700kバイト(重めですみません)ほどだったので、それぞれ約1000ページ、約360ページほど。1Mバイトほどの添付ファイル付きメールを約250通、25kバイトの長文テキストメールを約1万通送受信すると達する計算……だ。

 メインのモバイル通信用として毎日利用しつつ、「YouTubeで動画を数本見たらすぐ上限じゃないか。これでは足りない」と自分が普段利用する通信量をある程度把握しつつ、心配できるほどリテラシーが高いユーザーとなるとすぐ上限に達してしまうかもしれないが、多くの人が200M〜300Mバイト/月程度であることも勘案し、“たまに出番がある”程度の使い方の人なら、たいていはうまく管理できるのではないかと思われる。なお、上記のような計算をしていたら日本通信が「1Gバイトってどのくらい使えるの?」という、より具体的に換算できるサイトを用意していた。気になる人はこちらを参考にしてほしい。



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 ともあれ、b-mobile Fairは「予備」あるいは「一時的な業務用」、毎日ガシガシ使うわけでなく「無料通信分で収まってしまう使い方」ならば、月額コストを2087円(追加チャージ額の場合)に抑えられる。日本通信によると、他社の現二段階定額プランの上限額となる約6300円付近で換算しても、b-mobile Fairは「1カ月あたり約754Mバイト分利用するまではお得」ともうたっている。

 また、料金先払い方式のプリペイドスタイルのため、二段階定額のプランより月額コストを算出しやすい。これは稟議や経費精算を必要とするビジネスユーザーに魅力だ。いわゆる「パケ死」する心配がほぼなく、安心して使える(“ほぼない”としたのは、一応、オートチャージの仕組みがあるため)うえ、国内主要事業者が導入する実質2年間(2年の継続契約を条件に、月額料金を値下げする)の縛りが発生しないのも導入しやすい大きなポイントだろう。

 広いエリアで使えるドコモのFOMA網で、速度制限なしで使いたい人、パッケージ品の購入により経費精算がしやすいことも視野に入れた「出張などで一時的にモバイル通信環境を整えたい」ビジネスPCユーザー、それらも総合し「たまに使う。使わない月もあると思うので、月額料金をできるだけ安く抑えたい。ただ、従量制だと高額になりねないのが不安」というユーザー全般、特に300kbps前後では遅いと思うモバイルPCユーザーに向く、“おいしくお得、かつ手軽”に使えそうなSIMカードサービスといえそうだ。

SIMロックフリー端末は、海外渡航時に便利

 なお、今回b-mobile Fair用に用いたポータブルルータ「b-mobile WiFi」は、国内でのデータ通信はもちろん、海外渡航時に現地のプリペイドSIMカードを入手することで、より便利においしく使える。また、海外渡航の予定がある人は「海外プリペイドSIM導入マニュアル」も併読いただけると幸いだ。




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