スマートフォンを使う子どもの親が覚えておくべき設定(Android編)(1/2 ページ)

» 2014年07月02日 07時00分 公開
[瀬谷啓介ITmedia]

 スマートフォンデビューする子どもたちの多くは、そこにさまざまな危険が潜んでいることを知りません。スマートフォンを子どもに与える親としては、子どもにスマートフォンを安全に利用できる環境を与え、温かく見守りながら、自立して利用できるレベルに達するよう子どもの成長を促していく必要があるでしょう。

 ところが「親の方が日進月歩する技術のスピードについて行けず、子どもたちだけが先行して無防備な環境に放り出された状況が続いている」というのが現状ではないでしょうか。しかし、諦めないでください。子どもたちの安全を確保する方法はいろいろ用意されています。前回のiPhone編に続き、今回はAndroid系のスマートフォンについて解説します。

 iPhoneはApple1社が提供するため、操作方法や設定内容が統一されており、どこで購入したiPhoneでも同じような操作で設定できます。しかし、Android系スマートフォンでは設定内容や設定方法が機種に依存するので、まずはどの機種を購入するのかを決める必要があります。実は、この機種選択という行為は、「基本的な設定内容」を選択していることと同じです。

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 スマートフォンを利用する年齢に達した子どもたちは、同じ年齢でも性格や成熟度が異なりますし、スマートフォンの必要性は子どもの生活環境にも依存しますが、以下の表に示したように、だいたい3年区切りで考えて整理すると分りやすいでしょう。

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 親が子どもにケータイやスマートフォンを持たせる理由は各家庭でさまざまですが、子どもが親から離れているときの安否確認やコミュニケーション手段として持たせるというケースがほとんどでしょう。2011年の東日本大震災以降、特にこの目的でケータイやスマートフォンを持たせる傾向が強まっています。

子ども向けケータイを選択する

 安否確認やコミュニケーション手段として考えるのなら、小学生の子どもにスマートフォンを与える必要は特にないので、「通話・位置確認・緊急連絡・格安料金プラン」という必須条件がそろった「子ども向けケータイ」を選択するのが一般的です。NTTドコモは「キッズケータイ HW-01D」、KDDIは「mamorino3」、ソフトバンクモバイルは「みまもりケータイ3 202Z」を、子ども向けケータイとして提供しています。

photo 左から「キッズケータイ HW-01D」「mamorino3」「みまもりケータイ3 202Z」

 子ども向けケータイを選択する場合、インターネットブラウザ機能などは搭載されていないので、子どもがインターネットにまつわるトラブルに巻き込まれるのではないかといった心配はありません

 上記の機種は本稿の対象ではありませんが、そもそも「スマートフォン」を選択すべきかを考えることには十分意味があります。

「子ども向けスマートフォン」を選択する

 小学校高学年以上になると、スマートフォンに興味を持つようになるでしょう。しかし、スマートフォンは子ども向けケータイと比べて月々の料金プランが格段に高くなるので、子どもがスマートフォンを欲しいという理由だけで買い与える親はほとんどいないでしょう。実際、小学生でスマートフォンを利用している小学生の割合は全体の1割程度にすぎません(ただし、料金プランが今後低額になると状況が変わる可能性が高いです)。

 一方で、中学生になると子ども向けケータイはさすがに恥ずかしいと意識するようになるので、中学校に進学するタイミングで「一般向けケータイ」か「スマートフォン」を選択することになるのが一般的です。一般向けケータイの方が、子どもの利用環境をコントロールすることはスマートフォンよりもずっと楽です。また、スマートフォンを選択すると学割を使っても毎月「5000円〜6000円の固定費+通話料」がかかることを考えると、毎月「1000円〜2000円の固定費+通話料」で済む一般向けケータイを選ぶのは理にかなっています。

 しかし、各キャリアのキャンペーンや周囲の友達がスマートフォンを持っているという圧力、これからの時代はスマートフォンが必須なので早い段階から慣れさせたい、親が利用しているスマートフォンのコミュニケーション手段と合わせたい、などなどさまざまな思惑が絡んで、子どもにスマートフォンを持たせる傾向は強まっています。2013年度の内閣府調査(青少年のインターネット利用環境実態調査)によると、10〜17歳が使うケータイの56.8%がスマートフォンだという数字が出ています。

 このような状況で本当に大変なのは、子どもではなく、適切な判断を求められる親の方でしょう。実際、子どものスマートフォンデビューは、子どもに最適な環境を提供して導いてあげる親の新たな役割のデビューでもあり大変です。

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 当たり前のことですが、自分が理解できない(知らない)ものを買い与えてしまえば、「子どもに最適な環境を提供する」ことなどでません。そこで、スマートフォンを子どもに与えたいが、親が子どものスマートフォン利用環境を完全に管理できる自信がない場合、子どもに最初に与えるスマートフォンのエントリー機種として、「子ども向けスマートフォン」が最適な選択肢になり得ます。

 子どもに安全にスマートフォンを利用させるために必要な設定を、親が特別な知識がなくても簡単にできるようになっているからです。初期設定のフローに従うだけで、何か見落としはないかといった不安を抱くことなく設定できるというのは大きなメリットでしょう。

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 これはテクノロジーについていくことが難しいと感じている親にとって、とても助かります。このようなエントリー機種からスタートすることは、子どものためという以上に、これから本格的なスマートフォンを子どもに与える前に知っておかなければならない内容を、親自身が学ぶ機会にもなるのも大きなメリットだと思います。

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 子ども向けスマートフォンは、ドコモの「スマートフォン for ジュニア2 SH-03F」を筆頭に、ポラロイドやバンダイ子会社のメガハウスから「PolaSma」や「Fairisia」といったAndroid系の子ども向けフマートフォンが次々に発表されており、これからにぎやかになりそうです。しかし、ソフトバンクとauからは子ども向けスマートフォンはまだ発表されていません。

 今回はスマートフォン for ジュニア2をお借りして、小学5年と3年の娘たちに実際に使わせてみました。

photo 「スマートフォン for ジュニア2 SH-03F」

 この機種には、「ケータイあんぜん教室」という教育アプリや、子ども向け学習アプリ、辞書などがインストールされているのですが、何も説明しなくても子どもたちはそれらをすぐに使いこなしていました。また、私が画面操作をしていると「ヒツジが出ている画面ではその操作はできないよ」と、この機種特有の振舞いを指摘してきました。子どもの学習能力は本当にスゴイと思います。スマートフォンの操作や設定に関して、少しでも分らないところがあれば、簡単に子どもに出し抜かれてしまうのは明らかです。

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 歩きながら使おうとすると、「あぶない!歩きながら使っちゃダメ」というメッセージとともに画面がロックされる仕掛けもあります。

 この機種に組込まれている機能制限の一部をご紹介しておきます。例えば、下記のように利用時間を制限しておくことができます。

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 利用時間制限を超えると画面がロックされ、それ以上はスマートフォンを利用できなくなります。こういった設定を適切に利用すれば、夜遅くバッテリーが切れるまでスマートフォンを使い続けるようなスマートフォン依存症に子どもが陥らないように習慣づけることができるでしょう。

 スマートフォン for ジュニア2では、Google Playからアプリを自由にダウンロードすることはできず、ダウンロードが許されているアプリしか使えません(「LINE」はジュニア向け「dメニュー」からダウンロードできます)。これにより、セキュリティ上問題があるアプリや、ゲームでとんでもない請求が発生するようなアプリを使うといったことは起きません。しかも、インストールしたアプリは親が許可しない限りは使えないので、子どもがどんなアプリを使っているのかを把握できます。

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 また、子どもがテクノロジーに疎い親を出し抜こうとしても、考えられる限りあらゆる抜け穴がハードウェアレベルでふさがれており、その徹底ぶりには感心します。あまり知識が豊富ではない親であっても、適切な設定がしやすく安心して子どもに利用させることができる製品です。

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