KDDIは、6月19日に第30期定期株主総会を行った。株主との質疑応答では、4G LTEの人口カバー率表記問題や通信障害に関連した質問とともに、KDDIの事業におけるUQ WiMAXの位置づけ、高齢者向けスマートフォンに関する要望が出された。
株主総会の議事進行を執り行ったKDDI代表取締役社長の田中孝司氏は、第29期となる2012年度の実績と2013年年に取り組む事業内容について紹介した。その内容は、4月20日に行った2012年度の決算発表会見と同じで、3M戦略の推進やスマートパスの訴求効果などで、連結営業利益が5127億円と前期比7.3パーセントの伸びとなり、一人当たりの通信料収入が月次ベースで底を打って上昇に転じたことなど、2012年度が成長起点の年となったことを株主に訴えた。
KDDIの主要関係会社の業績については、UQ WiMAXが設立以来初めて単年度黒字を達成したほか、じぶん銀行が口座数が150万口座、預金残高が5658億円と、増加していることを紹介。また、災害時長期停電への対応として、トライブリッド基地局(太陽光発電、深夜電力による蓄電池、商用電力を用いる)100局、基地局バッテリー24時間化を整備したことも報告した
第30期となる2013年の基本方針で示した内容は、5月20日に行った2013年夏モデルの製品発表会と共通する。3M戦略の推進と深化、そして、グローバル戦略の推進で事業成長を目指すとし、通信料収入の拡大では、auスマートバリューでユーザー数を拡大、さらに、auスマートパスを起点としたビジネスの拡大で付加価値売り上げも増やしていく。3M戦略は、インターネットを安心して使ってもらうためのスマートパスポート構想から第2弾となるスマートリレーションズ構想となり、持つから使いこなすための端末やサービスを提供していくことを株主に説明した。
株主総会では、4G LTEの人口カバー率の誤表示と通信障害に関して、発生経過と再発防止策について説明を行った。いずれも説明内容は、6月10日の通信障害原因説明会で行った内容とほぼ同じだ。
iOSデバイスにおける4G LTEの人口カバー率誤表記については、5月10日に行政指導が入り、5月21日には措置命令が出たことを示した上で、社内の広告チェック体制と承認フローを強化するなど、社内でも再発防止策を徹底したことを紹介した。
また、通信障害では、障害の発生経過の説明と原因、対策を示し、年末年始と4月中旬に起きた障害については再発防止策を実施し、4月末と5月末発生した障害は暫定対策を行い、8月末に向けて恒久対策を行っていると説明した。
株主との質疑応答では、iPhone 5の75Mbpsにおけるカバー率を誤解しやすい表記にしてまで販売しなければならないほどに、達成が厳しい販売条件だったのかという指摘もあったが、これについてKDDIは、Appleをはじめとして、個別の取引条件は契約上非公開となっているとした上で、誤解させる意図はなく、社内で情報共有ができていなかったことと、広告の承認フローが徹底していなかったことが原因と主張した。
株主からは、3M戦略におけるUQ WiMAXの位置づけにおいて、セルラーデータ通信のオフロードに使っているいるだけではないのかという指摘があったが、これに対しては、オフロードの役割もあるが、独自サービスとしての高速データ通信としてユーザーも評価していると答えた。なお、WiMAX 2については、新規周波数の割り当てに応募しており、帯域を確保してTD-LTE準拠のWiMAX 2として提供したいと答えるにとどまった。
また、高齢者向けスマートフォンを用意してほしいという要望もあったが、これについては、2013年夏モデルで登場した「URBANO L01」で高齢者ユーザーが使いやすいユーザーインタフェースを導入したほか、騒がしいところでも聞こえやすいスマートソニックレシーバーを採用していることを紹介した上で、高齢者も重要なユーザー層と認識しており、今後も機能改善を進めていくと答えた。
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