セルフィースティックはアジアの発明物――Googleが注目するアジア市場の可能性

» 2014年11月05日 09時54分 公開
[村上万純,ITmedia]

 「セルフィー(自撮り)」文化は、アジアから西洋へと広まっていった――。11月4日に台湾・台北で開催された「The Mobile First World」で、Google Playアジア太平洋地域統括副社長 クリス・ヤーガ氏らは、スマートフォン文化をけん引するアジア市場の重要性を語った。

アジア人にとってのスマホは「ネットにつながるコンピュータ」

photo Google Playアジア太平洋地域統括副社長 クリス・ヤーガ氏

 ヤーガ氏は「Google検索で『セルフィー』という単語がよく検索されたのは2年前だが、日本を始めとするアジアでは10年以上前から自撮り文化があり、アジアから西洋にその文化が広がっていった。セルフィースティックはアジアの発明物」と話す。「アジア人はスマホを単なる電話ではなく、画素数の高いインカメラで質の高い写真を撮るデバイスとして認識し、さらにゲームや動画の視聴など、スマホの新しい使い方をけん引する先駆け的な存在」だとヤーガ氏は指摘する。

photo セルフィーは2012年時点でアジアの国々で多く検索されている

 例えば、スマートフォンとタブレットの中間的な画面サイズを持つ“ファブレット”の所有率は韓国が他国よりも多く、中国や韓国のスマホユーザーのうち80%以上はスマホで動画を見る。ベトナム、タイはスマホで音楽を聴くユーザーが多く、中国やタイではスマホでゲームをするユーザーが欧州各国に比べて多い。「これらのアジア市場のユーザーにとって、スマホは単なる電話ではなく、ネットにつながるためのコンピュータである」とヤーガ氏は説明する。実際に、マレーシアでは35%、ベトナムでは24%のユーザーがネット接続はスマートフォン経由のみの“モバイルオンリー”という状態。このトレンドは今後も伸びていくと予想するヤーガ氏は、アジアの動向を見ることが世界各国のトレンドを予測することに役立つと考えており、「アジアでのイノベーションが世界市場の将来に影響していると言っても過言ではない」と語った。

photo スマホのみでネットを使うユーザーが多いのはアジア各国
photo スマホ所有率からデスクトップPCの所有率を差し引いた値がプラスになるのはアジアの国ばかりだ

新興市場のキーワードは「教育」と「安全性」

photo Googleのエリック・シュミット会長

 ビデオ中継で登場したGoogleのエリック・シュミット会長も、「Webファーストからモバイルファーストの時代になり、スマホだけでさまざまなことができるモバイルオンリーの時代になった」と話す。

 その上で、モバイルオンリーの時代がどういったものなのか、シュミット氏は自身の未来図を描く。

 「端末については100ドルで買えるスマホがあるが、これが50ドルまで下がっていき、これまでスマホを買えなかった下層クラスのユーザーが激増する。プラットフォームは限られたものだけが生き残り、Androidはナンバー1のプラットフォームになるだろう。ウェアラブルなどの分野では、肌の上にパッチを貼って電子反応を取ったり、Wi-Fi装置を入れたピルを飲み込んで体内の病気を発見したりすることだってできるようになる」(シュミット氏)

 シュミット氏が語るモバイルオンリーの時代において、アジア市場を攻める肝は「教育」と「安全性」にあるという。教育の面では、経済的な問題から学校に行けない子供たちに言語やそれ以外の教育をスマホ1つで行える。安全性の面では、女性や社会の被害者になりやすい人たちについて語られた。例えばカメラ機能を使って自分が何かしらの被害にあった時にそれを写真や動画で記録してそのまま通報できるといった役割をスマホが担う。このような教育や生活していく上での安全性を考慮したサービスや機能が充実することでさらなる市場を見込めるとシュミット氏は考えている。また、識字率が高くない国向けには音声検索なども重要であると語った。

 アジア市場において多くのユーザーを抱えるLINEについて、「LINEは5年後も存在しているのか?」と疑問を投げかけたシュミット氏。アジア市場の重要性を説く一方で、ローカルだけじゃなく、グローバルを視野に入れたサービス展開をしていかなければ、この先は生き残れないと自身の考えを明らかにした。

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