新しい競争軸に?――3キャリアの長期ユーザー向け優遇施策を比較する石野純也のMobile Eye(5月30日〜6月10日)(2/2 ページ)

» 2016年06月11日 06時00分 公開
[石野純也ITmedia]
前のページへ 1|2       

Yahoo!JAPANとの連携を打ち出すソフトバンク

 ポイントを軸にしたauと、家族を軸にした直接割引を提供するドコモに対し、ソフトバンクはTポイントを利用した、Yahoo!JAPANとの連携を打ち出している。同社は5月25日に、長期契約ユーザーに向けた特典を発表した。

 ソフトバンクの特典は、Yahoo!JAPANで使える、1万5000円分のTポイントがもらえるというものだ。Tポイントは2年間に分けて支給され、月々にすると500円分。月額利用料との選択制となっており、こちらの場合は200円になる。Yahoo!JAPANで買い物をするなら、Tポイントを選んだ方がお得になるというわけだ。

 ドコモやauと同様、2年契約の更新時にも、ポイントがもらえる。こちらの特徴はドコモに近く、共通ポイントとして利用できるTポイントが3000円分付与されることになる。

au ソフトバンク ソフトバンクは、5月25日に、ひっそりと長期契約ユーザー向けの施策を発表した

 ただし、この長期利用者特典は、2016年の秋から提供される予定で、現時点での詳細は未定。対象になる継続契約年数や、Tポイントの有効期間などは、発表されていない。適用条件として、データ定額パックもしくはフラット型のパケット定額サービスへの加入が挙げられているが、データ容量の少ないプランを選んだ際にどうなるのかなども不明だ。

 ソフトバンクの詳細な条件が出そろっていないため、厳密な比較はできないが、長期契約ユーザーへの優遇施策には、それぞれのキャリアの置かれた状況が色濃く反映されている。家族でユーザーを固め、流出を防ぐ方針のドコモは、契約年数以外にシェアパックに重みをつけてきた。

 対するauは、au WALLETを軸にしたau経済圏の拡大を進めている。この戦略の下では、長期利用者に対してポイントを付与するのは、自然な考え方といえるだろう。ソフトバンクが、Tポイントや傘下のYahoo!JAPANと連動するのも、戦略として理解しやすい。料金体系がほぼ同じで「協調的寡占」などと言われてきた大手3キャリアだが、総務省の要請に対しては、各社のカラーを反映させてきた格好だ。

 一方で、「お客さまのご加入しているプランや年数によって(割引額が)違うので、一概には比較できない」(田中氏)というように、横並びでの比較はしづらくなってしまった。

 例えば、auユーザーは16年以上だと最大10%の還元を受けられるが、ドコモの15年以上のユーザーは、データSパックだと約17%、データMパックだと16%、データLパックだと約12%の割引になる。シェアパックの割引率は11%前後。比較軸をパーセンテージにそろえてみるとドコモの割引率が高いことは分かるが、もともとの料金体系も異なるため単純な比較は意味がない。

 もっとも、長期契約ユーザーへの優遇は、適用されるまでに時間がかかるものだ。これによって、加入者の獲得合戦になるというようなことにはならず、既存ユーザーとしては、自分が適用される割引や特典さえ知っておけば十分だ。

 ただ、これらの割引施策は、各キャリアが、長期契約ユーザーをどのように捉えているのかの、モノサシにはなる。その意味では、“実質0円”が禁止され、MNPでの流動性が低くなった時代の、新たな競争の形といえるのかもしれない。3社の発表を受け、今後、今のキャリアと付き合い続けるのかどうかを一考してみる価値はありそうだ。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年06月12日 更新
  1. スマホの“ミニ”外付けディスプレイが流行の兆し? 若者がインカメラではなく「アウトカメラ」で自撮りする理由 (2026年06月10日)
  2. 新エントリースマホ「arrows We3」発表 コンパクトな高耐久ボディーに5000mAhバッテリーや新カメラを搭載 (2026年06月11日)
  3. スタバ長時間滞在、なぜ「一律ルール」設けない? “スマホでゲーム、PCで仕事も…広報見解は (2026年06月12日)
  4. 「それ、家じゃダメなの?」──スタバ長時間滞在に冷ややかな目 “スマホ操作”に“PCで仕事”も (2026年06月07日)
  5. あのシャープが「ウェアラブル」に参戦? スマホ「AQUOS」新製品予告 詳細は16日に発表 (2026年06月10日)
  6. ソフトバンクが「今回もやる」とGalaxy S26を月額1円で販売――販売方法を早急に見直さないと撤退を迫られるメーカーも (2026年03月08日)
  7. コレがたったの3630円――初代PlayStationを模したケース、セブン-イレブンなどで7月6日発売 (2026年06月11日)
  8. 動画配信「ABEMA」の障害復旧 約4時間17分にわたり視聴できず SNSに悲鳴【訂正】 (2026年06月10日)
  9. 「日本通信アプリ」の新バージョン提供開始 FPoS対応で本人確認のセキュリティを強化 (2026年06月11日)
  10. なぜ? マクドナルド「巨大セルフ注文端末」に批判殺到の理由 UI/UXに価格表示まで……直面している課題とは (2026年05月14日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー