auのSIMカードをiPhoneとAndroidで使い回しできませんか?格安SIM Q&A(番外編)

» 2016年07月07日 18時00分 公開
[井上翔ITmedia]

質問

 今、auの「iPhone 5」を使っています。最近、ちょっと調子が悪いので家電量販店で売っているSIMロックフリーのAndroidスマホに買い換えようと思っています。

 この場合、iPhone 5に入っているSIMカードをそのまま使うことはできるでしょうか。iPhone 5は初期化の上、予備機として使い続ける予定なので、どちらも使えるといいのですが……。

イメージ図 auのiPhoneで使っているSIMカードをAndroidスマホで使えますか……?(写真はイメージです)

回答

photo

できなくはありませんが、注意すべき点は結構多いです。
(ITmedia Mobile編集部 井上)


 前回のQ&Aでは、「NTTドコモのSIMカードをAndroidスマホとiPhoneで使い回せるか」という旨の質問が寄せられました。

 回答記事の末尾にも書いた通り、au(KDDIと沖縄セルラー電話)やソフトバンクを使っている人からも同様の質問が届いています。今回は、auの場合についてお答えしたいと思います。

 簡潔にいえば、「LTE NET for DATA」を契約している4G LTE契約のNano SIMカード(au Nano ICカード)を持っていれば使い回しは不可能ではありません。ただし、ドコモと比較すると注意しないといけない点が多いので、詳しく解説します。

 なお、SIMロックフリー端末でのau回線の利用については、以前のQ&A「SIMフリースマホにキャリアの既存SIMを挿して使える?」でも取り上げていますので、合わせて参考にしてみてください。

(本文中の価格は全て税別です)

注意1:LTEの「Band 1」に対応していても適法に使えるとは限らない

 auの携帯電話ネットワークでは、以下の周波数帯(Band)に対応しています(太字が主とする周波数帯)。

  • LTE(FD-LTE):Band 1(2.0GHz帯)、11(1.5GHz帯)、18および26(800MHz帯)、28(700MHz帯)
  • WiMAX 2+(TD-LTE互換):Band 41(2.5GHz帯)
  • 3G(CDMA 2000):800MHz帯、2.0GHz帯

 理論的には上記の周波数帯に対応していて、かつ「特定無線設備の技術基準適合証明等(技適など)」を取得した端末ならauでも使えます。少なくともLTEのBand 1にさえ対応していれば、iPhone 5やiPad(2012年モデル)と同等のエリアで使えるはずなのです(参考リンク)。

 ここで重要なのは「はず」という言葉です。auネットワークで利用しているLTE Band 1は、Y!mobile(ソフトバンク)のPHSが利用している周波数帯域と近接しています。そのため、auネットワークでLTE Band 1を利用する端末は、別途PHS帯域との干渉回避対策が必要なのです。この対策を取っていない端末にauのSIMカードを挿入して使った場合、技適などを取っている端末でも適法とはいえない状態になります。

 従って、auでSIMロックフリーのAndroidスマホを使う場合は、auネットワークへの対応を明確にうたったものを使うこと、auネットワークへの非対応を明記してある場合は絶対に使わないことを心がけてください。使いたい機種がauネットワークで使えるかどうか定かではない場合は問い合わせるようにしましょう。

KDDIのネットワーク接続性検証に関する資料 KDDIが公表している「当社ネットワークへの接続性検証に関する申込みから検証までの流れについて」(PDFファイル)では、auネットワークに接続する端末にPHSとの干渉対策を施すように求めている

注意点2:au 4G LTE契約には「LTE」と「VoLTE」の2種類がある

 「au 4G LTE」の音声通話契約には「LTEデュアル(LTE)」と「VoLTE」の2種類があります。簡単な見分け方として、以下のような特徴があります。

  • LTE:黒いSIMカードが発行され、3G(CDMA2000)エリアでも通信可能(通話は3G)。
  • VoLTE:銀色のSIMカードが発行され、3Gエリアでの通信は不可(通話はVoLTE)。料金プランに原則として「(V)」が付いている

 どちらの契約でも、同じ4G LTEエリアでデータ通信を利用できます。しかし、音声通話をする前提に考えるとLTE契約ではCDMA2000対応端末が必要で、VoLTE契約ではVoLTE対応端末が必要となります。以前のQ&Aでも触れたように、auの3G通信、あるいはVoLTEに対応しているSIMロックフリー端末はそれほど多くはなく、現在のところ以下の選択肢から選ぶことになります。

  • CDMA2000通話対応:「KC-01」(京セラ製)、「G3 Beat」(LGエレクトロニクス製)、「Mode 1」(ピーアップ製)
  • VoLTE通話対応:「arrows M02」「arrows M03」(いずれも富士通コネクテッドテクノロジーズ製)

 音声通話が不要(データ通信さえできれば良い)なら、もう少し選択肢は増えますが、注意点1に挙げた事情から対応機種は限られます。

 auのiPhoneにおいては「iPhone 6」からVoLTE通話に対応していますが、他の端末とは異なりLTE契約のまま、端末側の切り替え操作でVoLTEに対応するようになっています。auで買ったiPhoneのSIMカードをAndroidスマホと使い回す場合、CDMA2000に対応したものを用意するようにしましょう。

 逆に、LTE契約のAndroidスマホで使っているSIMカードをiPhoneと使い回す場合は、無料の「ネットワーク設定オプション」を申し込む必要があります。申し込みは、Webの「auお客様サポート」からできます。

 一方、「僕はどうしてもVoLTE対応のAndroidスマホを使いたい!」という場合は、auショップで契約変更とSIMカードの交換ができます。手数料は3000円です。ただし、VoLTE契約のSIMカードをiPhoneで使う場合、SIMロックフリー版かSIMロック解除済みのVoLTE対応iPhoneが必要となります。筆者が検証した限りでは、SIMロックのない「iPhone SE」(参考記事)や「iPhone 6s」でVoLTE契約のSIMカードを利用できました。

au 4G LTEは契約区分によってSIMカードが異なる 4G LTEは契約区分によってSIMカードが異なる。左がLTE契約用の黒いSIMカード、右がVoLTE契約用の銀色のSIMカード

 なお、契約が「LTE」と「VoLTE」で分かれているのは、au回線を利用するMVNO(仮想移動体通信事業者)サービスも同様です。注意点は基本的に純正回線と同様ですが、以下の点にも留意する必要があります。

  • 利用にあたってiPhoneへのAPN(接続先情報)プロファイルのインストールが必要
  • MVNOのVoLTE対応SIMカード(MVNO Multi IC Card 01)では、auのAndroidスマホであってもSIMロック解除が必要

注意3:他社端末を使う場合は「LTE NET for DATA」の契約が必要

 au 4G LTEのデータ通信サービスは「LTE NET」(月額300円)と「LTE NET for DATA」(月額500円)の2種類がありますが、auブランドではないAndroidスマホでデータ通信をする場合はLTE NET for DATAの契約が必須となります。LTE NETとLTE NET for DATAは重畳契約できますが、それに伴う割引は特に設けられていません。

 なお、auのAndroidスマホやiPhoneはどちらのネット接続サービスにも対応しています。ただし、iPhoneでLTE NET for DATA利用する場合はAPNプロファイルを別途インストールする必要があります


 ソフトバンク(ソフトバンク/Y!mobile)ユーザーからの質問については、後日お答えする予定です。お楽しみに!

このコーナーについて

「格安SIM Q&A」では、読者の皆様から格安SIMにまつわる質問を受け付けています。「そもそも格安SIMとは?」という初歩的な質問から、「あのサービスの使い勝手はどうなのか」という突っ込んだ質問まで、何でもOKです。編集部で可能な限りお答えします。皆さんのご質問をお待ちしています!


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