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» 2013年06月07日 23時00分 公開

石野純也のMobile Eye(5月27日〜6月7日):au通信障害の原因は?/使いやすさと軽さで勝負する京セラ/日本語化も進む「Firefox OS」 (2/3)

[石野純也,ITmedia]

「DIGNO R」と「URBANO」で夏商戦を戦う京セラ、海外のノウハウも生かす

 夏商戦が始まり、各メーカーが相次いで新製品を発売している。世界シェアの高さでは“日本メーカーのツートップ”の一角を占める京セラも、au向けに「URBANO L01」を、ソフトバンク向けに「DIGNO R 202K」を投入する。同社は、5月27日に説明会を開催。2つの端末の狙いやコンセプトを解説した。

photophoto 京セラが夏商戦に投入する「URBANO L01」と「DIGNO R」

 au向けのURBANOは、「40代を中心に考えた」(通信機器関連事業本部 国内第1マーケティング部 商品企画課 PM3係 責任者 大西克明氏)大人がターゲットのスマートフォン。フルHDのディスプレイや、クアッドコアCPUといった“派手なスペック”は目指さず、「上質さを感じさせながらも使いやすく、親しみやすいモデルとして」(同)企画された。昨年5月に発売された「URBANO PROGRESSO」に続く2機種目のスマートフォンとなり、ディスプレイは4インチから4.7インチに大型化したが、幅は1ミリ増に留めた。しかも、「今回のバッテリーは2700mAhと大型化している」(同)。

photophoto URBANOの商品企画を担当した大西氏(写真=左)。URBANOは、昨年発売された「URBANO PROGRESSO」の後継機になる。先代のモデルも40代以上を狙った商品だったが、予想以上に幅広い層に受け入れらた(写真=右)

 端末のベースとなるスペックを向上させながら、サイズをキープできたのは「基板の小型化を図った」(大西氏)ため。iPhone 5で利用されるnanoSIMを採用したことも、小型化に一役買っているそうだ。

photophoto バッテリー容量は大幅にアップしているが、サイズや重さはURBANO PROGRESSO並みに抑えた。バッテリーの持ちをよくする、省電力機能にも対応する

 URBANOは40代以上の大人と同時に「フィーチャーフォンからスマートフォンに切り替えるユーザーをメインターゲットにしている」(大西氏)。そこで、同モデルには「エントリーホーム」と呼ばれるホーム画面を搭載。ホーム画面を1枚に固定し、スマートフォンならではの複雑さを排除した。Android端末は画面内にソフトウェアキーを置くのが標準的になりつつあるが、あえて物理キーを採用しているのもこうした事情があるからだ。“電話”の基本である聞きやすさにも注力した。URBANOには、ディスプレイ全体がスピーカーになる京セラの独自技術「スマートソニックレシーバー」が搭載されており、「騒がしい場所でも相手の声がクリアに聞こえる」(大西氏)という。

photophoto フィーチャーフォンからの乗り換えを意識し、「エントリーホーム」を搭載。スマートソニックレシーバーは、騒音に強いというメリットがある

 もう1つのDIGNO Rは、世界最軽量の94グラムを打ち出したコンパクトなスマートフォン。「(スマートフォンは)ハイスペックといったところで進化が続いているが、ほかとは違う軽量というところで明快な差別化を図った商品」(通信機器関連事業本部 国内第2マーケティング部 商品企画課 PM1係 責任者 川居伸男氏)という、分かりやすいコンセプトが特徴だ。川居氏が「95グラムというスマートフォンは存在する」と述べているように、重さについては昨年、ドコモの夏モデルとして発売されたソニーモバイル製「Xperia SX SO-05D」の95グラムを意識していることもうかがえる。

photophoto 石けんより軽い「DIGNO R」。会場には、ほかにもナスやキュウリ、ポッキーといった比較対象が置かれており、はかりで比較することができた。風船で浮かぶデモも行われていた
photo DIGNO Rの軽さの秘密を語る、企画担当の川居伸男氏

 軽さという要素にユーザーがどこまで魅力を感じるのか、未知数なように思えるが、川居氏によると「おおむね、どの年代でも高く評価してもらっている」という。京セラが行った調査からは、女性で、年齢が高い方が軽さに魅力を感じていることが分かる。重さと同時に、横幅も60ミリに抑えた。こちらについても、「フィーチャーフォンと同じサイズ感が評価されている」(同)とのことだ。

 94グラムという重さは、川居氏が「内部レイアウトの最適化」と呼ぶ、細かな軽量化の積み重ねによって実現した。例えば、「スマートフォンは中に補強をするためーのシャシーが入っているが、従来ステンレスだったものを、今回はマグネシウム合金にしている」(同)。また、ディスプレイのガラスは「旭硝子の『ドラゴントレイル』を、京セラでさらに薄くしている」(同)。URBANOと同様、nanoSIMを採用したことや、防水をキャップレス仕様にしたことも、軽量化や小型化に貢献しているそうだ。

photophoto 軽さに対する評価は、女性のほうが高い。この重さは何か1つで成しとげたものではなく、1つ1つの積み重ねによるものだ
photo 写真は、米国ニューヨークで撮影したSprintショップの様子。京セラ製品は、Samsung電子やLGエレクトロニクスと並び、大々的にプッシュされていた

 ハイエンドをいたずらに追わず、使い勝手やコンパクトさで勝負する京セラの夏モデル。王道との差別化を徹底する戦い方は、低価格端末やタフネス端末でシェアを伸ばしている北米市場の状況とも似ているように感じた。冒頭で述べたように、京セラは北米市場で強く、日本メーカーの中ではソニーモバイルに次いで世界シェアが高い。米調査会社Gartnerのデータによると、2013年第1四半期は北米シェア5.9%で、4位となっている。同調査によると、出荷台数は232万4000台で、Samsung電子、Apple、LGエレクトロニクスに次ぐ実績を誇る。

 また、このシェアの高さは、「日本向けだが根幹の部品は同じことが多い。ソフトウェアも表面上見えるところは日本向けのローカライズをしているが、中身は共用化して効率化を図っている」(川居氏)と、URBANOやDIGNO Rの開発にもメリットが生まれている。一方で、DIGNOのブランドはまだユーザーの認知度が高いとは言えない。日本でのシェアを上げていくためには、こうしたブランド力を向上させる取り組みが課題になりそうだ。

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