2012年もやはり「iPhone」がケータイ業界の中心にあったというのが今年の感想だ。あえて言うならば、これだけAndroidスマートフォンが増えていても、今年もiPhoneに対抗できるようなキラー・ブランドやモデルがなかったともいえるのではないだろうか。もちろん、その中にも「GALAXY」シリーズの新型や富士通「ARROWS」の新モデルなどはギョーカイして大きなトピックかもしれないが、一般ユーザーに浸透するほどのインパクトや話題性はなかっただろう。
その点、iPhoneはやはり初夏の頃からニュースをにぎわし、私の周囲でも「新しいiPhone 5はどうなんだ」「買い替えるかどうか悩む」と言った話題が引きも切らなかった。iPhoneユーザーにとってみれば“次”のiPhoneに対する関心も高く、そのデザインやスペック、細かいところではDockコネクタの仕様など、いろいろな話題があった。ただ、Androidスマートフォンを使っている私から見ると、(ボディが)“長く伸びた”程度の印象だったのが正直なところ。それだけ使いやすいからこそ進化の幅も少ないのかもしれないが……。
「iPhone 5」の登場とともに話題に上ったのが、記憶に新しい地図アプリの誤表示問題。これをふたつ目のトピックとして挙げておきたい。ご存じの通りiPhone 5ではAppleが独自に開発した地図アプリを導入したが、羽田空港が「大王製紙」と表示されたり、「パチンコガンダム駅」が登場したりするなど、日本に限らず世界中で地図の誤表示が問題となった。原因やその仕組みについては詳しい記事を見ていただくとして、Appleをしても“地図”アプリをこの程度にしか詰められなかったということは、逆に言えば市販の地図アプリや、なによりこれまでiPhoneやAndroidスマートフォンに入っていた、タダで使えるGoogleマップがどれだけちゃんとしていたかということを痛感した。
私はAndroidユーザーということもあって、自動的にプリインストールされているGoogleのマップアプリを使っているが、もうこれで十分という印象。バイク関係の記事を書かせていただいていることもあって、よくポータブルナビやナビアプリと一緒に取り上げることも多いのだが、必要な機能はだいたいそろっていて、ルート案内の使い心地も十分満足できるものだけに、これがタダで使えるのだから、ありがたい限りである。もちろん、ほかにも優秀な地図アプリもあるし、ナビ専用機ならではの機能もあるだろうが、タダで使える、という点を横に置いておいても、今のところほかのものをあえて使おうという気にならない。
また、この「Google Maps」が12月に入ってApp Storeで提供されるようになると、公開からわずか48時間で1000万ダウンロードを超えるといったことなどは、まさにiPhoneユーザーの多くが待ち望んでいたことの証だ。地図アプリというと、普段はニュースの話題に上るようなものではない地味なものなのかもしれないが、それだけ多くのユーザーに使われ、影響力もあるというものだということを改めて実感した。
そしてもうひとつは、LTEがいよいよ本格的に普及し始めた年だったこと。ご存じの通りNTTドコモはすでに「Xi(クロッシィ)」として2010年からサービスを提供しているが、iPhone5の登場に合わせて2012年秋にKDDI(au)とソフトバンクモバイルもLTEをサービスインさせた。特にauは2012-2013秋冬モデルとして発表したAndroidスマートフォン10機種もLTE対応とするように、かなり力を入れているようだ。また、ドコモが12月から最大通信速度100Mbpsのサービスを始め、2012年度内には最大112.5Mbpsのサービスを提供するなど、そのスピードを見るともはや固定網のブロードバンドを凌ぐほどの実力を持つことになる。それが、これからの“ジョーシキ”になるというのだから、ネットワーク技術の進歩って本当に10年ひと昔だと思う。
ただこのLTEに限らず、3Gサービスが始まったときのドコモの「FOMA」をはじめ、新世代の通信サービスは最初こそその先進性が注目されてどれだけエラいかが喧伝されるものだが、やはり普及して行くにつれ“当然のもの”になっていくのがテクノロジーの性。
今でこそLTEの人口カバー率で大手キャリア3社がしのぎを削っていて、「どこが使える」「どこが使えない」という声があちらこちらで聞こえるが、それも数年後の年末を締めくくるトピックスには、LTEなんて言葉すら見当たらなくなるほど、当たり前のことになるのかもしれない。
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