「縛りをなくして、端末とSIMを別に買ってもいい」――ヨドバシカメラに聞く 格安SIMの売り方(2/2 ページ)

» 2015年08月27日 19時38分 公開
[石野純也ITmedia]
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ワイヤレスゲートとFREETELが人気、Y!mobileのサービスも好印象

―― 実際、どこのMVNOが多いなどはありますか。

渡辺氏 実数はご勘弁いただきたいところですが、ワイヤレスゲートさんやFREETELさんの割合は高いですね。音声とデータでは、まだデータの方が多いのが現状です。

photo ヨドバシでも特に人気の高い「FREETEL SIM」は、7月15日の発売から3週間で格安SIMシェア1位を達成した

―― ということは、まだ2台目、3台目ように買われているということですね。

渡辺氏 そうなんでしょうね。料金的にも、そういった形になっていますから。逆に、音声通話を使うなら、それこそキャリア(MNO)の使い放題が安い。あのプランは、そういう意味では素晴らしかったですね。

 ただし、先ほどお話したように、もちろん、そうではない方もいます。キャリアのプランだと、1台持っていて、もう1台使いたいという方に、完全に対応し切れていません。ガジェット好きなら、携帯電話2、3台、PC2、3台に、タブレットまで持っています。

―― うっ……(笑)。確かに、Y!mobileを除く今のMNOの料金プランだと、1回線足すごとに、基本使用料が丸々かかってしまい、気軽に2台目を持てません。だったらMVNOのSIMカードを足した方が安いですし。そういったところで、MNOとは競合するところもあると思いますが、既存のビジネスに影響はなかったのでしょうか。

渡辺氏 特にありません。逆に、Y!mobileさんには、カウンターにも参加していただいていますからね。

 彼ら(Y!mobile)のサービスはとてもいいですね。あの料金で、10分間、300回も話し放題になりますから。子回線が増やしやすい料金プランにもなっているので、今の段階でIoTにきちんと対応できるのは、彼らなのではないかと思っています。

 話を戻しますと、もちろん、多少のカニバリはあると思いますが、今のところはプラスαとして、すそ野が広がっています。先ほど挙げた例で言うと、四角いテーブルを丸く掃除していて拭き残しができているところを、きちんと埋められているのだと思います。

お客との接客回数=商品知識の量となる

―― あれだけMVNOがあって、料金プランも多彩だと、逆にどれがいいのか分からないというユーザーもいるのではないでしょうか。そういったときは、どうされているのでしょうか。

渡辺氏 そういったことは、もちろん聞かれます。だからこそ、店員が必要なんです。私もそうでしたが、お客様との接客回数は、イコールで商品知識の量になります。答えられないとお叱りを受けるので、頑張って覚える。そうすると、違いはこうと説明できるようになります。

 最近では、料金プランだけでなく、IT系のメディアでスピードテストをやられているので、そういったことの説明もするようにしています。

―― 取り扱っているMVNOが多いと、店員も覚えることが多くて大変そうですね。

渡辺氏 1社しか扱っていなければ、それの1社の勉強をすればいいのですが、それをいくつも入れているということで、当然当社としてハードルは高くなります。ただ、最初の話に戻ると、結局満足してもらうのは、品ぞろえであり、商品知識です。その結果として行き着いたのが、今の形ということですね。

取材を終えて:“ヨドバシ方式”の方が本来のあり方に近い?

 ヨドバシカメラがカウンターを設立した当初は、「なぜここまで多数のMVNOを扱うのか」という疑問を抱いていた。同業他社では、特定の1社と組み、MNOの対抗馬としてMVNOを販売するのが一般的になっていたからだ。ただ、渡辺氏の話を聞いているうちに、むしろヨドバシ方式の方が、本来のあり方に近いのではないかと思い直すようになった。

 同氏が述べていたとおり、家電量販店は品ぞろえが命。ヨドバシに行けば主要なMVNOが選べて端末まで買えるというのは、ユーザーにとっても分かりやすく、安心感につながる。とはいえ、MVNOも、競争の結果、料金プランが似通ってきている。ヨドバシカメラのような環境の中でしっかり選んでもらうには、今まで以上に、何か強い特徴も必要になってくるだろう。

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