4K/8K映像の配信、新しい通信技術、バーチャル空間共有――KDDI研究所で“未来”を垣間見てきた(1/2 ページ)

» 2014年02月19日 01時13分 公開
[田中聡,ITmedia]

 KDDIが2月16日、一般ユーザー(au未来研究所の研究員にエントリーした人)を招き、KDDI研究所の先端技術を披露・体験できる見学会を実施した。

 埼玉県ふじみ野市にあるKDDI研究所では、無線技術や映像技術などの研究開発を進めている。この日は「8K映像伝送技術」「LTE MIMOアンテナ技術」「世界最大容量の長距離光ファイバー伝送技術」「テレプレゼンスによるバーチャル空間共有」という4つのテーマで、一般参加者とメディアに最新技術を公開した。

スマートフォンに4Kや8Kの映像を配信したい

 まずは8K映像伝送技術から。8Kは7680×4320ピクセルの解像度を表すもので、横(水平)の画素が約8000であることから「8K」と呼ばれる(Kは「キロ」を示す)。一般的なフルハイビジョン(1920×1080ピクセル)に比べて、「スーパーハイビジョン」の8Kは約16倍もの解像度を持つ。3840×2160ピクセルの「4K」は、対応テレビが登場している。

※初出時に、4Kと8Kの記述で誤りがありました。おわびして訂正いたします(2/19 10:36)。
photophoto 「スーパーハイビジョン」とは(写真=左)。4K/8Kの家庭向けサービスが広がろうとしている(写真=右)
photo KDDI研究所の河村氏

 KDDIはグループ会社も含めて、ケーブルテレビやIPTVなども手がけており、4Kや8Kの映像を放送サービスで提供することを視野に入れている。スマートフォン向けの映像サービスは「ビデオパス」を提供している。ビデオパスで配信されている映像の解像度は640×360ピクセルだが、こちらも高解像度化を目指す。KDDI研究所 超臨場感通グループ 研究主査の河村圭氏は「将来的には、スマートフォンに4Kや8Kの映像を届けられるようにしたい。本当に届けられるのか、どうやったら届けられるのかを現在研究している」と話す。

 4K/8Kともなると、データ量が膨大になるので、映像圧縮技術を用いることが必須となる。2013年に標準化された映像圧縮方式「H.265/HEVC」が、4K/8K映像に用いられることが期待されている。

photophoto KDDIは映像サービスにも注力している(写真=左)。4K/8KにはHEVCの映像圧縮方式が使われることになりそう(写真=右)

 会場では実際に8Kの映像を再生し、高精細で奥行き感のある映像を視聴できた。4KとフルHD映像の比較もしており、間近で見ると粗さが目立つフルHD映像に比べ、4K映像は間近でも鮮明だった。スマートフォンやタブレットのディスプレイ解像度は、現在はフルHDが主流だが、将来的には4Kディスプレイの搭載も期待されるので、4K映像をスマホに配信する環境が整えば、さらにリッチな映像を手軽に体験できそうだ。

photophoto 8K映像をプロジェクターで再生。写真からは分かりにくいが、確かに高精細で奥行き感があった

電波無響音質で4G LTEを体験

 続いて案内されたのが、スマートフォン、基地局、アンテナの電波特性を測る「電波無響室」。通常の部屋だと、壁から電波が外に漏れたり、電波が反射・干渉したりするが、電波無響室では電波の反射と干渉がないので、電波が真っすぐ飛び、電波の特性を正確に測ることができる。

photophoto 電波を吸収する“トゲトゲ”だらけの電波無響音室
photophoto 通常は人体ファントム、端末、アンテナを置いて電波特性を評価する(写真=左)。当日用意された小型基地局とアンテナ(写真=右)
photo KDDI研究所の天野氏

 KDDI研究所 無線プラットフォームグループ 研究主査の天野良晃氏は「(電波無響音室では)アンテナから、どの方向にどれだけ強く電波を出力できるかを計測できる」と説明する。例えば、渋谷ハチ公前や自宅、電波が入りにくい環境などを作り、どう対策するかの研究を行っているそうだ。

 電波無響音室は、電波が漏れたり入ったりしないよう、見慣れないトゲトゲの物体が隅々を囲んでいる。何とも痛そうな光景だが、このトゲトゲは触ると柔らかく、まるでスポンジのようだ。「中にカーボン系の素材が入っていて、電波を吸収する」(天野氏)のだという。また、音もある程度吸収するので反響しないそうだ。

photophoto 電波無響音室では電波が外に漏れたり、外から電波が入ったりすることはない(写真=左)。トゲトゲを触ると柔らかい(写真=右)

 この日は、小型の基地局に接続されたアンテナから電波を出力し、4G LTE対応スマートフォンでどれだけのスループットが出るかを披露した。部屋には参加者やプレスを含めて10人以上がいたので、電波が人に反射してしまい、スループットが不安定になることがあったが、見学者の前にアルミの板を置いてガードしたところ、理論値の下り75Mbpsに近い速度を計測した。

photophoto 最初はスループットが不安定だったが、アルミボードを見学者の前に立ててからは安定した

 天野氏はMIMOアンテナ技術についても説明。MIMOはスループットを向上させるために複数のアンテナを搭載する技術のことで、現在は基地局とスマートフォン(端末)側でアンテナを2本ずつ搭載する「2×2 MIMO」が導入されている。

 auの3G(CDMA)では、基地局の送信用アンテナは1本のみで、3Gケータイで受信した電波を2つのアンテナで合成することで、信号品質を上げる「受信ダイバーシティ」を採用していた。MIMOを採用する4G LTEでは、送信アンテナ2本から別々の信号を同時に送り、端末側で2つの信号を分離することで、データ速度を2倍にしている。

photophoto 基地局とスマートフォン側に2つずつアンテナを搭載する「MIMO」(写真=左)。スマートフォン側のアンテナが見えるモデルもある(写真=右)
photophoto 3Gケータイで使われていた「受信ダイバーシティ」(写真=左)。4G LTEスマートフォンで使われている「MIMO」(写真=右)

 LTE-Advancedの実現に向けた「Advanced MIMO」と呼ばれる技術の研究も進めている。基地局側に8本のアンテナを搭載しても、端末側に8本ものアンテナを搭載することはサイズの点から難しいので、端末のアンテナは2本のままとする。それでも8本のアンテナを搭載する基地局から4台の端末が同時に電波を送信できるので、周波数の利用効率が上がる。

photo 8本のアンテナから同時にデータを送れる「Advanced MIMO」
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