Huaweiの「HUAWEI P9」は、ライカと共同開発したカメラレンズを搭載した、2016年のフラッグシップスマートフォンだ。1200万画素のデュアルカメラを搭載しており、RGBセンサーとモノクロームセンサーの2つを組み合わせることで、明るく鮮明な写真を撮れることをウリとしている。4月6日に英ロンドンで発表し、16日から中国や欧州で販売している。日本での発売も期待されるが、現時点では未定。
4月6日の発表会でこのP9が提供されたので、使用感をリポートしたい。なお、提供されたP9は欧州で販売されるグローバルモデルで、残念ながら日本の技適(技術基準適合証明/認定)は取得していない。電波法の観点から日本では使用できないので、電源を入れて使用したのは海外滞在中のみとなる。
まずは外観や持ちやすさについてレビューしていきたい。
P9のカラーバリエーションはCeramic White、Haze Gold、Rose Gold、Titanium Grey、Mystic Silver、Prestige Goldの6色だが、今回渡されたのはTitanium Greyだった。ディスプレイは5.2型のフルHD液晶(1080×1920ピクセル)で、ガラスの端がラウンド形状の2.5Dガラスとなっている。見た目が美しいが、筆者の周囲では落としてガラスが割れたという声も聞いたので、むやみに落とさないよう注意する必要がありそうだ。
側面から背面にかけてはアルミニウムで覆われているが、アンテナの感度を確保するためか、背面の上下にはグレーのラインが入っている。両側面にはダイヤモンドカットを施しており、見る角度によってキラリと光る。ガラス+金属のボディー、充電端子・イヤフォンジャック、内蔵スピーカーの位置など、所々でiPhoneをほうふつさせるものがある。
サイズは70.9(幅)×145(高さ)×6.95ミリ(奥行き)で、5.2型ながら片手でも握りやすい。同じく5.2型のXperia Z5が幅72ミリなので、P9の方が、ディスプレイのフチ(ベゼル)をギリギリまで狭めていることが分かる。個人的には片手でも操作しやすいサイズだと感じた。また、背面から側面にかけて緩やかにカーブしており、指や手のひらにしっかりとフィットする。適度にスクエアな形状なので、iPhone 6sのように丸すぎてツルッと滑るようなことがない。手のひらが乾燥しやすい冬場でも安心して使えそうだ。
重量は約144グラムとそれなりだが、重量バランスが良いのか、手にすると思いのほか軽く感じる。143グラムのiPhone 6sと持ち比べても、P9の方が軽いと思えるから不思議だ。独創的とは言い難いデザインだが、持ちやすさへの配慮がなされていると感じた。
もう1つ、外観で特筆すべきは、カメラの出っ張りがないこと。背面のどの部分も厚さ6.95ミリをキープしており、まさにフラットな金属板ともいえるボディーを形成している。「6.95ミリの薄さ」と「出っ張りのないボディー」を両立させたことは評価すべきポイントだろう。
外部接続端子は、従来のUSB Type-Bではなく「Type-C」を採用しており、コネクタの上下を気にすることなくケーブルを挿入できる。Type-Cはスマートフォンでは「Nexus 6P」や「Nexus 5X」などに採用されいるが、まだ主流ではなく、複数台持ちの人はType-BとCの充電ケーブルを使い回すことになりそうだ。それでも、iPhoneのLightningケーブルのように、コネクタの向きを気にせず充電できるのは快適だし、より大きな電力を供給できるようになるので、充電スピードも高速になる。将来的にはType-Cが普及することを期待したい。
背面には新世代の指紋センサーを搭載しており、ディスプレイが消灯している状態でも素早くロックを解除できる。また認証に失敗してもバイブレーションで知らせてくれるので、画面が消灯していても認証の可否がすぐに分かる。短期間での利用なので正確な評価にはならないが、iPhone 6sやXperia Z5 Premiumよりも認証精度は高いと感じた。なお、指紋センサーを有効にしていても、起動した直後はパスワードの入力が求められる。
P9は「EVA-L29」「EVA-L19」「EVA-L09」という3種類のモデルがあり、地域によって投入されるモデルが異なる。メモリ+ストレージの構成、周波数帯、NFC対応の有無、デュアルSIM/シングルSIMなどが3モデルの主な違い。筆者が入手したEVA-L09は、メモリ+ストレージが3GB+32GBで、NFCは対応、SIMスロットはシングルとなっている。周波数帯は、W-CDMAで日本特有の800MHz帯(Band6と9)にも対応しているので、日本で発売されても安心して使えそうだ。3モデルの詳細なスペックは、Huaweiのグローバルサイトを参照してほしい。
プロセッサは「Kirin 955」(2.5GHz 4コア+1.8GHz 4コア)を搭載しており、「Mate 8」の「Kirin 950」よりも世代は新しい。試しにベンチマークアプリ「AnTuTu Benchmark v6.0.1」を3回実施したところ、スコアは96410、99555、98109だった。スコア比較のグラフを見ると、Mate 8は9000台前半で、P9の方がスコアが高かった。現時点のHuawei端末では最高峰のCPU性能を誇るといってもいいだろう。実際にSNSアプリ、ブラウザ、カメラを使った限り、動作がもたつくことはなく、快適に利用できた。
ちなみにAnTuTuのスコアランキングでは、P9の上にはiPhone 6sやGalaxy S7 edgeが位置する。手持ちのiPhone 6sで3回試したところ、スコアは128621、131130、131130だった。
次回は気になるカメラ性能のレビューをお届けしたい。
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