富士通コネクテッドテクノロジーズは10月4日、SIMロックフリーAndroidスマートフォン「arrows M03」に初めてのソフトウェア更新を配信した。更新後のビルド番号は「V02R038C」となる。
更新の主な内容は「特定のVoLTE非対応SIMを挿入した際の動作仕様変更対応」だ。しかし、富士通による更新告知ページでは、「特定のVoLTE非対応SIM」と「動作仕様変更」について明確な説明がなされていない。
この記事では、富士通への取材と、筆者による実機検証を通して、今回の更新について解説する。
LTE対応のSIMカード(回線契約)を、VoLTEに対応するか否かで区別しているキャリアは、国内ではau(KDDI・沖縄セルラー電話)と、au回線を利用するMVNO(仮想移動体通信事業者)だけとなる。
つまり、「特定のVoLTE非対応SIM」とされているのは、VoLTE非対応回線の契約者に交付(貸与)される「au Nano IC Card(LTE)」(以下「黒SIM」)ということなる。
富士通コネクテッドテクノロジーズでは、arrows M03でauのSIMカードを利用する場合、「『au VoLTE対応SIM』でのみご利用いただけます」としている。具体的には、以下の3つのカードにのみ対応している。
要するに、arrows M03は、本来は黒SIMに“非対応”なのだ。ところが、富士通によると、黒SIMでもデータ通信はできる状態になっていたという。
黒SIMで利用した場合、当然VoLTEによる音声通話はできない。arrows M03はVoLTE非対応回線の通話で利用する「CDMA2000」という通信規格に非対応であるため、黒SIM利用時には音声通話機能や、それに付随する機能の一部が使えないことになる。
今回のソフトウェア更新での「動作仕様変更」は、黒SIMを挿入すると、端末側で動作をブロックするというものだ。更新後のarrows M03に黒SIMを挿入すると、以下のメッセージが表示される。
au-SIMをご利用の場合、「au VoLTE対応SIM※」でのみご利用いただけます。
※UQ mobile Multi IC Card、au MVNO Multi IC Card、au Nano IC Card 04
※詳細につきましては、SIMカードご契約事業者様にお問い合わせください。
このメッセージが表示された場合、「携帯電話オプション」の表示(電源キーの長押し)以外の操作は事実上できないようになっている。
今まで黒SIMでarrows M03を利用していた場合、ソフトウェア更新後に継続してモバイル通信を利用するにはVoLTE対応SIMカードへの交換(契約変更)が必要となる。SIMカードの交換や契約変更に当たっては、事業者が定める手数料がかかるので注意しよう。
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