何がすごい? 消費電力は?――「Tegra 3」で再確認するクアッドコアの真価(1/2 ページ)

» 2012年11月16日 09時30分 公開
[ITmedia]

 デュアルコア、クアッドコア――スマートフォンが普及し始めてから、こうした単語を目にする機会が増えたのではないだろうか。これらは一般的にCPUのコア数を表すもので、コア数が多いほど端末への処理を並列して行え、よりパワフルな動作が可能になる。iPhoneやAndroidなどのスマートフォンが登場し始めたころはシングルコア(1コア)が一般的だったが、2011年夏ごろからデュアルコア(2コア)搭載のスマートフォンが登場し、現在ではデュアルコアは標準的なスペックになりつつある。そして最近は4つのCPUコアを持つ「クアッドコア」対応のスマートフォンやタブレットも登場している。スマートフォンはドコモの「ARROWS X F-10D」「ARROWS V F-04E」「Optimus G L-01E」「Disney Mobile on docomo N-03E」「GALAXY Note II SC-02E」「GALAXY S III α SC-03E」「AQUOS PHONE ZETA SH-02E」、auの「ARROWS Z ISW13F」「Optimus G LGL21」、ソフトバンクの「AQUOS PHONE Xx 203SH」、タブレットはドコモの「ARROWS Tab F-05E」、イー・モバイルの「GT01」がクアッドコアCPUを備えている。クアッドコアプロセッサーの開発元は、「Tegra 3」を提供するNVIDIAと、「Snapdragon」を提供するQualcommが有名だ。中国のHiSilicon Technologiesが開発したクアッドコアプロセッサー「K3V2」は、Huaweiのスマホやタブレットに採用している。またスマホのメーカーでもあるSamsung電子は、「Exynos」というクアッドコアプロセッサーを自社で開発し、同社製スマホの一部に搭載している。

 2012年冬モデルではクアッドコア搭載機が一気に増えたが、タブレットとスマートフォンに搭載された世界初のプロセッサーはTegra 3だ。NVIDIAは2011年11月にTegra 3の出荷を開始し、日本では2012年1月21日から、Tegra 3を搭載したASUS製のタブレット「Eee Pad TF201」が販売されている。NVIDIAはタブレットとスマホにおけるクアッドコアの先陣を切ったわけだ。

クアッドコアのメリットとは?

 コア数が多いとどんなメリットがあるのだろうか。例えばWebブラウジングをする際に、ページの表示、拡大/縮小やスクロールなどがより速くなる。Flashの表示速度、写真を編集する速度、保存した写真のサムネイルを表示する速度、ビデオのストリーミング速度なども、CPUコアが多い方が有利だ。HDやフルHDなどの高精細なビデオも、クアッドコアなら滑らかに表示できるだろうし、家庭用ゲーム機並みに美しいグラフィックのゲームも、クアッドコアなら動作がもたつくことなく楽しめる。スマートフォンにおける速さは「通信速度」と「動作速度」に大別されるが、動作速度のカギを握る要素の1つがCPUだ。端末メーカーがCPUに合わせてソフトウェアを最適化させることが前提となるが、一般的に、CPUコアが多いほど端末の動作全般が速くなる。

クアッドコアCPU搭載のTegra 3の性能を比較

クアッドコアだとバッテリー消費が激しい?

 クアッドコアCPU搭載モデルはまだ数が少ないため、1つの訴求ポイントになる。一方で、CPUコアが4つあるということは、それらが常に動き、バッテリーの消費が早いのでは――というイメージを抱いている人もいるのではないだろうか。バッテリーの持ちは物理的なバッテリー容量や、ソフトウェアの作り込み、ネットワーク側の制御なども関連しているが、CPUへの負荷をどれだけ抑えるかもカギを握っている。ではクアッドコアがバッテリーの持ちに不利になるかというと、必ずしもそうではない。

 Tegra 3は、4つのCPUコアに加えて、負荷の軽い処理を行う5つ目の「省電力コア(コンパニオンコア)」を搭載しているのが大きな特長。NVIDIAはこれを“4-PLUS-1”と呼んでいる。クアッドコアCPU搭載機だからといって、常に4つのコアが動いているわけではない。例えば下記の紹介動画を見ると、待受状態では省電力コアのみが動作し、他の4コアは一切動いていないことが分かる。写真や動画を再生すると、再生直後には他のコアが瞬間的に動くが、写真や動画の読み込みが終わると省電力コアのみがオンになる。ブラウザを起動すると、Webページの読み込み中は複数のコアが動くが、読み込みが終わると省電力コアのみが動作する。一方、高性能なゲームをプレイする際には、4つのコアがフルで動いて快適なゲーム体験をサポートする。このように、Tegra 3はクアッドコアでありながら、必要に応じて利用するコアを切り替えられるので、高いパフォーマンスを維持しながら省電力化に大きく貢献する。

Tegra 3の「4-PLUS-1」アーキテクチャで、CPUがどのように動作するのかをデモ

Tegra 3搭載モデルが続々登場

 このTegra 3は2011年秋に出荷され、スマートフォンは海外向けが「HTC One X」(HTC製)、「Optimus 4X」(LGエレクトロニクス製)、「ZTE Era」(ZTE製)、日本向けがARROWS X F-10D、ARROWS V F-04E(富士通製)、ARROWS Z ISW13F(富士通モバイルコミュニケーションズ製)に採用されている。タブレットは「ICONIA TAB A700」(エイサー製)、Eee Pad TF201、「REGZA Tablet AT570」(東芝製)、「Xperia Tablet S」(ソニーモバイルコミュニケーションズ製)などに採用されている。Android 4.1搭載のリードデバイスであり、Android 4.2にも対応する7インチタブレット「Nexus 7」もTegra 3を搭載している。

 Tegra 3搭載の最新機種で注目したいのがARROWS VとNexus 7だ。ARROWS VはARROWS Xのアップグレード版ともいえるモデルで、64Gバイトの内蔵ストレージ、2GバイトのRAM、64GバイトのmicroSDXC対応、そしてNOTTVやDLNA連携(DTCP-IP対応)をサポートするなど、エンタメを楽しむための機能を「これでもか」というほど盛り込んだ。Nexus 7はHD動画再生で9時間、Webブラウジングで10時間、待受で10時間の連続動作を実現している。Wi-Fiモデルであることも関係しているだろうが、Tegra 3の恩恵も少なからずあるだろう。また7インチという大きなディスプレイを搭載しているので、ゲームで遊ぶ、Google Playなどで購入した映画を見る、電子書籍を読むといった用途に向いている。16Gバイト版は1万9800円というお手頃価格もあり、エンタメマシンとして手に入れておくのもアリだろう。ただ、外部メモリに対応していないので、ゲームや動画などをガンガン楽しみたい人には32Gバイト版(2万4800円)をオススメしたい。

photophoto 「ARROWS V F-04E」(写真=左)と「Nexus 7」(写真=右)
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