世界シェア3位にまで上り詰めた中国の新興メーカー、Xiaomi(小米:シャオミ)。だが中国国内のスマートフォン市場は成長が鈍化、同社の業績にも影響を及ぼし始めた。低価格モデルの拡充や新興国への進出など、同社は販売戦略を大きく変えようとしている。
世界のスマートフォン販売台数の約30%を占める巨大な中国市場。だがその中国でスマートフォンの売れ行きに陰りが見えている。IDCが2015年5月に発表した調査結果では、2015年第1四半期は出荷台数が1億台を割り込み、前年同期比で初のマイナス成長となった。これは2013年以来初のこと。出せば売れる状態が続いていた中国市場が大きな曲がり角を迎えている。
とはいえ中国の携帯電話市場は停滞期を迎えているわけではない。4Gサービスの利用者は毎月1000万台後半の伸びを示しており、China Mobile(中国移動)の2015年7月末時点での4G加入総数は実に2億880万と、1月の1億680万から半年強で1億人も増加している。中国移動の総加入者数は8億860万人。このうち3Gが約2億、残りの約4億がまだ2Gユーザーだ。つまり4Gへの移転予備軍は6億契約もあり、今後も4G加入者数は伸び続けていくだろう。
ではなぜスマートフォンの販売数に陰りが見えだしたのか。IDCの調査では2015年1四半期のスマートフォン出荷台数は9880万台、1カ月あたり約3300万台となる。これに対して中国移動の1月から7月の4G新規加入者数の1か月あたりの平均数は約1600万人。やや強引な計算ではあるが、4Gスマートフォンに買い替え2Gや3Gから乗り換えようとする消費者数に対し、スマートフォン出荷台数のほうが大きく上回っているのだ。ちなみにシェア2位のChina Unicom(中国聯通)、3位のChina Telecom(中国電信)の毎月の新規加入者数は月間平均200万と、中国移動に大きく水をあけられている。この2社の新規顧客による4G需要を考えても、やはりスマートフォンの出荷台数が需要数を大幅に上回っていると言えるだろう。
実際に販売の現場を見てみると、家電量販店や携帯電話販売店などでは売れ筋から外れた製品を割引販売している例もよく見られる。また中国移動、中国聯通、中国電信はネット上の営業所でスマートフォンも販売しているが、旧モデルを定価以下で販売する例も増えている。中には299元(約5700円)と格安で売られる製品も多い。この状態はここ1年で顕著になっている状況だ。
またスマートフォンの本体価格の下落が進み、その普及も一気に進んだ。2013年8月にXiaomi(小米科技:シャオミ)が799元(約1万5200円)の「紅米」を発売して以来、中国では低価格スマートフォン競争が勃発。この2年間に各社からは899元、699元など1000元以下の価格の製品が相次いで登場した。2015年に入ると599元という価格も珍しくなり、夏には499元の4Gスマートフォンも複数のメーカーが販売している。
各社の競争は低価格ながらも性能はそれなりに高く、しかも質感を高めた製品を相次いで登場させた。だがその結果、1万円程度のスマートフォンでも性能的に2〜3年使い続けることも可能となった。買い替え需要を上回る新製品ラッシュの結果、ここにきてスマートフォンの売れ行きの伸びが鈍化しているのである。
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