ソニーモバイルコミュニケーションズの「Xperia Z3 Compact」は、4.6型のボディに、最新フラッグシップ「Xperia Z3」と比肩する性能を無理なく詰め込んだ、ハイエンドなコンパクトモデルだ。日本ではNTTドコモから「Xperia Z3 Compact SO-02G」として発売されている。
本稿ではXperia Z3 Compactの見どころを数回に渡ってレビューしていく。第1回となる今回は、外観やスペックについて取り上げる。
まずはXperia Z3 Compactの価格から見ていこう。ドコモオンラインショップでの執筆時点(2015年3月上旬)での一括価格は6万8688円(税込、以下同)。月々サポートの24回分を引いた実質負担額は、新規契約が0円、XiからXiへの機種変更が1万9224円となる。新規契約とMNPの場合は、6カ月の継続契約を条件として割引される「端末購入サポート」を適用することで、一括9072円、実質0円となる。
パッケージはXperia Zシリーズらしいシンプルなもので、付属品もワンセグアンテナケーブルと卓上ホルダーのみと、最小限に抑えられている。

パッケージデザインはXperia Zシリーズ共通の、白地に灰色のXperiaロゴが書かれたシンプルなもの(写真=左)。本体のほかに、ワンセグ視聴用アンテナケーブル、卓上ホルダー、クイックスタートガイドが入っている(写真=右)ディスプレイはHD表示(720×1280ピクセル)対応の4.6型液晶を採用。従来のXperia Zシリーズにおけるコンパクトモデル、「Xperia Z1 f」や「Xperia A2」が4.3型ディスプレイを採用していたのに対し、本機は、狭額縁ディスプレイを採用することによって、前面の大きさをほとんど変えることなくディスプレイを拡大している。実際、幅はZ1 fとA2の65ミリから変わっていない。
Xperia Zシリーズ伝統の“ガラス板の1枚板”をモチーフとした形状や“オムニバランスデザイン”は本機でも継承されている。ソニーの提唱するオムニバランスデザインは、その語頭の「オムニ(omni-)」は「すべての―」を意味しており、「すべての面と方向で一番きれいに見せる」というデザイン思想だ。
前面と背面はカメラの部分を含めた、凹凸のない形状。側面は樹脂製で丸みを帯びている。Xperia Z3 Compactの厚さは約8.6ミリで、Xperia Z3やiPhone 6と比べて1.5〜2ミリほど厚くなっている。この若干の厚みがあることで、持った時の手のひらへの収まりがよい。
背面がカーブしていないため、手にぴったりと沿うような持ちやすさではないが、側面下部を手のひらにあてて、人差し指を背面に回して支えれば、安定して親指操作ができる。背面にもガラスが用いられており、持った時の手触りの良さが好感触だ。また、Xperia A2から9グラム軽量化されており、適度な重さになっている。
男性なら、スーツにスマートフォンを収納して持ち運ぶ機会がある方も多いだろうが、本機のサイズなら、スーツの内ポケットに余裕を持って入れられるだろう。

iPhone 6、Xperia Z3との比較。上下の額縁が小さい分、iPhone 6とはインチ数の差以上に小さく見える(写真=左)。iPhone 6、Xperia Z3より1.5ミリ以上の厚さがある(写真=右)右側面の中央部に配置された丸い形状の電源キーとボリュームキーは、片手操作でも無理なく押せる位置にある。右側面下部にはカメラキーがあり、長押しでカメラを起動して、シャッターキーとして動作する。右手で端末を持って、コンパクトデジカメのシャッターを押すように撮影できる。
microSDスロットとMicro USBポート、およびSIMカードスロットは左側面のキャップを開いた部分に配置されている。SIMカードはnanoSIMを採用している。
キャップは従来のZシリーズから改善されており、開いたときに安定しやすく、閉じやすい構造になっている。ただ、カバーキャップは力をかけると外れやすくなっており、キャップを壊してしまうと防水性能も失われてしまうため、注意が必要だ。
左側面中央部の端子は、付属の卓上ホルダーに設置する際に充電端子として機能する。

左側面の2カ所のキャップにMicro USBポート、microSDスロット、SIMスロットが集中している。SIMはnanoSIMを採用。裏ブタは外せない(写真=左)。電源ケーブルを付属の卓上ホルダーに接続して、端末を立てると横画面モードになる。キャップを外さず充電可能(写真=右)Xperia Z3 Compactには、同世代のハイエンドモデルと比較して遜色のない機能が詰め込まれている。プロセッサはXperia Z3と同じ、QualcommのSnapdragon 801(クアッドコア)を搭載。メインメモリは2Gバイト、ディスプレイはHD(720×1280ピクセル)で、Z3と比べてやや物足りない内容だが、小型ディスプレイであることを考えると、十分に実用的なスペックだろう。
ディスプレイについては、「トリルミナスディスプレイ for mobile」という技術を採用しており、幅広い色再現性を実現している。
カメラはメインカメラが2070万画素、インカメラが220万画素。裏面照射積層型CMOSセンサーを採用し、最適化して搭載することで、薄さと撮影機能の両立を実現している。
最大ISO12800で撮影可能な低照度モードを搭載しており、暗い場所でも明るく撮影できることをウリにしている。カメラ機能については、別途、詳しく紹介する。
音楽再生では、いわゆるハイレゾ音源の再生に対応しており、別売りのハイレゾ対応イヤフォンを接続すれば、96kHz/24bitまでの音源を外付けアンプなしで再生可能だ。前面にステレオスピーカーを搭載しており、単体でも立体感ある音で楽しめる。
テレビチューナーについてはワンセグのみの対応で、フルセグには非対応。ワンセグの視聴には付属のアンテナケーブルを接続する必要がある。
IPX5/8相当の防水性能と、IP6X相当の防じん性能を備え、普段使いには十分な防水防じん機能があるといえる。
通信は、ドコモの下り最大150Mbps/上り最大50MbpsのXi(LTE)に対応している。対応LTEバンドは、2100MHz帯(Band1)、1700MHz帯(Band3)、1500MHz帯(Band21)、800MHz帯(Band19)と、現在ドコモが展開しているすべての周波数帯が利用できる。
ドコモのVoLTEを用いた通話に対応しており、従来の3G回線を用いた通話と比較して、よりクリアな通話が可能だ。無線LANはIEEE802.11a/b/g/n/acと、現在使用可能な規格全てに対応している。Bluetooth 4.0やおサイフケータイ、NFCといった主要な通信機能もサポートする。
| 機種名 | Xperia Z3 Compact SO-02G |
|---|---|
| OS | Android 4.4 |
| プロセッサ | Qualcomm Snapdragon 801「MSM8974AC」(2.5GHzクアッドコアCPU) |
| メインメモリ | 2Gバイト |
| ストレージ | 16Gバイト |
| 外部メモリ | microSDXC(最大128Gバイト) |
| ディスプレイ | 4.6インチ HD TFT IPS液晶「トリルミナスディスプレイ for mobile」 |
| 解像度 | 720×1280ピクセル |
| メインカメラ | 有効約2070万画素CMOS |
| インカメラ | 有効約220万画素CMOS |
| 防水性能 | IPX5/8 |
| 防じん性能 | IP6X |
| 通信方式 | LTE:2100(Band1)、1700(Band3)、1500(Band21)、800(Band19)MHz W-CDMA:2100(Band1)、850(Band5)、800(Band6)、800(Band19)MHz GSM/EDGE:850、900、1800、1900MHz |
| 最高通信速度(下り/上り) | 150Mbps/50Mbps |
| 連続通話時間 | 約990分(LTE)、約700分(3G) |
| 連続待受時間 | 約650時間(LTE)、約800時間(3G) |
| バッテリー容量 | 2600mAh |
| 無線LAN | IEEE802.11a/b/g/n/ac |
| Bluetooth | Bluetooth 4.0 |
| TVチューナー | ワンセグ(外部アンテナ) |
| おサイフケータイ | ○ |
| NFC | ○ |
| ボディカラー | ホワイト、グリーン、オレンジ、ブラック |
| サイズ(幅×高さ×奥行き) | 約127×65×8.6ミリ |
| 重量 | 約129グラム |
スマートフォンの大型化が進む中、本機は、Xperiaのコンパクトシリーズの流れを受け継ぎ、無理なく片手で収まる大きさを実現し、その上で、前機種より拡大したディスプレイ、最新フラッグシップモデルに遜色のないCPUやカメラ、充実した機能を搭載している。快適な操作と上質感のある使い心地を両立したXperia Z3 Compactは、小型モデルでも妥協のない性能を求めるユーザーにピッタリであろう。
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