ITmedia Mobileの読者の皆さんは、OSバージョンアップを積極的に行っている人も多いだろうが、一般ユーザーはそこまで積極的ではない印象もある。例えば筆者の家族は「データが消えるのが怖い」「操作性が変わるのが嫌だ」という理由から、1年以上前の旧バージョンを使い続けていたことがあった。ドコモ端末のOSバージョンアップ率は非公開だが、話を聞くとけっこう多いようで、少なくとも1〜2割という率ではないようだ。
これは、ドコモ側でリテラシーの高くない人でもバージョンアップしやすい環境を整えていることが大きい。例えば「他社さんの状況は分かりませんが、弊社では全機種、セルラー(3GやLTE)でのバージョンアップが可能なので(spモード契約が必要)、ご自宅にWi-Fi環境がない方でも、バージョンアップができます」と馬場園氏。このほか、バージョンアップ可能になった旨の通知を行ったり、更新ファイルを自動でダウンロードできたりと、意識せずにバージョンアップできる仕組みも取り入れている。
3GやLTEでのバージョンアップとなると、膨大な通信料金がかかると思いがちだが、実はGalaxyを除くXperia、arrows、AQUOSなどは、LTEや3Gでバージョンアップをしても通信料金はカウントされない。これは通常のソフトウェア更新も同様だ。非課金としたのは、PCを持っていないユーザーに配慮したためでもある。GalaxyとXperiaではPCソフトからもバージョンアップは可能だが、arrowsとAQUOSにはそもそも(バージョンアップができる)PCソフトが用意されていない。
ちなみに、SIMカードが入っていると、LTEか3G回線でのバージョンアップとなるが、SIMカードを抜けば、Wi-Fiでのダウンロードもできる。固定回線の方が確実に通信が速く、スピーディーにバージョンアップをしたい人は覚えておきたい。
OSバージョンアップの周知にも力を入れていく。今までは、バージョンアップがあっても製品アップデートのページに紹介するのみで、その内容もテキストのみの簡素なものだったが、今後は総合カタログやドコモショップでも、バージョンアップ予定の機種は目立つように案内していくという。ドコモのWebサイトでも、OSバージョンアップに関するページを設け、画面写真や動画を交えながら詳しく紹介している。
ドコモのXperia Z5シリーズ3機種でAndroid 6.0へのバージョンアップが始まった中でも、KDDIやソフトバンクは6.0バージョンアップについて、現時点では一切アナウンスをしておらず、ドコモがいかに気合を入れて取り組んでいるかが分かる。全てのユーザーを“幸せ”にするのは難しいが、「できるだけ早く、多くの機種で――」という姿勢は、ぜひ今後も継続してほしい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.