モバイルIPフォンは「次世代のインターネットサービス」――日本通信が見せる自信

» 2011年01月20日 20時47分 公開
[田中聡,ITmedia]

 日本通信は1月20日、ドコモ網と無線LANを利用できるモバイルIPフォンを1月28日から提供することを発表した。申し込みは日本通信のWebサイト(外部リンク)から行える。

 モバイルIPフォンは、日本通信が販売するスマートフォンから、050で始まる電話番号を使って利用できるIP電話サービス。同社が販売する「IDEOS」にIDEOS用のSIMカードを装着することで、ドコモ網を使ってIP電話ができる。ドコモ網を使わず、無線LAN経由で通話することも可能。

 モバイルIPフォンの基本料金は月額490円で、通話料は30秒あたり一律10円(国内の携帯電話と固定電話あて)。同社はIDEOS向けのスペシャルSIMとして、1カ月の無料通信付きで7カ月間利用できる「6カ月パッケージ」(1万4900円)と、2カ月の無料通信付きで14カ月利用できる「12カ月パッケージ」(2万9800円)を販売している。これらのSIMを利用した場合、毎月の通信料は2128円に換算される。したがって、2128円に490円を合わせた2618円が実質的な基本料金となり、これにモバイルIPフォンの通話料を合わせた額でIDEOSを運用できる。

photophoto 「IDEOS」の端末代は、10日間の定額データ通信ができる「b-mobileSIM U300」付きで2万6800円(写真=左)。IDEOS専用のデータ通信SIMも販売している(写真=右)

 こうした料金の安さに加え、「無線LAN環境でも利用できること」「専用アプリを使わずに電話をかけられること」もモバイルIPフォンのメリットに挙げられる。また、IDEOSの購入やモバイルIPフォンの契約には「2年縛り」などの条件は含まれない。

日本のケータイは「高い音声料金」が障壁

 同社代表取締役社長の三田聖二氏は、モバイルIPフォンは「次世代のインターネットサービスだ」と自信を見せる。「今までのインターネットでは自分から情報を取りに行く必要があったが、次世代なら自分を探しに来てくれる」と表現し、実際にIDEOSで社内からIP電話を受けるデモも披露した。

photophoto 日本通信の三田聖二氏(写真=左)。IDEOSでモバイルIPフォンの着信を受ける三田氏(写真=右)

 次世代インターネットのプラットフォームはPCではなくスマートフォンになるというのが三田氏の考え。その際に障壁となるのが「高い音声料金」。「去年のクリスマスは家族とニューヨークで過ごした。ニューヨークでは日本の3分の1くらいの料金で通話ができる。日本の通話料はなぜあんなに高いのか」と不満を話す。ドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルは月額980円の料金プランを提供しているが、日本通信はその半額となる月額490円でモバイルIPフォンを提供することをアピールする。

photo モバイルIPフォンの基本料金と通話料金は、イー・モバイルを除く携帯3社の約半額
photo 日本通信の福田尚久氏

 モバイルIPフォンの対応機種は現在はIDEOSのみだが、今後は拡大していく見通し。また同社代表取締役専務COOの福田尚久氏によると、IDEOSのIPアドレスをモバイルIPフォン用に最適化して付与することで、バッテリーが持ちやすくなっているという。日本通信がIDEOSに着目したのは、「日本では高価格帯のスマートフォンが多く、普及価格帯の端末が空白だったから」だと福田氏は話す。そこで、ケータイよりもトータルコストの安いスマートフォンを投入すべく、IDEOSの販売を決めた。

 ケータイには「端末価格」「データ通信価格」「通話料金」という3種類の価格があるが、これらのコストを以下に抑えるかが重要だ。端末価格は、IDEOSをはじめグローバルモデルを投入することで安価に抑える。日本通信は「携帯網の開放」を創業時から目指しており、ドコモとのレイヤー2相互接続協定を2009年に締結。これにより、コストを抑えて一切の制約なしにドコモ網を使用できるようになり、データ通信サービスはもちろん、安価な通話料金を実現するモバイルIPフォンの提供に至った。対応機種のIDEOSは想定以上に売れており、在庫切れが起きたほど。「現在は再入荷したのでご安心いただきたい」(福田氏)

photophotophoto 日本のキャリアが販売しているスマートフォンは、ハイエンド機が多い(写真=左)。日本通信は「携帯電話よりも安いスマートフォン」を目指す(写真=中)。携帯事業に必要な3つのコスト要素(写真=右)

専用アプリを使わず、3G/Wi-Fi経由で通話できる

photo 標準の通話アプリか「Mobile IP Phone」からモバイルIPフォンを利用できる

 専用アプリを起動する必要のあるSkypeなどと異なり、Android標準の「電話」アプリからモバイルIPフォンを利用できるのも特徴の1つ。ケータイや固定電話相手に発着信できるのはもちろん、内蔵のアドレス帳とも連携しているので、ユーザーはIP電話であることを意識せずに利用できる。ただ、会場で実際に試したところ、相手の声が届くまでに若干のタイムラグがあった。このあたりは慣れが必要かもしれない。モバイルIPフォンを契約したIDEOSでは、Android マーケットから「Mobile IP Phone」アプリを入手でき、ここからもIP電話を利用できるほか、3GとWi-Fiのオン/オフ、着信音、回線(IP電話か携帯回線)などの設定が行える。

 無線LAN環境下であれば、海外でもモバイルIPフォンは利用できるが、海外で入手したSIMカードをIDEOSに挿入しての利用は当面はできない(今後は対応させていく見通し)。

photophoto 番号が「050〜」であるだけで、使用方法は通常のケータイと同じ(写真=左)。海外でも無線LAN経由でモバイルIPフォンを使える(写真=右)
photophotophotophoto Mobile IP Phoneアプリからダイヤル発信、アドレス帳と履歴の参照、IP電話の設定ができる(写真=左端)。発信や着信履歴などのUIは通常の電話アプリと同じ(写真=左中)。ネットワーク、回線、着信音の設定が可能(写真=右中、右端)

 モバイルIPフォンのサポート範囲については、SIMなしでIDEOSを使用した場合と、専用SIMをIDEOSに入れて使用した場合が含まれる。国内他社のSIMカードを入れた場合は「サービスの区分を分ける必要がある」(福田氏)とのことで、詳細は別途案内するとした。

 IDEOSから簡単に料金を支払えるよう、「bCharge」というアプリも提供する。IDEOSでモバイルIPフォンを使うと、チャージした額から基本料金と通話料金が減算されていく仕組みだ。500円単位でオートチャージができ、残高が490円未満になると、あらかじめ登録したクレジットカードから500円がチャージされる。チャージ額の変更も可能。ユーザーが追加でチャージすることもできる。

photophoto 「bCharge」アプリ経由でオート/追加チャージができる
photo モバイルIPフォンの利用には本人確認が必要

 「日本通信の役割は端末屋ではなくイネーブラー。何をできるのかを見せて、(パートナー企業には)ビジネスチャンスがあるかを考えていただきたい。音声通話の新規参入は難しいので、キャリアができないことを支援していきたい」と三田氏は決意を込める。同氏は「MVNOが成功したかどうかの結論はまだ100%は出ていない」と言うが、今回の発表からその自信のほどがうかがえる。日本通信の“次世代インターネット”がとこまで浸透するか、注目したい。

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