「SIMロック解除義務化」で未来は明るくなるのでしょうか?MVNOの深イイ話(2/2 ページ)

» 2015年08月19日 14時15分 公開
[佐々木太志ITmedia]
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SIMロック解除で気を付けなければならないこと

 SIMロック解除にあたっては、携帯電話各社が発表している手続き方法などの情報をよく理解していただく必要があります。携帯電話各社はSIMロック解除が可能な端末、お手続きの詳細や手数料など、SIMロック解除を申し込む利用者のための情報を公表しています。また、携帯電話会社ごとの周波数が異なることに起因して、SIMロックを解除し他社のSIMカードを挿して使った場合に、圏外となるエリアが増える、通信速度が遅くなるなどの問題が生じる可能性があります。不明の点があれば、事前に十分に携帯電話各社の窓口に質問されるとよいでしょう。

 注意したいのは、MVNOの「格安SIM」を使いたい場合、SIMロック解除は必要ない場合があるということです。現在、日本のMVNOは、NTTドコモのネットワークを利用していることが多いです。このようなMVNOのSIMカードは実際のところNTTドコモのものとなりますので、NTTドコモの端末であればSIMロック解除をせず利用することができます。

※:一部KDDIのネットワークを利用しているMVNOがあり、この場合は、例えばNTTドコモの端末で利用するためにはSIMロック解除が必要

SIMロックの今後

 SIMロック解除義務化により利用者の選択肢がより広がることは、間違いなく利用者の利益となります。反面、端末を買い換えずにSIMロックを解除して通信事業者を乗り換えるには、前述の通り利用者が気を付けないといけないことが多く、直ちに利用者の利便性が高まったわけではありません。また最初からSIMロックが掛かっていない携帯電話端末、すなわちSIMロックフリー端末もこの1年で非常に多様な端末が日本で販売されるようになってきていて、今やSIMロック解除は利用者の選択肢の多様化の1つの側面に過ぎないともいえます。

photo 最近はSIMロックフリーのスマートフォンも増えている。写真は「ZenFone 2」

 我々MVNOは、過去に業界団体(MVNO委員会)として作成した政策提言においてSIMロック解除の運用強化を要望するなど、SIMロック解除の普及により利用者の選択肢が広がることを歓迎しています。反面、私個人としてはSIMロックが果たした過去の役割を考えると、SIMロックが諸悪の根源であるとも思えません。携帯電話会社が「(実質)端末0円」というビジネスモデルを取る限り、SIMロックという仕組みはこれからも残り続けることでしょう。

 皆さんがSIMロックについて正しく理解され、SIMロック解除義務化を便利に使いこなすことが何より大事です。現在はまだ高いSIMロック解除へのハードルも、そのうち誰にでもクリアできるものになっていくでしょう。この記事が、SIMロック解除の理解に役立ちましたら幸いです。

著者プロフィール

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佐々木 太志

株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ) ネットワーク本部 技術企画室 担当課長

2000年IIJ入社、以来ネットワークサービスの運用、開発、企画に従事。特に2007年にIIJのMVNO事業の立ち上げに参加し、以来法人向け、個人向けMVNOサービスを主に担当する。またIIJmioの公式Twitterアカウント@iijmioの中の人でもある。


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