第3部 「増産は絶対にできない」けどプロモーション、容赦せん!――ジョジョスマホの伝え方NTTドコモに聞く「L-06D JOJO」(2/2 ページ)

» 2012年08月24日 09時30分 公開
[田中聡,ITmedia]
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ユーザーとの距離を縮める“鹿島ノート”

―― 8月12日に、渋谷のジョジョスマホ展にお邪魔しました。そこで鹿島さんが書かれたアイデアノート“鹿島ノート”も拝見しました。

鹿島氏 このノートは、(2011年の)冬休みに飲みながら、ひたすら落書きに近い形で書いていました。あんな内容で本当に申し訳ないと思うんですけど……。このプロジェクトに入れさせてくれとお願いしたのが、去年(2011年)の冬くらいなんです。そのときは、こういう場にいられる人ではなかったですし、まさかジョジョスマホ展で、ドコモからは自分だけが出ることになるとは思ってなかったです。

photo 8月11日〜12日に東京の渋谷で開催されたジョジョスマホ展で、ジョジョ原作の名ゼリフを入力するゲーム「JOJO GO BATTLE」を来場者と対戦する鹿島氏

photophoto ジョジョスマホのコンテンツ案が詰まった鹿島氏のノート(の一部)がジョジョスマホ展で展示された

岡野氏 逆に僕は面白いと思ったんです、鹿島ノート。仙台のジョジョ展を見に行って思いついたんですが、僕らがやってきたことの中で、お客さんが見て一番面白いのはこれかなと。昔の高橋名人と似ていると思っていて……オタクで(ゲームやマンガが)好きな人が、すごいもの作っちゃったみたいな。その生々しいものが見えた方が、お客さんに伝わると思います。ドコモのビジネスっぽい臭いがすると引いちゃうと思うんですよ。実際そんなものは何もないので。生のものを見せた方が、プロモーションとしても面白いと思ったので、あえて出しました。本人は最初嫌がっていましたけど。

鹿島氏 これ、人前で見せるのは本当に恥ずかしいんですよ……。荒木先生に見られたと思うと……。

岡野氏 うれしいでしょ?

鹿島氏 いや〜(苦笑)。

岡野氏 荒木先生から出していいという回答が来たんだから。

―― このノートもチェックされたんですか?

岡野氏 ええ、見せてます。荒木先生にこのノートのコピーを渡して、「これを展示しますけどよろしいですか?」と。

―― なるほど。でもこれ、いちユーザーとしても面白い試みだと思います。

岡野氏 ドコモという、形と心の見えない物体よりも、鹿島という人間を見てほしかったんです。お客さんとも近いし納得もできる。会社を全面に出すと冷徹な塊、もしくは利益先行型に見えてしまうので、1人の人間の集合体であることを分かってほしかったんです。

photophotophoto 鹿島ノートには「OINGO BOINGO」のノート(※第3部に登場するオインゴ・ボインゴ兄弟のうち、弟のボインゴが使う予言ノート)が使われた(写真=左)。ノートの中には、「ハーミットパープル」のナビアプリ、トニオのレシピアプリ、エアロスミスの混雑センサー、エコーズのダイヤルアプリ、ベイビィフェイスのキーボードアプリなど、ボツになったアイデアも満載(写真=中、右)
photo ジョジョのファッションアイテムをさり気なく着こなすという鹿島氏

―― 1人の社員をフィーチャーしてプロモーションすることは、あまり聞かないですよね。

岡野氏 ないです。最初で最後ですね。普通はタレントを呼んだりして、分かりやすいことをやるんでしょうけど。

鹿島氏 他部署に所属している人間に、ここまでのチャンスを与えてくれた周囲のスタッフや上司に感謝したいです。何よりも一番お礼を言いたいのが荒木先生。いろいろな企画があってお忙しい中、細かく監修していただけました。

―― 私も「ジョジョケータイ出ないかな〜」くらいの妄想はしていましたが、まさか本当に出るとは思いませんでした。

岡野氏 自分たちもまさか本当にできるとは思っていなかったです。

鹿島氏 ドコモがチョイスするコンテンツとは思ってなかったですね。

―― ドコモさんのイメージも変わるのではないでしょうか。

岡野氏 ドコモが好きじゃない人に良いイメージを持ってもらいたいですね。

鹿島氏 そういう意味だと、僕らは浮いている方かもしれません。服装から何まで(笑)。

―― Tシャツの柄が「ザ・ハンド」(※第4部の登場人物、虹村億泰のスタンド)ですね。

鹿島氏 取材ごとに服装のテーマを変えているんですよ。

岡野氏 さり気なく変えているのがいいんですよ(笑)。僕も今日の靴は岸辺露伴モデルですから。

―― そういえば、鹿島さんはドコモ発表会に吉良(※第4部の敵キャラ、吉良吉影)のネクタイをしていましたよね。

鹿島氏 ええ。基本的に半分以上ジョジョの服を着てますから。

ユーザーとのリアルなコミュニケーションを重視

―― 部署の枠を超えて端末を開発したケースは他にもあるんですか?

岡野氏 コラボ系はほとんどそうですね。ヱヴァスマホや「TOUCH WOOD」もそうです。TOUCH WOODを企画したときは、商品開発に関わっていなくて、全然関係ない仕事をしていたんですけど、先にオリンパスさんたちと話をして、後に引けない状態にしてから役員に持っていったんです。外から見て「ドコモらしくない、面白いなという企画」は、だいたいそういうやり方で進めています。

―― 岡野さんがコラボ企画に携わったのはTOUCH WOODから?

岡野氏 厳密に言うともう少し前からやっています。佐藤可士和さんがデザインをしたモデルもそうです。TOUCH WOODはプロモーション専任のような役回りになっていました。そのとき考えたのは、コミュニケーションしやすいもの、伝えやすいものという観点です。TOUCH WOODは素材やエコで勝負する考えがあるので、面白いんじゃないかと思いました。コラボ端末も同じで、コミュニケーションしやすいものが欲しい。機能だけではプロモーションできないですから。

 ジョジョスマホ展のようなイベントは、普通の機種じゃできませんが、ああいうイベントがあるから、鹿島とお客さんの距離も縮まります。ヱヴァのときも、コミュニティをネット上でたくさん作って、ファンと開発者でいろいろ議論したりしました。TOUCH WOODのときは、TOUCH WOODを買っていただいた方とは非公式でオフ会もやりました。

―― ユーザーとの接点を増やしていきたいと。

岡野氏 それが大事だと思います。表面的に「お客さんの声を聞く」のではなく、本当に聞くことが大事だと思うので。ジョジョスマホ展もまさにそう。

鹿島氏 僕もステージに立っているとき以外は周りをウロウロしてたんですよ。参加者の話を聞いてみたいし。単純にジョジョの話をしたいというのもあるんですけど(笑)。

→TO BE CONTINUED...

(第4部では、コンテンツのこだわり、アイデア採用の苦労などを聞く)

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