2014年6月〜12月に発売されたLTE対応SIMロックフリースマートフォン「Ascend G6」「Ascend G620S」「Ascend P7」「LG G2 mini」「ZTE Blade Vec 4G」を比較していくレビュー。第2回では、バッテリーの持ちとベンチマークテストの性能を調べた。
まずはバッテリーの持ちから見ていこう。今回取り上げている6機種は、2000mAh〜2500mAhという容量のバッテリーを搭載している。キャリアが発売している現行ハイエンドモデルのバッテリー容量は3000mAh前後なので、それらと比べると見劣りするが、2000mAh強は安価なスマホでは必要十分な数値ともいえる。では実際のところ、どれだけ持つのだろうか? ほかのレビューでも実施しているYouTubeの連続再生テストと、静止画の連続表示テストを行った。
今回実施した2つのテストで共通の条件は以下のとおりだ。
まずはYouTubeテストから見ていこう。11月29日の11時17分頃から、東京都江戸川区の屋内で実施。再生した動画の画質は「自動」にした。動画は横向きに再生し、スピーカーの音量はオフにした。6時間計測したところ、バッテリーが最も残っていたのはLG G2 miniの40%だった。以降は32%のAscend G620S、29%のZenFone 5が続く。
LG G2 miniのバッテリー容量は2370mAhで、6機種の中ではAscend P7に次いで大きい。そのAscend P7の6時間後は6%残だったが、これは高解像度なフルHD(1080×1920ピクセル)のディスプレイが少なからず影響しているものと思われる。LG G2 miniのディスプレイ解像度は540×960ピクセルなので、有利に働いた面もあるだろう。ただ、同じく540×960ピクセルのAscend G6は6時間後に12%残だったので、LG G2 miniの方が省電力性能にも優れていることが分かる。ZTE Blade Vec 4Gは6時間後に1%とこの中では奮わなかったが、ディスプレイの輝度がほか5機種と比べても高く見え、もう少し輝度を落とせば結果は変わっただろう(今回は中間の輝度で統一している)。
MVNOのいわゆる「格安SIM」(特に月1Gバイト程度のプラン)を利用している人は、自宅ではWi-Fi環境を使っている人が多いであろうことを考えると、Wi-Fi環境での測定は現実的だろうし、YouTube再生が6時間は持つというのは、まずまず優秀な結果ではないだろうか。
ZenFone 5 | Ascend G6 | Ascend G620S | Ascend P7 | LG G2 mini | ZTE Blade Vec 4G | |
---|---|---|---|---|---|---|
1時間後 | 89% | 86% | 89% | 87% | 95% | 85% |
2時間後 | 77% | 72% | 78% | 72% | 85% | 68% |
3時間後 | 66% | 57% | 66% | 55% | 74% | 52% |
4時間後 | 54% | 43% | 55% | 40% | 62% | 36% |
5時間後 | 41% | 27% | 44% | 24% | 52% | 19% |
6時間後 | 29% | 12% | 32% | 6% | 40% | 1% |
静止画のテストでは、1080×1920ピクセルの画像を6機種で12時間表示させ続けた。テストは11月26日0時44分から東京都江戸川区の屋内で実施。なお、バックライトを常時点灯させるために「Backlight Switch」というアプリを使用している。
12時間後のバッテリー残量が最も多かったのは、48%のLG G2 miniだった。2位のAscend G620S(12時間後に25%残)と大きく差をつけた。ZenFone 5、Ascend G6、Ascend P7は12時間後にはそろって17%残で、ZTE Blade Vec 4Gは10時間56分後に残量が尽きてしまった。LG G2 miniは最初の1時間が経過しても100%から減らなかったのも驚きだ。小型ながら、LG G2 miniはパワフルなバッテリーを搭載しているといえる。
ちなみにHuaweiのAscend G6とAscend G620Sは、どちらも2000mAhのバッテリーを備えているが、テスト結果はYouTubeと静止画のいずれもAscend G620Sの方が良かった。画面サイズと解像度はAscend G620Sの方が大きいことを考えると、省電力性能はAscend G620Sの方が優れていることが分かる。Ascend G6よりも1世代あとのQualcommのチップセット「MSM8916」を採用していることも影響しているのだろう。
ZenFone 5 | Ascend G6 | Ascend G620S | Ascend P7 | LG G2 mini | ZTE Blade Vec 4G | |
---|---|---|---|---|---|---|
1時間後 | 93% | 93% | 93% | 95% | 100% | 91% |
2時間後 | 86% | 86% | 87% | 88% | 96% | 82% |
3時間後 | 79% | 80% | 82% | 81% | 92% | 73% |
4時間後 | 72% | 73% | 76% | 74% | 87% | 63% |
5時間後 | 65% | 66% | 68% | 67% | 83% | 53% |
6時間後 | 58% | 59% | 62% | 60% | 78% | 44% |
7時間後 | 51% | 52% | 57% | 53% | 73% | 34% |
8時間後 | 44% | 45% | 51% | 46% | 69% | 24% |
9時間後 | 37% | 39% | 44% | 39% | 63% | 15% |
10時間後 | 32% | 32% | 38% | 32% | 58% | 5%(56分後に0%) |
11時間後 | 23% | 25% | 31% | 24% | 54% | − |
12時間後 | 17% | 17% | 25% | 17% | 48% | − |
ベンチマークテストは、CPUやグラフィックス性能などを計測する「Quadrant Professional Edition」と「3D Mark」を用いた。いずれも5回計測した平均値を出した。
Quadrant Professional Editionの総合スコアが最も高かったのは、9799のAscend G620Sで、メモリが特に高かった。チップセットにQualcommのMSM8926を採用しているZenFone 5、Ascend G6、LG G2 mini、ZTE Blade Vec 4Gは、総合スコアは8300〜8900ほどにまとまった。Ascend G620Sは1世代上のMSM8916を採用していることでスコアに影響が出たものと思われる。一方、この中では唯一、Hisiliconの「Krin910T」をチップセットに採用したAscend P7は、CPUのスコアが伸び悩み、総合も低かったが、メモリ、I/O(データの読み書き)、3Dでは最も高い数値を記録した。
3D Markでは「Run Ice Storm Extreme」の総合スコアのみを記録したが、こちらは一転して、Ascend P7が7063で最も高かった。そのほかは4000台だったが、こちらはAscend G620Sが最も低かった。
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