インタビュー
» 2012年11月28日 10時30分 公開

開発陣に聞く「DIGNO S KYL21」:スマホユーザーの不満を解消せよ 「DIGNO」に授けられた3つの“S” (2/2)

[房野麻子,ITmedia]
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 今でこそさまざまな音声認識サービスが各社から登場しているが、辻岡氏は「京セラもかなり前から研究を進め、スマホへの搭載を検討してきた」と明かす。ほかの音声認識サービスとすぐごえの大きな違いが、反応が速い点。例えば、NTTドコモの「しゃべってコンシェル」とすぐごえの双方を同時にスタンバイし、「東京スカイツリー周辺の地図」と指示して比較してみたが、DIGNO Sのすぐごえの方がかなり速く地図が表示された。これは、音声を認識した後の処理が違うためではないかと、辻岡氏は話す。

 すぐごえは、入力された音声をGoogleのサーバーに送信し、クラウドでテキストデータに変換。そのテキストデータは端末に送り返され、求められる操作ごとの処理を行う。例えばWeb検索をする場合は、改めてテキストをキーワードにした検索をかける。

 「それだけが理由ではないと思いますが、処理速度に少なからず影響していると思います。そもそも、ほかのサービスとは元々の設計思想がまったく違うと我々は考えています。我々は“すぐできる”ということにプライオリティを置いて、やりたいことがすぐできることに価値があると思っています。一方で、ほかの音声認識サービスはユーザーの要求に何でも応えてくれる“柔軟さ”にプライオリティを置いているものが多いと思います。だから、何を言っても応えようとする。すぐごえは何でも応えられるわけではありませんが、一定のルールに則って使っていただければ目的に対し、すばやく応えられる機能です。例えば、YouTubeを起動するには“動画”、乗り換え検索をする場合は“乗り換え”というキーワードが必要になります」(辻岡氏)

 ということで、ユーザー側でキーワードを使いこなすことができれば、すぐごえですばやくスマホを使いこなすことができるだろう。すぐごえには、利用できる機能と使い方を確認できるヘルプメニューがあるので、最初はこれで操作に慣れ、色々試してみればいざというときに役立つ。

 「渋谷区の面積とか富士山の高さなどを漠然と話しかけられるのは苦手ですが、『富士山の高さを検索』といってもらえれば、Google検索で探すこともできます」(辻岡氏)

 なお、スリープ時はボリュームキーの上を長押しするとすぐごえが起動。また、音声は、初期設定では女性の声だが、男性に変えることもできる。アプリの単純起動の際に話す単語や連絡先を呼び出す場合の名前もすぐごえの設定画面から好みで変更できる。

細かな進化で使い勝手が向上

 DIGNO Sはすぐごえ以外にも、さまざまな部分で細かい進化が見られる。ロック画面からすぐに文字入力ができ、アプリと連携する「すぐ文字」では、利用履歴の表示に対応。同じ文字とアプリの組み合わせなら、文字の入力すら必要ない。例えば、乗り換え検索では時間を調べるために、同じルートを何度も検索することが意外に多い。そんなときにすぐ文字を起動すれば、ワンタッチで検索できる。

 カメラにはエフェクト機能が新たに搭載された。撮影時の設定にエフェクト撮影のメニューがあり、1画面で9パターン、計14パターンの効果をリアルタイムに確認できる。また、HDR撮影にも対応した。

 スマートソニックレシーバー以外の電話関連機能にもこだわり、電話帳は見やすいタブ形式を採用。タブが大きいので操作しやすく、目的の相手が見つけやすい。また、発信履歴と着信履歴はフィーチャーフォンと同様に分けて表示するタイプで、日本語表記も加えられた。着信応答画面はプライバシーを考慮して非表示設定にすることもできる。画面の「表示」ボタンをタッチすれば、誰でも相手の情報を確認できるが、いきなり大画面に相手の名前が表示されることはなくなるというわけだ。

photo DIGNO Sのステータスパネル(通知画面)

 ステータスパネル(通知画面)は、表示が充実した。アプリのショートカットを配置できるほか、カレンダーも表示可能。もちろん、必要ないなら削除(非表示設定)もできる。また、Wi-FiやGPSなどのオン/オフ設定ボタンは、あらかじめ用意されている13個の中から10個まで選んで、2列で表示する。

 「DIGNO Sは、ステータスパネルでかなり何でもできる方だと思います。アプリへのショートカットを置いたのは、すぐごえや電話帳、アラームなど、よく使うアプリをどこからでもすぐ使えるようにしたかったからです。ステータスパネルなら初心者の方にも操作方法が分かりやすいですし、すぐごえでアプリをすぐ起動できるといっても、声で操作することに抵抗のある方もいらっしゃるので、ステータスパネルからすぐ使える別の導線も用意しました」(辻岡氏)

 アプリのランチャーは、上部のカテゴリーをタッチすると、すべてのカテゴリーが一覧表示される。ページを増やしてカテゴリーを新たに設定するだけでなく、逆にURBANO PROGRESSOで搭載されたシンプルメニューも設定できる。DIGNO SはOSにAndroid 4.0を採用しているが、「初めてスマートフォンを使う場合にいろんな障壁があるので、それを取り除き使いやすくするため」(辻岡氏)、いろんなところでカスタマイズが行われているという。

 珍しい機能としては「アラーム時刻読み上げ」がある。これは旧三洋電機製端末や「K006」「簡単ケータイ K012」などに搭載され、密かに人気を博した機能だ。今回、すぐごえ用に音声読み上げエンジンが搭載されたことでDIGNOとして初めて搭載されることになった。便利な機能が増えるのはもちろん、懐かしい“SA”ブランドの息吹を感じられるのもうれしいところだ。

大容量バッテリーを搭載しても持ちやすく

 4.7インチの大型ディスプレイと大容量のバッテリーを搭載しながら、DIGNO Sのボディは幅66ミリに抑えられ、思いのほか持ちやすい。カメラ部分にやや厚みがあるため、全体的にはくさび形になっているが、ほぼフラットなフォルムにまとめられている。持ちやすさに徹底的にこだわり、サイズに関して厳しく攻めた結果だ。

 デザインを担当した光永氏は、「狭額縁化して幅を抑え、背面に丸みを持たせて手のフィット感にこだわりました。思ったよりサイズの大きさを感じないと思います」と話す。

 ディスプレイがISW11KやURBANO PROGRESSOの有機ELディスプレイからTFT液晶になったのも、幅を抑えるためだったという。有機ELは薄型化には向くが、逆に狭額縁化が難しい。ディスプレイはTFT液晶に変わったが、314ppiと高精細なので見やすさは損なわれていない。

 また、これまでのDIGNOシリーズはホーム/戻る/メニューの各キーに物理キーを採用していたが、DIGNO Sはセンサーキーを採用した。これについて辻岡氏は、「Android 4.0になって物理キーなしで操作できるようになったことと、慣れるとタッチでもまったく問題ないと判断したからです。ユーザーもセンサーキーに対する抵抗を感じなくなってきていると感じます」と話す。

 また、うたパスやビデオパスのサービスが広まってニーズが高まるという判断から、3.5ミリのイヤフォンジャックをDIGNOシリーズとしては初めて搭載した。しかもキャップレス防水に対応している。

 デザインの特徴は背面から正面にかけて包み込むようなラウンドフォルムだ。DIGNO Sは使いやすさにこだわるモデルだが、トレンドの機能にフル対応した高機能なモデルであり、端末のデザインはそれを意識しているという。

photo 手になじむラウンドフォルムデザインを採用

 「高性能なイメージを凝縮したようなデザインを狙って、包み込むようなラウンドフォルムにこだわりました。かつ、シンプルで使いやすいモデルであることも考慮し、ボタンやキーなどのディテールは本体側面の中にきっちり収まるように、すっきりシンプルに仕上げています」(光永氏)

 使用頻度の高い電源キーの素材にはアルミを採用。周りのボディと質感を変えて触ってすぐ分かるようにし、耐久性も確保するなどしっかりと作りこんだ。単に大きくして分かりやすくするのではなく、触ったときの質感を変えることで、押しやすさを向上させている。

photophoto ホームキーなどはセンサー式になった(写真=左)。電源キーはアルミ素材を用い、質感を変えて認識しやすくした(写真=右)

 ボディカラーはホワイト、ブラック、ピンクという定番の3色を用意した。特にブラックはもっとも人気がありながら、他モデルとの差別化が難しい色。そこで京セラでは、新しさを表現しようとこだわったという。

 「まず、指紋が目立たないように、つや消しの質感にしました。塗装にビーズを入れてあるので凹凸感がありますが、ここまでしっかりとした触感のあるザラザラ感を出すのは難しく実現に苦労しました」(光永氏)

 ホワイトはニーズが高く、開発当初から必ず入れると決めていたという色だ。しかし納得できるホワイトを表現することは難しく、カラーの人気調査でもブラックになかなかかなわないという。だからこそホワイトの表現に注力した。

 「一般的に、ホワイトにシルバーの輝きを入れる場合、蒸着のような処理をするのですが、それだとほかと代わり映えがしない。そこで今回は、別の方法をとりました。あえて蒸着を行わず、塗装でまとめて一体感を出しています。シルバーの部分は金属調を抑えて白っぽくし、ホワイトは輝度を上げてシルバーに近づけて一体感を出しました。おかげで事前のカラー調査で好評でした」(光永氏)

 30代の女性をターゲットにしたピンクは淡い色味を採用。最近、若いユーザーや男性には濃いピンクが人気だが、DIGNO Sでは比較的薄いピンクを採用している。

 「落ちついた淡いピンクで女性らしさや上品な質感を表現しました。開発時は濃いピンクも用意していましたが、濃いピンクより淡いピンクに新しさを感じる声が多く、こちらにしました」(光永氏)

 またDIGNO Sは正面のディスプレイ縁部分も黒ではなく、それぞれのカラーになっている。これは店頭での見た目なども重視して実現したものだという。


 DIGNO Sの大容量バッテリーは、すでにスマートフォンを使っているユーザーはもちろん、フィーチャーフォンから乗り換えるユーザーにも大きな魅力だ。もちろんおサイフケータイ、ワンセグ、赤外線という3大機能にしっかり対応し、LTEやNFCのような将来性のあるサービスにも対応している。辻岡氏は「スペックの高さや機能の豊富さを重視するユーザーにもおすすめです。どなたでも長く使える1台と言えるのではないでしょうか」と補足した。

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