「SIMカード」とは何なのか?どうして必要なのか?SIM通

» 2016年08月19日 06時00分 公開
[SIM通]
SIM通

 「SIMフリー」「SIMロック」などなど、最近耳にするようになったこれらのキーワード。でもそもそも「SIMって何なのか?」をちゃんと理解していますか? 友達には聞けないそんな疑問にこっそり答えちゃいます。

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 MVNO、一般には格安SIMと呼ばれることも多いですが、ここでいうSIMとはSIMカードのこと。このSIMカード。これっていったい何者で、これがないとどうしてダメなのか?これがあるとどうして通信できちゃうのか?を解説します。

 SIMは、正しくはUSIM(Universal Subscriber Identity Module)と言います。直訳すると、「全世界で通用する加入者識別部品」。古い時代は頭の「U」がついていませんでしたが、2000年頃に、世界で同じ仕様で使えるようにしちゃおう、という新しい規格が広まり、その波がガラパゴス日本にも押し寄せ、導入されました。そのため、日本にあるSIMはすべてUSIMです(3G auケータイ/スマホを除く)。

SIMカードっていったい何者?

 その名称の通りSIMは「世界中で共通に通用すること」「加入者を識別すること」「分離可能な部品であること」を、その機能としています。簡単に言えば、携帯電話加入者の情報を書き込んでおくメモリカードの一種で、なおかつ、共通規格になっていて世界中のどの携帯電話でも使えるようにインターフェースが共通化されているものです。

 例えば古い携帯電話では、電話番号と端末シリアル番号だけで加入者かどうかを判断。電話番号とシリアル番号の組をネットワークに登録しておいて、端末がアクセスしていいかどうかを判定していました。この仕組みだと、例えば端末を取り換えるときには、シリアル番号をいちいちネットワークに登録しなおす必要があります。

 電話番号は世界中の国でいろんなパターンがあるので(日本だと090+8桁の数字、とか)、どの国でも同じように通用するとは言えません。その国ごとにネットワークや端末をカスタムしなければならず、利用者にとっても事業者にとっても不便でした。そこで、電話番号とかシリアル番号とかのような一定の決まりを作りにくい仕組みを使わず、世界で共通の加入者番号というのを作っちゃえ、となりました。

 それらは国連の下部組織が管理していて、どの国にどの番号から始まる加入者番号を使っていいか、という割り当てをしています。日本なら440から始まる数字、また、日本の中では、44010はドコモ、44020はソフトバンク……というように割り振られています。なので、事業者同士で特に取り決めをしなくても、番号を好きなように使えるのです。

加入者認証の仕組みがSIM自身に組み込まれている

 もちろん、SIMの機能はこれだけではありません。先ほどメモリーカードの一種と書きましたが、もし悪い人が、誰かの加入者番号を知って自分のSIMカードに書き込んでスマホに入れて使ったら、パケット料金を誰かに払わせることができてしまいます。もちろん、そんなことはできないように、加入者認証の仕組みがSIM自身に組み込まれているので安心ください。

 SIMは単なるメモリーカードではなく、超小型なコンピュータでもあります。SIMの中には、ある鍵となる数字と、計算機が入っています。その鍵は、読み出しも書き換えもできません。鍵の数字を知っているのは、SIM自身とネットワークの認証装置だけです。

 例えばあるSIMがスマホに取り付けられてネットワークにアクセスしたとします。するとネットワーク(の認証装置)は、「おい、ちょっと94227496と鍵を足し算してみろ」と命令します。スマホはよくわからないけれどその命令をSIMに伝えると、SIMは鍵と94227496を足した数字をスマホに返します。それをスマホがネットワークに送ると、「よし、鍵は正しいな」とネットワークが判断して通信が始められるのです。

 もちろん実際は単なる足し算ではなく、スーパーコンピューターでも逆算できないような複雑な暗号計算です。

加入者認証の仕組み

 また、同じような仕組みで、通信内容そのものを暗号化する鍵の交換も行っています。あらかじめ一対一で紐づけられた暗号鍵が、普通の手段では絶対に読み出せない場所に格納されていて、逆算できない方法で暗号化を行っているから、携帯電話の通話やパケットのプライバシーはとても強固に守られているのです。

 このように、世界中で共通で使えるように、加入者情報やなりすまし対策などの重要な要素はシンプルな部品に収めてしまえ、というのがSIMの成り立ち。このおかげで、携帯電話やスマホそのものは、利用者のお金やプライバシーに関する責任の重い処理を安心してSIMに任せられます。そうすると、携帯電話やスマホは割と小規模のメーカーでも作れるようになってきて、結果として、新興国からも格安のSIMフリースマホがどんどん登場することになりました。

 今では、すっかり格安SIMの最小販売単位として定着したSIM。携帯電話の中で一番重要な部品だからこそ、それを単体で売るというサービスが成り立つようになってきたわけです。今度SIMを手に取ってみる機会があったら、その中にとてもすごい仕組みが詰まっていることに思いをはせてみてはいかがでしょう?

(文:記者M)

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