WiMAXにデュアルコアCPU、4.3インチのHD(720×1280ピクセル)液晶を搭載するなど、高いスペックと豊富な対応サービスが目を引く富士通東芝モバイルコミュニケーションズ製のauスマートフォン「ARROWS Z ISW11F」。基本スペック、UI、パフォーマンスを中心に、主な特長を数回にわたってチェックしていく。
ARROWS Zの発売日は9月26日の発表時点では「11月下旬以降」と案内されていたが、12月5日現在、まだ正式な発売日はアナウンスされていない。富士通東芝とKDDIに確認したところ、「12月中旬の発売をめどに調整している」とのこと。早ければ今週、または来週に正式な発売日が案内されると思われる。
9月26日時点ではスペックも暫定的なものだったが、現在は最終スペックが確定しており、KDDIや富士通のWebサイトで公開されている。主なスペックは以下のとおり。
機種名 | ARROWS Z ISW11F |
---|---|
OS | Android 2.3.5 |
CPU | Texas Instruments OMAP4430(デュアルコアCPU) |
サイズ(幅×高さ×厚さ) | 約64×128×10.1ミリ |
重さ | 約131グラム |
連続通話時間 | 約380分 |
連続待受時間 | 約360時間 |
メインカメラ | 有効約1310万画素CMOS(AF/手ブレ補正付き) |
インカメラ | 有効約130万画素CMOS |
外部メモリ | microSDHC(最大32Gバイト) |
ディスプレイ | 約4.3インチ HD(720×1280ピクセル)TFT液晶 |
ボディカラー | ファインホワイト、ストリームブルー、ライブピンク、ネオブラック |
無線LAN | IEEE802.11b/g/n |
Bluetooth | 2.1+EDR |
外部インタフェース | Micro USB |
バッテリー容量 | 1460mAh |
主なサービス・機能 | 防水(IPX5/IPX8等級)、防塵(IP5X等級)、+WiMAX、テザリング、おサイフケータイ、Eメール(〜@ezweb.ne.jp)、Cメール、デコレーションメール、緊急地震速報、赤外線通信、ワンセグ、グローバルパスポート(CDMA+GSM)、GPS、WIN HIGH SPEED、HDMI出力、FMトランスミッター ほか |
「全部入りの防水スマートフォン」というと、大柄でゴツいボディを想像しがちだが、ARROWS Zのボディは思いのほか薄くて軽いと感じた。厚さ約10.1ミリ/重さ約131グラムは、ハイスペックなスマートフォンとしては十分薄くて軽いと言えるだろう。同じく+WiMAX対応の「HTC EVO 3D ISW12HT」が厚さ約12.3ミリ/重さ約171グラム、「MOTOROLA PHOTON ISW11M」が厚さ約約12.2ミリ/重さ約158グラムよりも薄くて軽い。一方、厚さ約8.7ミリ/重さ約130グラムの「DIGNO ISW11K」と比べると、重さはほぼ同じだが厚さはARROWS Zの方が1.4ミリ厚い。ちなみに、ドコモ向け「ARROWS X LTE F-05D」は厚さ約9.8ミリ/重さ約129グラムで、ARROWS Zよりもわずかに薄くて軽い。
持ち心地については、ボディ裏の側面は角が削ぎ落とされているので、手にフィットする。幅は約64ミリで、HTC EVO 3D(約65ミリ)、PHOTON(約67ミリ)、DIGNO(65ミリ)よりも細い。太すぎず、細すぎずといった感じだろうか。短時間だが、筆者が触った限り違和感は覚えなかった。
ARROWS ZのメモリはROMが8Gバイト、RAMが1Gバイト。8GバイトのROMのうち、ユーザーが利用できるデータフォルダとして提供されるのが6Gバイト。この6Gバイトはさらに、写真や音楽を保存できる「内蔵ストレージ」、アプリを保存できる「システムメモリ」に分けられる。展示機で確認したところ、内蔵ストレージが合計容量4.10Gバイト/空き容量3.71Gバイト、システムメモリが合計容量1.92Gバイト/空き容量1.73Gバイトだった。内蔵ストレージは擬似的な外部メモリとして利用でき、microSDがない状態でもカメラで撮った写真などを保存できるのが特徴だ。さらに、ARROWS Zは最大32GバイトのmicroSDHCも利用でき、試供品として2GバイトのmicroSDが同梱される。
ARROWS Zは端末単体で撮れるスクリーンショット機能は備えていない。Android 4.0ではOSがスクリーンショット機能をサポートしているが、ARROWS ZのAndroid 4.0へのアップデートについては「未定」(富士通東芝)とのこと。
9月26日の発表会で展示されていた試作機の動作は、製品版とはほど遠い出来だったが、約2カ月が経った今、どの程度アップデートされたのだろうか。12月5日の発表会で披露された試作機で確認した。まずはホーム画面から。ARROWS Zのホーム画面はAndroid標準と、Ocean Observations製、富士通が開発したNX!comfort UIの3種類をプリセット。今回はOcean Observations製とNX!comfort UIの2つを試した。
Ocean Observations製のホーム画面は、auのAndroidスマートフォンに採用されている共通のもの。秋冬モデルからインタフェースが改善されており、アプリ一覧のカテゴリー別表示や、ページ・アプリカテゴリーのサムネイル表示などが可能になった。ページの切り替え、ショートカットの配置など動作は全体的にスムーズで、短時間で試した限りはほとんどストレスは感じなかった。ただ、(従来のauスマートフォンでもそうだが)ショートカットを削除する際にアイコンがゴミ箱に吸い込まれていく効果がややもたつくと感じた。今回触れた中で特に印象がよかったのがNX!comfort UIだ。ページ切り替えであえて素早く指をフリックさせてもしっかり追従し、ショートカットの移動や削除もスムーズに行えた。
次にブラウザはどうか。内蔵のタスクマネージャーから起動中のアプリをすべて終了させた上で、ITmedia +D Mobileトップページにアクセスしてスクロールやピンチイン/アウト、リンク先へアクセスするなどの操作を試した。通信にはWiMAXを利用した。9月26日の発表会時点からは大きく改善されていると感じたが、ダブルタップをして拡大/縮小するまでに若干の間があったり、スクロール中にややカクっとした動きになったりで、「おや?」と思うことが少しあった。説明員に聞いたところ、「タッチパネルのチューニングはまだ完成していない。ITmediaなどの重いサイトでどれだけ速度が出るのかを検証している」とのこと。もう少し軽いサイトであればスムーズに動作するかもしれないが、今回試した限りは、富士通東芝がアピールする「指に吸いついてくるようなスムーズな操作感」までは、あと一歩という印象だった。
タッチパネルの操作感は、発売後にあらためて確認する予定だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.