下り最大600MbpsのLTE通信や、5GHz帯をLTE化する「LTE-U」を紹介――QualcommブースMobile World Congress 2015

» 2015年03月05日 15時19分 公開
[太田百合子,ITmedia]

 スペイン・バルセロナで開催されているモバイル国際見本市「Mobile World Congless(MWC)」。Qualcommのブースでは、初展示となるLTE-Advanced Cat.11のデモをはじめ、LTE-U、次世代のSnapdragon 800シリーズに搭載される新機能「Zeroth」や3D指紋認証など、幅広い技術を紹介している。

 MWCの開催に先立って行われたプレスカンファレンスで、Qualcommはモバイルデバイス向けの最上位チップセットとなる、次期Snapdragon 800シリーズ「Snapdragon 820」の一部情報を開示した。展示ブースの一角では、そのSnapdragon 820に搭載されるコグニティブ・コンピューティングのシステム「Zeroth」や、超音波による3D指紋認証技術について、説明するコーナーを設けていた。

スマホをよりインテリジェンスなデバイスにする「Zeroth」

 「Zeroth」は映像や音声、ジェスチャーといった情報を学習して、瞬時に状況を認知・分析する、コグニティブ・コンピューティングと呼ばれるシステムのプラットフォーム。Qualcommによれば、今後のSnapdragon 800シリーズはこの「Zeroth」に最適化される予定で、その第1弾がSnapdragon 820になるという。デモではカメラが映した手書き文字を瞬時にテキストデータ化する、映っている人物を顔認識で特定、あるいは写真からそこに映っているものを認識し、自動的にタグ付けするといった機能を一例として紹介していた。

photophoto
photo 「Zeroth」では、どんなシチュエーションなのか、何が映っているのかを瞬時に判断することが可能。デモでは読み取った情報をもとに、写真が自動で分類されていた

 もうひとつ、新たにSnapdragon400/600/800シリーズ向けに提供される新機能として紹介していたのが、超音波技術を使った3D指紋認証技術「Snapdragon Sense ID」。超音波によって指紋の凹凸を立体的に認識するというもので、センサーと指の間にプラスチックやガラス、金属などを挟んでも正しく認識できる。

photo デモでは、プラスチックのカバーの下にセンサーを仕込んだ端末を用意。カバー越しでも指紋が読み取れることを紹介していた。

 ほかに、Snapdragonシリーズを採用するデバイスから、Automotiveといったチップセット関連、1月に開催されたCESでも注目を集めた「AllSeen Alliance」参加企業によるIoT製品、ワイヤレスチャージ関連まで、幅広く展示していた。

photophoto Snapdragonシリーズを搭載するスマートフォン、タブレットのほか、ウォッチ型デバイスやアクションカムといった製品も展示していた
photo 1月のCESでは大きくスペースを割いて紹介されていた、Qualcomm参加のIoT標準化団体「AllSeen Alliance」。今回はネットワークに関する技術展示が中心のため、規模が小さくなっていた

目玉はライセンス不要の5GHz帯を活用した高速通信

 MWCは世界中のモバイルキャリアが集まることもあり、展示ブースの中でも特に大きくスペースが割かれていたのは、やはり高速ネットワークに関するもの。LTE-Advancedの最新技術を紹介するコーナーには、下り最大600MbpsのLTE-Advanced Cat.11のデモも紹介していた。

photo LTE-Advanced Cat.11のデモ展示は今回が初めて。変調方式に「256QAM」を採用し、1帯域あたりの速度を200Mbpsまで向上させた20MHz幅×3つの周波数帯を、キャリアアグリゲーションによって1つに束ね、下り最大600Mbpsという高速通信を実現する。600Mbpsはもちろん理論値だが、デモでは実際にこの数字に近い、587.5Mbpsという速度を出していた

 LTEとWi-Fiのリンクアグリゲーションは、Wi-FiアクセスポイントをLTEの基地局につないで、基地局からLTEとWi-Fiにパケットを分割して送信する技術。キャリアは既存のWi-Fiアクセスポイントを有効活用して、スループットの向上に役立てることができる。デモでは実際にサンディエゴのQualcomm本社を自動車で移動するチームと中継を結びながら、LTEだけを使った通信からLTE+Wi-Fiのリンクアグリゲーション通信へと、シームレスに切り替わり、スループットが向上する様子を紹介していた。

photo LTEとWi-Fiのリンクアグリゲーションでは、本社キャンパス内を循環する自動車の様子をストリーミングしながら、LTEからLTE+Wi-Fiに切り替わる際のスループットをチェックするデモを展示していた

 さらに今回、Qualcommブースの目玉となっていたのが、世界的に無線免許が不要な5GHz帯を有効活用するための通信技術。広いカバレッジを持つ既存のLTE周波数帯と免許不要な5GHz帯を合わせて使用し、高速化しようというもので、LTEとWi-Fiのリンクアグリゲーションとあわせ、5GHz帯をLTE化してキャリアアグリゲーションを行う「LTE-U」のデモを、サンディエゴのQualcomm本社の実験環境を使って紹介していた。

 LTE-Uは、「Licensed Assisted Access using LTE」とも呼ばれる技術で、無線免許がいらない5GHz帯をLTE化して、既存のLTEとのキャリアアグリゲーションによって高速化を図るもの。デモではQualcomm本社に作られた接続環境を切り替えて、その様子をストリーミング表示し、LTE-Uによって電波がどのくらい有効に活用できるかを紹介していた。

 まず、複数の事業者のLTEピコセルやお店などのWi-Fiが集中する、電波的に混み合った環境を作り出し、LTEとWi-FiのリンクアグリゲーションをLTE-Uに置き換えるとどうなるかを、ディスプレイ上の図で表示。Qualcomm本社のストリーミングデータを参照しながら、スループットが向上する様子や、Wi-Fiの混雑が緩和することで干渉が少なくなり、Wi-Fiスポット自体のスループットも向上する様子を確認できた。

photo 「LTE-U」のシミュレーション

 Qualcommによれば、LTEとWi-Fiのリンクアグリゲーションは韓国のモバイル通信事業者KTが近日導入予定。またLTE-Uも米ベライゾンやT-モバイルをはじめ、世界中で商用化に向けた動きが活発化している。LTE-Advancedに向け、増大するトラフィックの解決策のひとつとして、免許不要の5GHz帯がキーになりそうだ。

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