格安SIMの利用に必要な「APN」ってそもそも何?:MVNOの深イイ話(3/3 ページ)

» 2016年08月05日 13時30分 公開
[堂前清隆,ITmedia]
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APNの変更

 MVNOによってはサービス提供途中でAPNを変更することがあります。例えば、あるタイミング以降での契約者は、新しいAPNを使うといった具合です。これにはさまざまな理由が考えられますが、その中からいくつかを紹介いたします。

MVNEを変更する場合

 自分で設備を持たず、1次MVNO(MVNE)から設備の提供を受けている2次MVNOでは、さまざまな理由により設備の提供を受けるMVNEを変更することがあります。このような場合には、必然的にAPNが変更になります。ここまで書いた通り、APNは重複して登録することができず、また、異なる1次MVNO間をまたいでAPNを利用することができないためです。

 実際に今までいくつかのMVNOがMVNEの変更を行い、それに伴い新しいAPNの提供を開始しました。この場合、新しいMVNEから供給を受けたSIMカードは新しい契約者のみに提供し、既存の契約者は従来のMVNEから供給を受けたSIMカードをそのまま利用し続けるケースが多いようです。APNも同様に、新しい契約者のみ変更になります。

 これは、キャリアの中でSIMカードを発行した1次MVNOが管理されており、変更できないためです。利用者の手元にあるSIMカードをそのままに、別の1次MVNO(MVNE)に入れ替えることはできません。SIMカードの回収、再発行には大きな手間とコストが掛かるため、従来の契約はそのままにしておくケースが多いようです。

ブランディング

 APNは利用者の目に触れる文字列のため、ブランディングが意識されることがあります。例えば、従来はMVNEが用意した汎用的なAPNを利用していたものを、自社のイメージを強化するために専用のAPNに変更するということです。また、設備の提供を受けているMVNEを隠すために独自のAPNを利用することもあります。

大幅な設定変更を行う、異なる設備を利用する場合

 APNの本来の目的は、複数の通信サービスを選択することです。その本来の目的に沿って、サービススペックを大きく変更したり、サービスを提供するための機器を入れ替える場合に、異なるAPNを利用することも考えられます。ただ、利用開始後のAPNの変更は利用者に大きな負担をかけるため、よほどの事情がない限りはこのような選択をすることはないでしょう。

 なお、交換機上では、IMSIやMSISDNを使ってSIMカード1枚1枚を特定し、それぞれに異なる制御を行うことも可能です。例えば、通信速度の制限などであれば、APNに寄らずとも、SIMカード1枚単位で柔軟に制御することが可能ですので、こういう目的での複数APNの使い分けはあまりないと考えられます。

APN設定はMVNO普及の障害?

 「格安スマホ」「格安SIM」の名称でMVNOが一般化するにつれ、スマートフォンに詳しい方だけでなく、それほど知識のない方もMVNOを利用するようになりました。そうした方の中には、SIMカードの取り付けやAPNの設定に非常に高いハードルを感じている方もいらっしゃるようです。キャリアのスマートフォンを契約した場合、SIMカードは店舗のスタッフが取り付けてくれますし、APNの設定も不要ですので、それと比べるとMVNOは確かに不親切かもしれません。

 MVNOがより普及するためには、これらのハードルをできるだけ下げる必要があります。そのための方策として、店頭でのSIM取り付け・APN設定サービスを行ったり、あらかじめ物流センターでこれらの設定を行ってすぐに開始できる状態でスマートフォンを宅配するという試みも始められています。

 こうした取り組みにより、今後はAPNあまり意識されなくなるのかもしれません。

著者プロフィル

堂前清隆

堂前清隆

株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ) 広報部 技術広報担当課長

「IIJmioの中の人」の1人として、IIJ公式技術ブログ「てくろぐ」の執筆や、イベント「IIJmio meeting」を開催しています。エンジニアとしてコンテナ型データセンターの開発やケータイサイトのシステム運用、スマホの挙動調査まで、インターネットのさまざまなことを手掛けてきました。


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