「Xperia Z4」の発熱問題は「Xperia Z5」で解消されたのか?

» 2015年12月30日 06時00分 公開
[田中聡ITmedia]

 Qualcommのプロセッサ「Snapdragon 810」の影響か、「Xperia Z4」では「Xperia Z3」よりも発熱し、実際に「Xperia Z4 SOV31」を使っていた筆者も、端末を起動して通知を受け取ったり、ブラウジングやSNSの使用を始めたりするだけで、本体が「熱い」と感じることが多かった。

 一方、後継機である「Xperia Z5」は、同じくSnapdragon 810を搭載しているものの、端末の内部にあるヒートパイプを1本から2本に増やしたほか、1本あたりの幅も太くし、放熱性能を高めたという。

photo 「Xperia Z4」(左)と「Xperia Z5」(右)

 では実際のところ、Z5の発熱問題は、どこまで改善されているのだろうか。同じ条件下で動作させたZ5とZ4の温度を、放射温度計で測定することにした。測定したのはドコモ版である「Xperia Z5 SO-01H」と「Xperia Z4 SO-03G」だ。

 計測したのは、以下の4つのシーンだ。

  • 待受状態
  • ベンチマークアプリ「3D Mark」の「Ice Storm Unlimited」を30分稼働させる
  • YouTubeのHD動画を30分間再生させる(LTE接続時)
  • 4K動画の撮影を約5分間続ける

 テストは11月12日に、室温が26.1度の屋内(アイティメディア社内)にて実施。3D Mark、YouTube動画再生、4K動画撮影は、テスト終了直後の温度を計測した(1機種ずつ順番にテストを実施した)。また、ぞれぞれのテスト前に電源をオフにして5分以上時間を空けた。

 使用した放射温度計は「TA-50」という製品。レーザーを照射すると、ディスプレイにリアルタイムに温度が表示される。スマートフォンの発熱度合いは部位によって異なるため、今回は背面の8カ所にレーザーを当てて温度を測った。

photo それぞれ、8分割したポイントにレーザーを照射して温度を測った
photo 放射温度計「TA-50」を使用

 Xperia Z5/Z4の環境はバッテリーテストのときと同じで、Googleアカウントでログインしており、TwitterやFacebookアプリをインストール済み。ある程度、バックグラウンドで通信が行われている状態だ。

 では測定結果を見ていこう。待受状態の温度は、電源を切ってから15分後に測定した。2機種ともdocomoロゴ付近はやや高温だが、どの部位も30度前後で大きな変化はない。能動的な動作を行っていない状態なので当たり前ではあるが、「熱い」と感じることはなかった。

待受状態の温度
部位 1 2 3 4 5 6 7 8
Xperia Z5 31.2 29.4 33.6 33.2 29 29.3 28.8 28.8
Xperia Z4 32.3 30.8 34.4 34.2 28.8 28.8 28.6 28.6

 3D MarkのIce Storm Unlimitedを30分稼働させた後の温度は、Xperia Z4は(1)〜(4)の部位で40度を超え、(3)は45度まで上昇した。一方、Xperia Z5は40度を超えたのは2箇所のみで、最高でも(3)の41.8度だった。2機種ともdocomoロゴ付近が特に熱かったが、Z5の方が発熱は抑えられていた。

3D Markで30分テスト後の温度
部位 1 2 3 4 5 6 7 8
Xperia Z5 33.8 38.2 41.8 41.2 37.2 37 36.4 36.4
Xperia Z4 42.2 41.2 45 44.4 36.6 36.6 36.4 36.4

 YouTubeのHD動画を30分再生した後の温度は、Xperia Z4の(3)の部位が、今回のテストで最高温度となる49.6度を記録した。Z4では5箇所で40度を超えたが、Z5で40度を超えたのは2箇所のみで、最高でも(3)の41.6度だった。

YouTubeの動画を30分再生後の温度
部位 1 2 3 4 5 6 7 8
Xperia Z5 37.8 34.2 41.6 40.8 36.8 36.4 36 35.6
Xperia Z4 46.6 37.8 49.6 48.2 40.4 40 39.2 39.6

 ちなみに、バッテリーテストでXperia Z5とZ4のバッテリーが尽きるまでYouTubeの動画を再生し続けたときの、Battery Mixが計測した温度を見ると、Z4は40度を超えていたときが多かったが、Z5は一度も40度を超えなかった。

 最後に4K動画を約5分撮影した後の温度を見ていこう。Xperia Z4では、撮影を開始してから45秒ほどたってから、発熱のため、カメラが強制終了してしまった。その後、撮影を再開したところ、3分ほどは撮影を継続できた。カメラの強制終了はZ4ではよくあることで、実際に温度も(3)の部位は48.4度を記録した。一方、Xperia Z5では5分間、カメラが終了することなく4K動画の撮影を続けることができた。

photophoto 4K動画の撮影を続けて温度が上昇すると、カメラが終了する恐れがあるメッセージが出る。これはZ5でも確認できた(写真=左)。ただし5分以内にカメラが終了したのはZ4のみだった(写真=右)

 5分後に計測した温度は全体的にXperia Z5の方が高いが、カメラの起動時間はZ5の方が長かったため、Z5が不利な状態での計測となってしまった。カメラが強制終了した時点の温度はXperia Z4の方が高かったはずだ。「カメラが強制終了しなかった」という点で、Z5の方が発熱が抑えられていたといえる。

4K動画で約5分撮影後の温度
部位 1 2 3 4 5 6 7 8
Xperia Z5 41.6 39.6 47 45.6 38.4 37.8 31.4 36.8
Xperia Z4 39.9 36.8 48.4 46.6 35.8 36 35.2 35.4

 ベンチマーク、動画再生、4K動画撮影テストからは、Xperia Z4と比べてXperia Z5は確かに発熱が抑えられていることが分かる。実際にZ5でブラウジングをしたりSNSアプリを使ったりしても、Z4ほど熱さは感じなかった。ソニーモバイルの熱対策が、しっかり効果を生んでいると感じた。

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