2013年実績で売上の約6割とLINEの大きな収益源となっている「LINE GAME」が、世界展開を本格化させる。ゲーム事業については、「日本だけでなくグローバルでヒットを出している。さまざまなタイトルが世界中に配信され、数字を出している」(上級執行役員 CSMO 舛田淳氏)が、まだ伸びしろは大きい。舛田氏によると、「アジアや南米ではヒットしているが、例えばアメリカではまだ十分ではない。ゲームタイトルも、オリジナルのものはあるが、日本のディベロッパーのタイトルをなかなか上位に上げきれていない」という。
「私どもを通じて、パートナーの皆様を世界へ送り出すことを一緒にチャレンジしていきたい」という目標を実現させるために設立したのが、「LINE GAME Global Gateway(仮)」。100億円規模の投資ファンドで、「開発資金を支援し、LINEのプラットフォームを流通に生かしていただこうと企画した」ものだ。ファンドを設立した背景には、スマートフォン向けゲームの開発費が徐々に上がっていることがある。舛田氏は、現状を次のように語る。
「スマートフォンの初期段階では開発コストがほとんどかからなかったが、最近では1億円、2億円とどんどん上がっている。スマートフォンはランキングが目まぐるしく変わる世界。世界中のプレーヤーが、世界中のマーケットを狙っている。(このままだと)日本のプレーヤーは十分にグローバルで戦えない」
これまで、自社ブランドのゲームを開発、ヒットさせてきたLINEだが、その理由は「ロールモデルになり、LINEのパフォーマンスを引き出していこうという考えがあったから」。LINEを活用したゲームがどのようなものなのかを示す、“お手本”を示してきたというわけだ。こうした取り組みも「ある一定のステージまできた感触がある」ため、次のステップとしてサードパーティーを拡充させる。
ファンドの設立発表と同時に、LINEは「ブレイブ フロンティア」などのタイトルを開発したgumiと資本提携を行う。2014年内に、gumiはLINE向けゲームの開発に着手する。これまでのLINE GAMEはどちらかといえばカジュアルなゲームが多く、手軽に遊べるアクションやパズルのような作品が多かった。一方で、gumiとは「ミッドのコアのゲームについてもチャレンジしたいというのが方針としてある」といい、ゲームの幅も広げていく。gumiの代表取締役社長 國光宏尚氏も、「LINEの友だちと遊ぶところに重点を置きつつ、今までのカジュアルゲームよりはちょっと重ためのものを作りたい」と語る。
ただし、プラットフォームとしてオープン化に踏み切ったわけではない。LINE GAMEは選別したパートナーと、クオリティの高いゲームを出していく方針を貫いていたが、この部分には変更がない。舛田氏も「一定のフェアネスは保ちたい」と前置きしつつも、基本的にはパートナーと組んでいく方向性を語っている。
また、舛田氏が「LINE=ゲームプラットフォームではない。どちらかというと、第1弾」と述べているように、今後はこうしたパートナーとの提携強化をほかの分野にも広げていく。一方で、LINEほどサービスに幅はないが、メッセージアプリとしては「WhatsApp」が欧米で依然として根強い人気で、ユーザー規模の大きな中国市場ではWeChatに及んでいない。こうしたライバルがいる中で、プラットフォームの基盤としてのLINE本体をどこまで伸ばせるのかにも注目しておきたい。
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